テオドール・シャセリオーが天才である理由!シャセリオー展@西洋美術館より
上野公園の国立西洋美術館で開催中の美術展『シャセリオー展 19世紀フランス・ロマン主義の異才』の感想やおすすめポイント、待ち時間や混雑具合をお伝えします。
目次
『シャセリオー展 19世紀フランス・ロマン主義の異才 』会期とオープン&クローズ時間
2月28日(水)ー 5月28日(日)※毎週月曜日休館
会期はちょうど3ヶ月です。4月の上野公園は桜も満開で華やかさがあります。4月に訪れれば美術展だけでなく、桜も楽しめて上野の魅力が増しますね。ただ、私は3月平日の朝に鑑賞しましたが、それでも人は多かったです。
特に人の多くなる4月の休日は、朝一の人が少ない時に鑑賞したほうが良いかもしれません。
9時30分ー17時30分(金曜日は20時まで)
金曜日の20時はおすすめです。人が少ない分、ゆっくりと好きな絵画の前で時間を使えます。シャセリオー展は魅力的な絵画がたくさんありますよ!
待ち時間や混雑具合について
金曜日に鑑賞しました。修学旅行生や、都内見学で鑑賞しに来館している学生が数多くいました。また、団体での鑑賞もいました。平日は一般の来館者が少ない分、学生や団体での鑑賞者がたくさんいます。
それでも、入場制限や待ち時間はありません。
それに、シャセリオーがマイナーな画家だけに絵を人越しで見る混雑も考えられません。休日に訪れても、草間彌生展と比べれば空いている展覧会だと思います。
ただ、4月から5月の外に出やすい気候の季節になると混み合うでしょう。特に土日祝日は混雑します。
会場
国立西洋美術館
(上野駅公園口改札より徒歩2分)
国立美術館はフランスの建築家ル・コルビュジエが建設した建物として、世界文化遺産に登録されています。
チケット当日
一般:1,600円
大学生:1,200円
高校生:800円
中学生以下:無料
前売券は200円引きされます。※販売は2月28日まで
あとの情報は『シャセリオー展 19世紀フランス・ロマン主義の異才』公式ホームページまで。
『シャセリオー展 19世紀フランス・ロマン主義の異才』ダイジェスト
プロローグ
テオドール・シャセリオー(1819〜1856)を2行でまとめると
カリブ海のイスパニョール島出身。テオドール・シャセリオーは新古典主義の代表的作家ドミニック・アングルから絵画を学びつつ、師であるアングルが興味を描き、絵画にもしたオリエンタルなテーマをロマン主義のタッチで描いた画家です。
感想とみどろこ
大学時代からシャセリオーの絵画が好きで、いつか日本でもシャセリオーの作品展を開催しないかと楽しみにしていました。
感想は2つあります。
1つ目は「すべてがシャセリオーだった。」
2つ目は「マッド(狂気)」です。
バッハの曲はすべてバッハ、シャセリオーの絵画もすべてシャセリオー
バッハの曲はすべてバッハ、The Beatlesの曲はすべてThe Beatlesと聴けばわかります。
グレン・グールドの弾くバッハ「フーガの技法」
The Beatlesの「We Can Work it Out」
シャセリオーの絵画も同じでした。
新古典主義とロマン主義を両立していた画家で、作品には決まった特徴がないのでは?と思っていましたが、全くの見当違いでした。
この時代にこんな個性を持った画家がいたのか!と驚愕しました。
《サッフォー》
まるで写真のように一部分を切り取って描いた斬新さ。
《アポロンとダフネ》
左側に青、右に赤を対照的に描き、場面の迫力を色で表現したところに抽象表現主義絵画のような美しさを感じる。
《コンスタンティーヌのユダヤの娘》
生き生きとした少女のポートレート。
《黒人男性像の習作》
腕の一部が空中に離れて描かれているシュールさ。
《アクテオンに驚くディアナ》
右端の女性がしがみ付く青の布がサイケデリックで絵画全体が幻想的に。
《アレクシ・ド・トクヴィル》
『アメリカの民主主義』を執筆し、テオドール・シャセリオーの庇護者となったアレクシ・ド・トクヴィルの生き生きとした顔。肖像画がシャセリオーほど見ていて楽しかったことは今までにありませんでした。
あらゆる絵画に、その後の絵画を予言するような描き方が見られる。ナビ派のような象徴主義にもつながるし、ゴーギャンのフォーヴィズムにもつながる、さらにはピカソやブラックのキュビズムにもつながるし、その後の抽象表現主義絵画、写真芸術にもつながる。レンピッカのようなサイケデリックで鮮やかな絵画にもつながり、そしてこれから生まれる芸術にもつながるでしょう。
すべてがシャセリオー芸術であり、すべてがあらゆる芸術の模範となる新しさがある。
狂気をはらみ、それが美にも思える。サイケデリックで痺れさせる。
そう、痺れさせるというのが1番の感想かもしれません。シャセリオーは今までの絵画の歴史と戦いながら自分の個性を見つけていったというより、純粋に自分の感性にしたがって絵画を描いた感じがします。
だから、シャセリオーの後に登場する画家、例えばナビ派のボナールや、フォーヴィズムのゴーギャンよりも新鮮さを感じるのでしょう。
会期は5月28日(日)まで。行くべき指数があるとすればMAXです!
また、同時期に同じ国立西洋美術館内で開催されている「日本・デンマーク外交関係樹立150周年記念 スケーエン:デンマークの芸術家村」についてもご紹介します。
日本・デンマーク外交関係樹立150周年記念 スケーエン:デンマークの芸術家村
国立西洋美術館
『日本・デンマーク外交関係樹立150周年記念 スケーエン:デンマークの芸術家村』会期とオープン&クローズ時間
2月10日(金)ー 5月28日(日)※毎週月曜日休館
常設展の新館展示室で開催しています。
9時30分ー17時30分(金曜日は20時まで)
『シャセリオー展 19世紀フランス・ロマン主義の異才』と同じ時間です。
チケット当日
一般:430円
大学生:130円
高校生以下:無料
常設展のチケットで入場できます。
内容
バルト海と北海にはさまれたユトランド半島の北部に位置するスケーエン。そこは、19世紀のデンマーク人にとって、自国である一方異郷の地でした。しかし18世紀後半から、コペンハーゲンの若い画家たちがスケーエンの自然に惹きつけられます。次第に芸術家たちのあいだで関心を呼び、19世紀末から20世紀初めにかけて、芸術家たちが集まる国際的な芸術家村として知られるようになります。
「日本・デンマーク外交関係樹立150周年記念 スケーエン:デンマークの芸術家村」では、スケーエン美術館が所蔵する59点の作品を通して、デンマークの近代美術を代表するスケーエン派の絵画が紹介されます。
国立西洋美術館
同時期に上野公園で開催中の美術展
『ティツィアーノとヴェネツィア派展』@東京都美術館
- 会期:1月21日(土)〜4月2日(日)※月曜日休館
- 開館時間:9時30分〜17時30分 ※金曜日は20時まで
- チケット:一般当日1,600円
- ホームページ:「ティツィアーノとヴェネツィア派展」公式ホームページ
『茶の湯』@東京国立博物館
- 会期:4月14日(火)〜6月4日(日)※月曜日休館
- 開館時間:9時30分〜17時 ※金曜日は20時まで
- チケット:一般当日1,600円/一般前売1,400円
- ホームページ:特別展「茶の湯」公式ホームページ
『大英自然史博物館展』@国立科学博物館
- 会期:3月18日(土)〜6月11日(日)
- 開館時間:9時〜17時 ※金、土曜日は20時まで
- チケット:一般当日&前売1,600円/小・中・高当日&前売り500円
- ホームページ:「大英自然史博物館展」公式ホームページ
今後国立西洋美術館で開催予定の美術展
『アルチンボルド展』@国立西洋美術館
- 会期:6月20日(火)〜9月24日(日)
- 開館時間:9時30分〜17時30分 ※金、土曜日は20時まで
- チケット:一般当日1,600円/一般前売1,400円
- ホームページ:「アルチンボルド展」公式ホームページ
『北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃』@国立西洋美術館
- 会期:2017年10月21日(土)〜2018年1月28日(日)
- ホームページ:「アルチンボルド展」公式ホームページ
同時期に東京都内で開催中の美術展
『草間彌生展 ー わが永遠の魂』@国立新美術館
『N・S・ハルシャ展 ー チャーミングな旅』@森美術館
『オルセーのナビ派展 美の預言者たち ー ささやきとざわめき』@三菱一号館美術館
『ゴールドマンコレクション これぞ暁斎!世界が認めたその画力』@Bunkamuraザ・ミュージアム
『ティツィアーノとヴェネツィア派展』@東京都美術館