明日海りお退団公演「A Fairy Tale」「シャルム!」感想@宝塚大劇場
宝塚大劇場で明日海りお退団公演「A Fairy Tale -青い薔薇の精-」「シャルム!」を2日間観劇してきましたので、感想をお伝えしたいと思います!!
今回1日目は1階の後方、そして2日目は運よくSSしかも最前列で観劇することができました。友の会がまさかの奇跡を起こしてくれました!
しっかり明日海りおの「魂の演技」を目に焼き付けてきましたよ!!!
ただし、スーパースター明日海りおの「気迫」がすごすぎて、絶賛の理由が基本主観的な感想文になっていることをお許しください。
2003年に入団して17年目、トップ就任から6年目でしょうか。宝塚の世界に生き続け、トップの座に5年も立ち続けた明日海りお。
今までの苦節苦難を乗り越えた仙人のような「オーラ」、そして退団公演にかける「気迫」が後方の席に座っていても伝わりました。
こういうのは言葉にすると陳腐なのですが、観劇しながら思い浮かんだ言葉は「伝説を見ている」でした。
宝塚の歴史に確実に残るトップスターの最後の姿を見られる。その幸福感に終始あふれていました。
正直なところ、元々明日海りおの歌が特別大好きというわけではなかったです。。ですが!今回のミュージカル・ショーに関しては歌声に魂がのっていて、完全に押されました。「この歌は良い歌だ、悪い歌だ」と考える隙もない、言葉や考えよりも先に、胸に迫るものがありました。
比較するのは好きではないですが、最近退団したトップだと千両役者の早霧せいなは、退団公演では文字通り「演者としての気迫」がすごかったように思います。
ミュージカルでも、ショーでもとことん魅せようとする。その魅力が会場の熱量を高めていたと思うのです。(2017年の夏はすごく熱かった気がする)
明日海りおの場合は、長い期間宝塚の顔を担ってきた、その責任感や、トップスターとしての気迫が全身に漲っていました、まるでオリンピックに挑むアスリートのようでした。下から望んだ明日海りおの眼差しは美しく、一生忘れられないと思います。また、今回の明日海りおの気迫や、舞台にかける覚悟、それはおそらく同じ舞台に立つ花組生へも向けられたものなのでしょう。
さて、前評判では、作品の質に対して少し否定的な意見もあったミュージカルですが、正直なところ明日海りおの立ち姿、歌う姿、ダンスする姿だけで、なぜか作品そのものに対しても満足させられるような説得力があり、
また、ミュージカルもショーも、明日海りおが花組の後輩たちへの愛を強く感じられるストーリー、演出で、私の場合はとても満足できました。
個々に心に残った場面をまとまりなく書くと、序盤に、花々が咲くガーデンで精霊が踊るシーンがあるのですが、私はそこが好きでした。
ディズニーシーのショー「ミスティックリズム」「アウト・オブ・シャドウランド」のような「自然」を舞台にしたファンタジーなダンスシーンが個人的に好きだからかなと思います。
ピンポイントではありますが、「自然」×「ファンタジー」のダンスシーンが好きな方はかなり刺さると思います。
あと最後の方に、明日海りおが柚香光に別れを告げるシーンがあり、その二人をそばにいる精霊の飛龍つかさが見つめているのですが、飛龍つかさが素に戻って泣きそうな顔になっているのが印象的でした。二人の感情に入り込んでいる。すごく優しい生徒なんだな、明日海りおへの思い入れが強いんだなと。
普段はキリっとした目が印象的ですが、今まで見たことないようなつぶらな瞳で、おそらく涙があふれていたと思います。
また、大都市ロンドンの場面の冒頭、駅のシーンソングナンバーは「20世紀号に乗って」をほうふつとさせます。
群舞がしっかりそろっていたように思います、レビューの方でも冒頭に娘役での群舞があるのですが、花組の群舞というのか「集団芸」というのか、何より個々のレベルの高さや、組としてのまとまりが印象に残りました。
「シャルム!」はかなり個人的には刺さったショーでした。
冒頭に普段着のイケイケな感じの6人の若者たちが登場し、ロリータな服を着た少女(華優希)に呼び寄せられマンホールの中に誘われる。この設定に不安しかなかったですが、、、
地底に広がるグランパレ、「孔雀の一夜」では明日海りおを孔雀の羽を持った娘役が囲み、明日海りおの動きに合わせて移動するという集団芸が大きな孔雀が舞台上で動いているような錯覚を覚えるほどダイナミックで圧倒される。
地底のキャバレーは、今作で退団する城妃美伶を中心にしたエキゾチックなダンス。猫のような仕草がかわいい。。。
そのあと、地底に広がるジャングルでの男役の群舞。明日海りおだけ紫色、そのほかは黒のスーツに方には赤いスカーフ。衣装的にも照明の暗さ的にもエロティックさがドバドバあふれており、男の私も悶絶しました。明日海りおのダンスがショー1見られるシーンなのですが、明日海りおの気迫がここでも伝わってきて、圧倒されます。
これだけ個性とスター性の際立った男役を引き連れてダンスで引っ張る明日海りお最高。
「地底の舞踏会」は華優希が歌う「死の舞踏会」で始まります。よくフィギュアで使われるナンバーですね。ここでは娘役のカンカンが見られます!
次に地底の大広間での舞踏会。
ヨハン・シュトラウス2世などウィーンの優雅な音色に合わせ、ゴールドとホワイトを基調にした衣装で文字通り豪華な舞踏会が始まります。もちろん中心は明日海りお。ダークな衣装から、華やかな衣装まで、なんでもお似合いな明日海りおの演者としてのバリエーションの豊かさみたいなものを強く感じました。
舞踏会の最後はラインダンス。こちらはチャイコフスキー「花のワルツ」に合わせて踊られます。
個人的な注目は美里玲菜、ロケットでは一番上手にいます。お姉さんの綺咲愛里よりも少し小柄に見えましたが、踊るときに少し顎を上げる仕草が似ていて、「花組に星組がいる」と星組好きとしては少し懐かしい感覚?みたいなものを感じました。これから美里玲菜のダンスや演技を見るたびに、こういう気持ちになるのでしょうか。それはそれで、面白いなと。
さて、次に地下に潜りこんだレジスタンスのシーンです。
柚香光のダイナミックなダンスが見どころでしょうか。
ただ、個人的にはレジスタンスを追って地下へ来た恋人が政府の兵士に銃で撃たれるのですが、そのあとにシャルム(明日海りおのこと)へ魂を送り届ける水美舞斗のダンスに終始胸を打たれました。
神々しい役にふさわしい、マイティの繊細なダンス。一つ一つの動きがしなやかで、かつ延ばした先に蝶々が止まっているかのような静けさがある。
難しいことを簡単そうにやる人が職人というのなら、まさにマイティはダンス職人で、「たまらん!」という感じでした。
そのあとに、再び夜明けのパリ。6人組の男が地底から戻ります。
この時、甘いギターに合わせて歌う曲が個人的に好きです。
シャルムこと明日海りおが登場するシーンは、ゴスペルっぽい曲なのですが、そこから暗転しギターの音色。この音楽の切り替えがすごく良いなと、上手だなと思いました。
そして、デュエダン、黒燕尾、グランドパレードへと続いていきます。
黒燕尾では、マイティ、瀬戸かずや、柚香光こ明日海りおのデュエダンがあります。
恋するアリーナでは涙にあふれながら明日海りおへの思いを語っていたマイティ、マイティと明日海りおとのデュエダン。明日海りおへの思いにあふれたマイティを優しく包みこむように踊る明日海りお、この二人のダンスは泣きます。
さて、ざーっと語ってしまいましたが、たった一つ伝えたいのは、一点の曇りなく「明日海りおがすごかった」ということ。「満漢全席とはこのことか」と。。。
なぜか、退団公演ですが複数枚もチケットが(しかも全部公式で)手に入りました、正直なところ取りすぎたかなとも思ったのですが、この公演は何回見ても見尽くせないと思いました。
花組、そして宝塚歌劇を背負ってきた明日海りおの生き様を、花組だけでなくすべての宝塚ファンに見て欲しいなと心から思った公演でした。