ミュージカルのキャラクターやあらすじを、普段観劇しない人にも分かりやすく、ざっくり解説するシリーズです。
今回は、ミュージカル『パリのアメリカ人』(日本では劇団四季が上演、原作は1951年公開の「巴里のアメリカ人」)。
これさえ押さえておけば、あなたも『パリのアメリカ人』マスター!
※今回の執筆は<妻>ではありません。
スタッフ、上演時間など
『パリのアメリカ人』(ファンの間の呼び名:パリアメ)
ジャンル:ラブストーリー
初演:2019年1月20日(東急シアターオーブ)
日本での上演カンパニー:劇団四季
オリジナル・スタッフ:ジョージ・ガーシュウィン(作曲)、アイラ・ガーシュウィン(作詞)、クリストファー・ウィールドン(演出・振付)
上演時間:第一幕 約1時間15分〜20分休憩〜第二幕 約1時間15分:合計 約2時間50分
キャラクター/登場人物
ジェリー・マリガン
- 退役軍人のアメリカ人
- パリで画家を志す
- 明るくてしきたりや義務にとらわれない自由な性格
- 好きな女の子には超積極的
- 兵役時代に多くの仲間を失った辛い過去を持つ
代表曲:「I’ve Got Beginner’s Luck」、「Liza」
どちらもリズを口説くために歌うジェリーの恋心が溢れたナンバー。
最初は嫌がっているリズが、次第に笑顔を見せてジェリーの世界に巻き込まれていく様子に注目してほしい。
リズ・ダッサン
- バレリーナを志すユダヤ人
- 本当は少女のように天真爛漫な性格
- 両親と離れ、アンリの家族に世話になっている
- アンリへの気持ちが本物の恋なのか悩む
- 何度もアプローチしてくるジェリーに次第に惹かれていく
代表曲:「The Man I Love」
両親への手紙を書きながら、リズがこれから出会うかもしれない恋人への想いを歌う。
自分の運命の人は誰なのか…女性ならこの曲の歌詞に共感してしまう。
アダム・ホックバーグ
- 退役軍人のユダヤ系アメリカ人
- 戦争で片足を怪我している
- 作曲家を志し、ピアニストとして稼いでいる
- 皮肉屋でブラックジョークが好き
- 作品は彼の性格が反映されて暗め
- 仲良し三銃士の中で、一番物事を冷静に見ることができる
代表曲:「I’ve Got Rhythm」
ジェリー、アダム、アンリの3人がメインで歌うナンバーだが、作中ではアダムが作曲した曲として登場するので、アダムの代表曲ということにしておく。戦後のパリの街角に光をともす希望にあふれたナンバー。
アンリ・ボーレル
- 資産家のお坊ちゃまであるフランス人
- ショーマンを夢見ているが両親には言えずに隠している
- アダムに曲を書いてもらっている
- リズのことを愛しているが、彼女が同じ気持ちでいてくれるのか自信がない
- 親の言いなりのマザコンと思われてしまうが、自分の立場からできる最善のことを常に考えて行動している
代表曲「I’ll Build A Stairway To Paradise」
アンリがキャバレーで披露した、アダムに作曲したビッグナンバー。
小さなキャバレーがアンリの夢の世界と重なってきらめく大きなラジオシティに変貌する。
マイロ・ダヴェンポート
- 大富豪の相続人であるアメリカ人
- アンリの両親がパトロンを務めるバレエ団に出資する
- 「愛はお金で買える」「恋人は一人だけなの?」など、挑発的な言動をする勝気な女性
- ジェリーを画家として応援するつもりが、次第に彼を好きになる
- リズとアダムの才能も高く評価しており、芸術の才能に寛大な心を見せる
代表曲「Shall We Dance?」
ジェリーを誘惑しながら歌うダンスナンバー。話しながら歌うマイロに、「息継ぎしなくて大丈夫?」と思わず驚いてしまう。
あらすじ/ストーリー(ネタバレ)
「パリのアメリカ人」第一幕
ナチス・ドイツの占領から解放された戦後のパリ。GIの青年<ジェリー>は、仲間たちが祖国アメリカへ帰ろうとするなか、街角で人々を絵に描きます。
そこで若く謎めいた女性<リズ>を見かけ、一目惚れ。
ジェリーはパリに残る決意をし、画家を目指すことにします。
街角のカフェで、ジェリーは同じくGIのピアニスト<アダム>、ショーマンを夢見る<アンリ>と出会います。
一晩ですっかり意気投合し、3人は友情を結んだ「三銃士」になりました。
後日、アダムがピアノ伴奏を務めるバレエのオーディションに同行したジェリーは、運命の女性リズと再会します。
リズはバレエの才能を認められ、バレエ団の新たなパトロン<マイロ>の提案により、新作バレエのプリマドンナに抜擢されました。
彼女に魅了されたのはバレエ団関係者だけではありません。
ジェリーと、アダムまでもが彼女に恋してしまったのです。
ジェリーからの猛アタックを受けるリズは、次第に彼に心を許していきます。
しかしリズは戦時中アンリの家に匿われており、恩人であるアンリからプロポーズをされて断ることができず揺れていました。
全員が同じ女性に恋しているとは知らず、3人はそれぞれ意中の女性と相思相愛になれたと勘違いして喜びます。
一方ジェリーはマイロからも好意を寄せられ、画家としての出世を手助けしてくれる彼女と行動を共にするようになります。
マイロと一緒に参加した仮面舞踏会で、ジェリーはアンリと来ていたリズを発見します。
自分へ愛を返してくれないリズに苛立っていたジェリーは、思わず当てつけでマイロにキスしてしまいました。
「パリのアメリカ人」第二幕
アンリの自宅では、パトロンのマイロを迎えた祝賀会が開かれています。
ジェリーとアダムもこの会に参加していて、アンリの母から息子とリズが婚約したと知らされ、ショックを受けます。
ジェリーはリズへの愛を伝え彼女から婚約の理由を聞き出そうとしますが、リズは話してくれません。
二人の様子をアンリとマイロはそれぞれひそかに見ていました。
その夜、恋人になりつつあったジェリーとマイロは別れ、リズは本心を打ち明けられないままアンリとの結婚を決意します。
場面は変わり、アンリが歌を披露するキャバレー。
ジェリー、アンリ、アダム、リズ、マイロの5人は偶然鉢合わせしてしまいます。
そこでジェリーは、アンリの一家が戦争中にレジスタンスとしてナチスと戦い、ユダヤ人のリズを守っていたことを知ります。
それでも恩義から結婚しようとするのはおかしいと指摘し、ジェリーはアンリと喧嘩になります。
リズはアンリと一緒にその場を立ち去ってしまいました。
いよいよ新作バレエ開幕の日。
集中できず失敗を恐れるリズは、愛するジェリーの幻影を重ねて踊り、大成功を収めます。
彼女がいなくなっても、恋する気持ちはだれにも奪えないとそれぞれ歌う3人の男たち。アンリはリズの幸せを優先する決断をし、リズはジェリーの胸の中に飛び込んでいくのでした。
■感想・まとめ
「こんなに美しい劇団四季、観たことない」のキャッチコピーで宣伝されている、劇団四季のパリのアメリカ人。東京公演から幕を開け、名古屋、京都と「パリアメ」旋風は地方にまで伸びています。
残念ながら2020年5月17日に千秋楽を迎える京都公演は新型コロナウイルスの影響で全公演中止となってしまいましたが、7月12日からは福岡での公演が控えています。
元々は1951年に作られた、同タイトルの映画が原作です。
俳優のジーン・ケリーが主役のジェリーを演じ、アカデミー賞6部門を受賞した伝説的なミュージカル映画となりました。
バレエをふんだんに取り入れ、歌もガーシュウィンの有名な楽曲で構成されたパリアメは、出演者も実力派ぞろい!「キャッツ」、「アラジン」などで活躍する俳優を起用していて、ファンの中ではキャストスケジュールに応じて演じる俳優の違いを楽しむ人もいるほどです!
チケットの争奪率は割と低め。土日祝日でもチケットが取りやすいのに、観ごたえは満点です。演劇専門雑誌では2019年の作品賞第1位に選ばれました!
パリアメの魅力の一つは、個性がばらばらなジェリー、アダム、アンリの3人の男性たち。観劇のあとに、「誰が一番タイプだった?」なんて語り合うのも楽しいですよ♪
最後に劇団四季を含むミュージカルのチケット発売情報をカレンダー形式で表示してくれる、ミュージカルファン向けの最強アプリをご紹介します。
その名も「チケットカレンダー」です。
チケット争奪戦で一番難敵なのが「どうすればチケットの発売日を知ることができるか」だと考えています。
発売場所はわかっていても、チケット発売日は急に発表されます。
そのため、「今日実は発売日だったのか、知らなかった、、、」
ということがよくあります。
「チケットカレンダー」では、クレジットカードから公式サイトまであらゆるチケット情報をまとめて見られます。
例えば、東宝主催で上演された『マドモアゼル・モーツァルト』であれば先行抽選の情報がこのように掲載されています。
演劇・ミュージカルファンであればこの公演に限らずかなり使えますので、この記事を読む前にまずダウンロードしてみて、機能を試してみてください。