(Variety L.A. Film Critics Name ‘Moonlight’ Best Picture)
LAFCAでは「ムーンライト」が4部門受賞
3日前のニューヨーク映画批評家協会賞(NYFCC)では「La La Land」の作品賞受賞の話題で盛り上がりましたが、日曜日に発表されたロサンゼルス映画批評家協会賞(LAFCA)では「ムーンライト」に多くの賞が集まりました。
【2016年】NY映画批評家協会賞発表！「ラ・ラ・ランド」が作品賞に輝く。
ロサンゼルスを舞台にしたミュージカル映画「La La Land」は5部門で次点までに残りましたが、結局受賞したのは音楽賞(作曲ジャスティン・ヒューウィッツ、歌詞バンジュ・パセクとジャスティン・ポール)のみ。
また、NYFCCで審査員から高評価を受けたケネス・ローネガン監督の「Manchester by the Sea」も、3部門で次点にまでの残りましたが受賞はありませんでした。
アダム・ドライバー、イザベル・ユペールも受賞！
そのほか主要な賞では、主演男優賞で「Paterson」のアダム・ドライバー。助演女優賞に「Certain Women」のリリー・グラッドストーン。脚本賞に「The Lobster」のヨルゴス・ランティモス＆エフティミス・フィリップが受賞。
また、フランス映画「ELLE」と「THINGS TO COME」に出演したイザベル・ユペールが主演女優賞を受賞。また、英国作家サラ・ウォーターズの執筆した小説『荊の城』を原案にした韓国映画「THE HANDMAIDEN」が外国語映画賞を受賞。
アニメーション賞に「君の名は」、次点に「レッドタートル ある島の物語」
またアニメーション賞に輝いたのが「君の名は」。ディズニーなどアメリカで大ヒットだった映画を打ちやぶっての受賞となりました。今年のアカデミー賞でのノミネート、受賞が期待されます。
また、ジブリが製作を行った日仏合作のアニメ映画「レッドタートル ある島の物語」が次点になりました。
一方で、アメリカ産のアニメーションはどのカテゴリーの次点にも残りませんでした。
NYFCCではディズニー映画「ズートピア」が受賞しました。ただ、日本で約170億円、中国で40億円以上もの興行収入を得た「君の名は」の世界的な勢いを見ると、アカデミーでの軍配が「君の名は」に上がる可能性も十分にありえますね。ちなみに「君の名は」はロサンゼルスでLAFCA発表の2日前に公開されています。
助演男優賞の次点にイッセー尾形
マーティン・スコセッシ監督「沈黙 -サイレンス-」に出演した俳優イッセー尾形が次点に入りました。「沈黙 -サイレンス-」は遠藤周作の小説「沈黙」を映像化した作品で、アンドリュー・ガーフィルド、アダム・ドライバーやリーアム・ニーソンなどのハリウッドスターが出演しています。
まとめ：ダイバーシティに富んだLAFCA
ハリウッドが多様性に欠けたアワードとして批判されたとしても、その被害は決してLAFCAには及ばない。それほどLAFCAは多様性を重視したアワードです。投票も名ばかりだけの平等ではなく、真摯に才能を高く評価した上で行っています。今回の賞でも白人男性に与えられた賞はたったの2つでした。
「ムーンライト」の監督バリー・ジェンキンスは黒人男性で、「Certain Women」や外国語映画賞の次点「Toni Erdmann」、実験映画賞「The Illinois Parables」の監督は皆女性です。
また、韓国映画「THE HANDMAIDEN」が2部門受賞。アニメーション賞では次点まで日本の作品と国を超えて良い作品を認める傾向があります。
第89回アカデミー賞授賞式は2017年2月26日
さて、アカデミー賞では今回受賞した作品がもう一度大きな喝采を浴びることができるのでしょうか。
2015年度は多くの作品がアカデミー賞でも同じように賞を獲得しました。
今回のアカデミー賞でも、「ムーンライト」「La La Land」「Manchester by the Sea」「The Lobster」の4作品がしのぎを削りそうな予感がします。
ロサンゼルス映画批評家協会賞 一覧
作品賞 「ムーンライト」
次点「La La Land」
監督賞 バリー・ジェンキンス「ムーンライト」
次点 デミアン・チャゼル「La La Land」
主演女優賞 イザベル・ユペール「Elle」「Things to Come」
次点 レベッカ・ホール「Christine」
主演男優賞 アダム・ドライバー「Paterson」
次点 ケイシー・アフレック「Manchester by the Sea」
助演女優賞 リリー・グラッドストーン「Certain Women」
次点 ミシェル・ウィリアムズ「Manchester by the Sea」
助演男優賞 マハーシャラ・アリ「ムーンライト」
次点 イッセー尾形
脚本賞 ヨルゴス・ランティモス＆エフティミス・フィリップ「The Lobster」
次点 ケネス・ローネガン「Manchester by the Sea」
撮影賞 ジェームズ・ラックストン「ムーンライト」
次点 リヌス・サンドグレン「La La Land」
美術賞 リュ・ソンヒ「The Handmaiden」
次点 デイヴィッド・ワスコ「La La Land」
編集賞 ブレット・グラナト、マヤ・ムンマ、ベン・ソザンスキ「O.J.: Made in America」
次点 トム・クロス「La La Land」
音楽賞 ジャスティン・ヒューウィッツ(作曲)、バンジュ・パセク＆ジャスティン・ポール(歌詞)「La La Land」
次点 ミカチュー「Jackie」
外国語映画賞 「The Handmaiden」
次点 「Toni Erdmann」
ドキュメンタリー映画賞「I Am Not Your Negro」
次点 「O.J.: Made in America」
アニメーション賞 「君の名は」
次点「レッドタートル ある島の物語」
新人賞 トレイ・エドワード・シュルツ＆クリシャ・フェアチャイルド「クリシャ」
実験的映画賞 デボラ・ストラットマン「The Illinois Parables」
