こんにちは、アートコンサルタントです。さて、今日は久々にまじめなブログを書きます。
「劇場に就職したい新卒が企業選びで気を付けるべきポイント」
実際に、劇場勤めをしたことがある私が、劇場に就職する際に気を付けるポイントをご紹介します。
まず、劇場で働く方法として、主に4パターンあると思います。
①劇場を運営している民間企業(東宝など)への就職
②劇場を運営している財団(文化振興財団など)への就職
③劇場を運営している公的機関(県や市など)への就職
④劇場を公的機関から請け負っている民間会社(指定管理会社)への就職
この4つのパターンそれぞれ、注意点やメリット・デメリットについてご紹介します。
※エンタメ領域のキャリアパスについては、以下の私が運営しているサイトでも紹介しているので、ぜひご覧ください。
目次
①劇場を運営している会社への就職
とは、帝国劇場(東宝)や東京宝塚劇場(阪急電鉄)、本多劇場(本多劇場グループ)などのことを指します。
ブランドがある劇場だけに、マナーの徹底や、劇場のユーザビリティなど、常にクオリティの高いサービスが求められることが多いです。
また、東宝や松竹などは、大手企業ですので年収もそれなりに高く、また福利厚生といった制度も整っており、正社員として安定的な生活を保ちやすいです。
東宝の平均年収:874万円(2018年)
一方で、下北沢の中小劇場などを運営する会社の場合、以前私が見た中途での給与が月額18万円くらい。中小劇場の空間が大好きで、中小劇団の成功を陰ながら支えたいという情熱のある方にはおすすめしますが、ベンチャー企業と同じで制度面で整ってないケースも多く、時には残業時間の多さも覚悟する必要がありそうです。
ただし、大手企業であるほど、部署異動といったケースも多く、一生劇場で仕事をしたいという方は、劇場だけを運営している民間企業への就職がおすすめです。
また、民間企業の場合は大手であればあるほど、あくまでも劇場の運営を任されるのであり、作品の制作は別組織が担当するケースが多いため、「観客が作品を楽しめるために、劇場をいかに使いやすいものにするか」といった劇場運営そのものに関わりたい人にはうってつけでしょうか。
②劇場を運営している財団(文化振興財団など)への就職
日生劇場(ニッセイ文化振興財団)や世田谷パブリックシアター(せたがや文化財団)など、財団が劇場を運営しているケースもよく見られますね。
財団はトップが大手企業や行政のOBなど、組織がトップダウンで運営されているケースが多いです。なんだかんだ言って、劇場の運営や上演にはお金がかかるので、OBのコネを使ってお金を集めないといけません。
東宝や宝塚のように、作品と劇場運営は別というケースは少ないですが、
結構縦割り社会なので、新卒で入社していきなり自分の企画持っていきたい、みたいなパッションを持った方だと、雑用ばかりで「思っていたのと違う」となりがちです。
ただし、公益財団法人としま未来文化財団など、先進的な演劇を取り扱うフェスティバルトーキョーを主催していたりする財団も多く、若いうちから活躍できる機会の多い財団もあるので、HPなどで主催している企画を確かめるのはマストです。
③劇場を運営している公的機関(県や市など)への就職
少なくはなってきましたが、文化財団や、指定管理者などに運営を任せるのではなく、行政の職員がホール(市民会館)で働くケースがあります。
行政の場合、年間の予算とスケジュールが事前に決まっているケースが多いです。行政によって大きく異なるのですが、お役所という感覚の強い職場では、職務も何々担当と決まっていることが多く、余計なことはするなという習慣が強いようです。
あと、市民ホールは地方にいけばいくほどターゲットがおじいさん、おばあさんで、インターネットなどを使ったマーケティングなどを行う機会が少ないので、その後のキャリアパスとして民間の劇場運営企業に行きたい方は、キャリアパスが狭まりがちです。
また、収益を上げるという感覚がないため、よく言えば自由で観客が入らなくても心配がないのですが、悪く言えば入らなくても良いので、これもキャリアパス的に民間に行きたい人にはデメリットかもしれません。
言わずもがな、公務員ですので給料やワークライフバランスは安定していることが多いですが、ホールなので公務員には珍しく土日出勤もあります。
あとは、基本3年で異動するので、一生劇場で働きたいという方にはおすすめできないです。
④劇場を公的機関から請け負っている民間会社(指定管理会社)への就職
今は、行政がホールや公民館の運営を、指定管理制度を使って民間会社に委託するケースが増えてきました。
指定管理者制度では、3年や5年という期間で再度入札が行われます。
管理しているホールや公民館の運営を、現地で契約社員などで調達するケースが多く、仮に入札で負けて別会社に委託となれば、その後は働き口がなくなるケースも考えられます。また、給料も賞与がないことも一般的なので、正直なところ家庭を持つ男性には中々おすすめしにくいです。
また、行政の限られた予算内で運営することが求められるため、いかに予算を抑えて興行するかが重要です。
そのため、松竹やプレイガイドなど、劇団や芸能人と親交があるベテランをホールの事業部長などとして採用するケースが多く、大きな公演はすべてその人のコネで開催するケースが多いので、若手社員の企画が通りにくいことも多いです。
ただし、少ない予算の中で運営するため、地域の人と仲良くなり、無料で演奏してくれる人を探し出すなど、地域密着型の仕事がしたい方には良い経験ができるかもしれません。
あとは、人件費も割けないので、広告宣伝から劇場の運営も自分たちでやるため、高校の文化祭的なノリの部分もあります。
劇場の求人を探す方法
ざっとまとまりなく書いてしまいましたが、
劇場は土日に公演が入っていることが多く、平日休みといったケースも多いです。この点は①②③④どれも共通しますね。
また、どの働き方が自分に合っているのかを確かめる一番の方法は、インターンやアルバイトをしてみることだと思います。
実際に劇場のホームページに訪れ、働き口があるかどうかなどチェックしてみましょう。
あとは、劇場の仕事をどこで探すのか疑問に思われる方も多いと思います。
私がおすすめするサイトが、ネットTAMのキャリアバンク
民間企業から、文化財団、指定管理者まで、幅広く求人を取り扱っています。
その他、エンタメ系の企業に就職したい方は、ぜひ以下のサイトもご参考くださいませ。