海外で最も評価されるノーベル文学賞川端康成の小説はなにか――
この記事では海外で評価の高い川端作品を紹介します。
1968年、日本人で初めてノーベル文学賞を受賞した川端康成。川端の描く「日本の美」は今までに多くの読者を魅了してきました。
川端の小説を読めば日本特有の美とは何かーそれに気づくはず。
そこで、この記事では海外で認められている川端康成作品を紹介します。
参考にしたのは、英語圏の大学シラバスを集計して、授業の参考図書をまとめたWEBサイト「オープン・シラバス」。
大学の授業で用いられている川端作品とは、まさに「日本の美」を知るための教科書とも言えます。
これらの本を読めば、「日本人とは?」という問いに迷わなくなるでしょう。
1位 雪国/Snow Country
川端康成がノーベル文学賞を受賞する際に選考基準となった作品。雪深い温泉町で気ままに生きる主人公が一途な生き方を貫く芸者に出会う。主人公のすさんだ心と芸者の雪のように白く、真っ直ぐな生き方が対比されている傑作。
2位 千羽鶴/Thousand Cranes
続編の「波千鳥」を読んで「千羽鶴」は完結します。名器である志野茶碗を中心に人間の愛欲が巡りめぐる作品です。でもなぜ題名が「千羽鶴」なのか...それにはきちんと理由があります。
「千羽鶴」は川端康成の描く女性美が極致に至った作品です。また、川端作品の中でも読みやすいのでかなりおすすめ。
3位 美しさと哀しみと/Beauty and Sadness
この作品が3位か...と川端ファンは思うかもしれません。レズ関係にある女師匠の恨みを果たすために、師匠の元不倫相手の男を呪うというメロドラマちっくなあらすじ。しかし、海外の人から見たら、ここに日本最初の小説とされる源氏物語の世界が見えてくるのかもしれません。あの有名な六条御息所の生霊と葵、源氏の三角関係が...
4位 名人/The Master of Go
死に際してまで芸の道を極めようとする碁の名人を描いた小説。女性の主題が多い川端小説の中でも異色の作品。破れてもなお「名人」と尊敬されるような人間になるにはー ジャンルや時代を超えて我々に語りかける作品。
5位 美しい日本の私/Japan the Beautiful and Myself
自然、死、虚無、日本人の心そして精神。これらのつながりのなかで我々日本人とは何かを川端は教えてくれます。ノーベル文学賞受賞スピーチの全文が掲載された作品。
海外でビジネスをしたり、海外の人に出会う機会の多い人は、まずこの本を読むのが良いと思います。
6位 山の音/The Sound of the Mountain
三島由紀夫や吉行淳之介など名だたる小説家が推薦する川端作品が「山の音」。
まとめ
ノーベル文学賞を受賞するきっかけとなった「雪国」が1位。まだ川端康成の小説を読んだことがない人は「雪国」、一度でも読んだことがある人は海外からの評価が特に高い「千羽鶴」を読むのが良いと思います。
「千羽鶴」ですが、私の個人的な感想になってしまいますが、川端康成の最高傑作だと思います。「千羽鶴」と「古都」は読んで心が温まり、スッキリする作品です。
また、海外に旅行やビジネスで訪れて、「日本人とはこういう人間で...」とハッキリと語れるようになりたい人には「美しい日本の私」をおすすめします。