2017年アメリカ公開の映画『ゴースト・ストーリー/A Ghost Story』。サンダンス映画祭で初公開され、高い評価を得ている作品です。
名前やポスターだけ読むとホラー映画なのかと思いますが、ジャンルはファンタジー・ロマンスドラマ。布をかぶっているのはゴーストですが、決して悪さをしたりするようなホラー映画のゴーストではありません。むしろ、海外の批評にも書かれていますが、この映画はゴーストを通して自然を超えた世界への視野を広げてくれる作品なのです。
このサイトでは、日本でもいち早く映画『ゴースト・ストーリー/A Ghost Story』のあらすじ、キャスト、公開日についてご紹介します。
映画『ゴースト・ストーリー/A Ghost Story』を3つにまとめて紹介
①ホラー映画ではなく、ファンタジー・ロマンス映画
本作はホラー映画ではありません。亡くなったミュージシャンのCが、妻を失ったことを理解し、心の底から納得するまでを描いたファンタジー・ロマンス作品です。
②主演はケイシー・アフレックとルーニー・マーラ
ミュージシャンのC役を演じるのはケイシー・アフレック。ポスターや予告動画の白い布をかぶったゴーストはケイシー・アフレックが演じています。また、妻のM役に起用されたのはルーニー・マーラ。二人は2013年に本作の監督であるデヴィッド・ロウリー監督の映画「セインツ -約束の果て-」で共演しています。
③監督は「ピートと秘密の友達」のデヴィッド・ロウリー
監督はアメリカ出身の36歳、デヴィッド・ロウリー。2016年公開のディズニー製作映画「ピートと秘密の友達」の監督・脚本を務めました。
ストーリー・あらすじ・ネタバレ
映画『ゴースト・ストーリー/A Ghost Story』のあらすじについて紹介します。
結末まではネタバレしませんが、白い布をかぶっているのはケイシー・アフレック演じるCが亡くなった姿を表現しています。映画の登場人物のほとんどはゴーストのCを見ることはできません。
映画『ゴースト・ストーリー/A Ghost Story』あらすじ
郊外に暮らすミュージシャンのCと妻のM。しかし、Cは車にはねられ突然亡くなってしまいます。
Cは白い布をかぶった状態で目が覚めます。Cは自分が亡くなったことに気付きませんが、しかし病院から家までの帰り道だれもCの存在に気づかず、Cは自分がゴーストであると今の状況を理解します。
家では悲しむ妻のM、妻Mのそばに何週間も、何ヶ月も寄り添いますがMは気付きません。そんなところに、他の女性のゴーストとCが出会います。女性のゴーストは何かを待っているのだが、何を待っているのかを忘れてしまったと語ります。
ある夜、妻のMが新しいボーイフレンドと家に帰ってくるのを目にします。Cは怒り、家中の光を消したり、本を床に投げ捨てると状況を理解できないMは驚きます。
それからいく日か経ち、MはCが生きていた時に自分のために作ってくれた曲を聴きます。そして、Mはついに家から引っ越すことを決意します。しかし、その前に小さな紙切れにある言葉を残し、紙切れを家の壁の角の割れ目に入れ、さらに角の割れ目を埋めて外から見えないようにしました。
後ろにいたゴーストのCはMが去ると、その割れ目に入れた紙に何が書かれているのか知ろうとします。しかし、すぐにその家にはヒスパニックのシングルマザーと男女の兄弟がやってくるのでした。彼らがピアノを弾いたり、食事をしたり、クリスマスを祝ったりする日々をCは毎日見つめます。
ある夜、ゴーストはその存在を知られてしまいます。ゴーストが兄弟の部屋に行き、クローゼットを開けたのですが、それが男の子に見られてしまったのです。寂しさが募り、ゴーストは皿をカップボードから投げ、電気を消したりして家族を怖がらせます。結局、すぐにその家族も家から去ってしまうのでした。
いつの間にか、その場所にビルが建ち、と思うと時代は19世紀のネイティブ・アメリカンの時代になります。結局、その紙に書かれていた言葉とはなんだったのか...Cがその紙切れに残されたMの言葉を知った時、ゴーストの身にあることが起こります。
予告動画
キャスト:主演はケイシー・アフレックとルーニー・マーラ
主演はデヴィッド・ロウリー監督が2013年に公開した映画「セインツ -約束の果て-」でも共演したケイシー・アフレックとルーニー・マーラです。
ケイシー・アフレックは2016年に公開された「マンチェスター・バイ・ザ・シー」で本人初のアカデミー主演男優賞を受賞。ルーニー・マーラーは2015年に映画「キャロル」でアカデミー助演女優賞にノミネートしています。
それでは映画『ゴースト・ストーリー/A Ghost Story』に出演するキャストについてご紹介しましょう。
映画『ゴースト・ストーリー/A Ghost Story』キャスト紹介
C役:ケイシー・アフレック
1975年アメリカ生まれの41歳。兄は役者&映画監督のベン・アフレック。
1995年「誘う女」から本格的に映画に出演しはじめ、2001年より「オーシャンズ」シリーズに出演。2007年ブラッド・ピットと共演した映画「ジェシー・ジェームズの暗殺」でアカデミー賞とゴールデングローブ賞の主演男優賞にノミネート。
2013年にデヴィッド・ロウリー監督の映画「セインツ -約束の果て-」に出演。
2016年に公開されたケネス・ロナーガン監督の「マンチェスター・バイ・ザ・シー」で主人公リー役を演じ、アカデミー賞やゴールデングローブ賞などほとんどのアワードで主演男優賞を受賞しました。
M役:ルーニー・マーラ
1985年アメリカ合衆国ニューヨーク生まれの32歳。姉は女優のケイト・マーラー。
ルーニー・マーラの父親はアメリカンフットボールのチームであるニューヨーク・ジャイアンツを創設した一族であり、また母親はNFLのチームであるピッツバーグ・スティーラーズを創設した一族。
2010年に映画「ソーシャル・ネットワーク」に出演、そして2011年には人気シリーズ「ドラゴン・タトゥーの女」の主人公リスベット・サランデル役に抜擢。アカデミー賞やゴールデングローブ賞の主演女優賞にノミネート。
2013年にデヴィッド・ロウリー監督の映画「セインツ -約束の果て-」に出演しケイシー・アフレックと共演。2015年にはケイト・ブランシェット主演の映画「キャロル」に出演し、カンヌ国際映画祭で女優賞を獲得しました。
最新作は2016年公開の映画「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」ルーシー役。
デヴィッド・ロウリー監督紹介
映画『ゴースト・ストーリー/A Ghost Story』を監督したのはアメリカ出身の映画監督デヴィッド・ロウリー。2016年にはディズニー製作の実写映画「ピートと秘密の友達」の監督に起用されました。
ここでは、デヴィッド・ロウリー監督について詳しく説明します。
プロフィール
1980年ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれの36歳。カトリックの両親の子供として生まれ、9人兄弟の長男。父はダラス大学の神学の教授。アーヴィング高校卒業する前に数多くの映画作品に触れたロウリーは19歳の時に初めて短編映画「Lullaby」を撮影。
保護者から捨てられた2人の子供を描いた映画「St. Nick」が2009年のサウス・バイ・サウスウェスト映画祭で公開され、ダラス国際映画祭ではテキサス・フィルムメーカー・アワードを受賞。
2011年に制作した短編作品「Pioneer」が初めてサンダンス映画祭にて上映されます。
2013年にはケイシー・アフレックとルーニー・マーラが出演した映画「セインツ -約束の果て-」がサンダンス映画祭のグランプリにノミネート。
2016年にはディズニー実写作品「ピートと秘密の友達」の監督・脚本に抜擢。本作は1977年に公開された映画「ピートとドラゴン」のリメイク作品です。
2018年にはデヴィッド・ロウリー監督・脚本、ロバート・レッドフォード、ケイシー・アフレック出演の映画「The Old Man and the Gun」が公開されます。
デヴィッド・ロウリーが影響を受けた監督&作品
影響を受けた作品や映画監督に、クレール・ドニ「35杯のラムショット」、ロバート・アルトマン「ギャンブラー」、ポール・トーマス・アンダーソン、デヴィッド・フィンチャーの名を挙げています。
公開日&映画館:日本&アメリカ
ここでは日本とアメリカの公開日をお伝えします。
アメリカの公開日
アメリカでの初公開は2017年1月22日のサンダンス映画祭にて、一般劇場公開は2017年7月7日です。
日本の公開日
日本での公開日はまだ決定していません。しかし、ケイシー・アフレック&ルーニー・マーラ、かつ2018年アカデミー賞の候補作品として海外メディアに取り上げられているので、DVDのみではなく映画館での上映の可能性はかなり高いです。
観客からは明らかに見えるゴースト、同じような演出にヴィム・ヴェンダース監督の名作「ベルリン・天使の詩」が挙げられます。
両作品とも、自然を超えた世界、つまりヴィム・ヴェンダース監督の「ベルリン・天使の詩」では天使であり、またデヴィッド・ロウリー監督の『ゴースト・ストーリー/A Ghost Story』であれば霊の存在を通して、スピリチュアルで、知らずに私たちを動かし、また見守るものへの視野を広げています。
どちらの作品も登場人物たちは天使や霊を見ることができませんが、観客は天使や霊の心情を通して、怖がるよりもむしろ自分が一人では生きていないこと、目には見えない大きな存在があることを静かに感じ取ることができるのではないかと思います。
世の中にあるゴーストと名のついた作品のほとんどは私たちを怖がらせる存在として描かれていますが、「バットマン」シリーズの「ダークナイト」のように、存在そのものが果たして何であるのかという理性的な視線でゴーストを考えられる作品になっているのがデヴィッド・ロウリー監督の『ゴースト・ストーリー/A Ghost Story』なのです。