この記事では、フランス出身のヌーヴェルヴァーグを代表する映画監督ジャン=リュック・ゴダール監督のおすすめ映画をランキング形式でご紹介します。海外の映画レビューサイトの得点を参考に、ジャン=リュック・ゴダール監督最高の作品をお伝えします!
sites.google.com @「勝手にしやがれ」
『勝手にしやがれ』や『危狂いピエロ』など卓越した作品を生み出し、ヌーヴェルヴァーグを代表し、現在でも映画を撮影し続けているジャン=リュック・ゴダール監督。
Pinterest @「気狂いピエロ」より
では、今まで公開されてきたジャン=リュック・ゴダール監督作品の中で、海外からの評価が1番高い作品はなにかー
今回の記事ではジャン=リュック・ゴダール監督作品を海外の評価が高い順にランキング形式でご紹介します。
ジャン=リュック・ゴダール(1930年ー フランス)
Taste of Cinema
1930年フランス・パリ生まれ。ソルボンヌ大学に入学後、「シネクラブ・デュ・カルティエ・ラタン」に参加しジャック・リヴェット、フランソワ・トリュフォーらと出会う。1951年にアンドレ・パザン編集の映画批評誌「カイエ・デュ・シネマ」が創刊。ゴダールも記事を執筆するようになる。1954年に初めて短編映画を撮影する。1959年「勝手にしやがれ」で長編映画デビュー。1960年には「勝手にしやがれ」でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞する。1961年女優アンナ・カリーナと結婚。1965年にSF映画「アルファビル」でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞。1967年に商業映画との決別を宣言。1983年に「カルメンという名の女」がヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞を受賞。最新作は2014年公開「さらば、愛の言葉よ」。また、「気狂いピエロ」で溝口健二監督の影響が見受けられるように、日本映画にも傾倒している。
それではジャン=リュック・ゴダール監督の作品をランキングでご紹介します
今回作品を評価するにあたり参考にしたのが海外最大の映画レビューサイト「Rotten Tomatoes」です。
ジャン=リュック・ゴダール監督おすすめ作品ランキング
10位(83.5点) 彼女について私が知っている二、三の事柄
Zone Telechargement
theredlist.com
解説
アンケート記事を参考に作られた作品。パリ郊外に暮らしながら売春をする平凡な主婦の日常を描いている。
あらすじ
パリ郊外に暮らしながら売春をする平凡な主婦の日常を描いている。
- 公開年:1966年
- キャスト:ジョゼフ・ジェラール、マリナ・ヴラディ
- 批評家の得点:94点/観客の得点:73点
9位(85.5点) アルファビル
The Same Cinema Every Night
Seven Inches of Your Time
解説
ベルリン国際映画祭で金熊賞を獲得したSF長編映画。アルファビルと名付けられた感情を持つことを許されない都市が舞台。シークレット・エージェントのレミー・コーションが人びとを操る人工知能を破壊しようと試みる。
あらすじ
人工知能アルファ60に支配され、思想や感情を持つことが許されない星雲都市アルファヴィル。シークレット・エージェントのレミー・コーションは、アルファビルを生みだした開発者ブラウン教授を逮捕しようとするのだが......。
- 公開年:1963年
- キャスト:エディ・コンスタンティーヌ、アンナ・カリーナ
- 受賞:ベルリン国際映画祭 金熊賞
- 批評家の得点:90点/観客の得点:81点
8位(86点) 気狂いピエロ
chowdesign
blog.cinematheque.fr
解説
ヌーヴェル・ヴァーグの代表的作品。男女の恋、裏切り、破滅をテーマにしたストーリーの中に、様々な映画をオマージュした場面や要素を混ぜ合わせ、光・色・音にこだわった作品。アンナ・カリーナのミュージカル的シーンが印象的。
あらすじ
妻を持つ男が愛人と逃避行し、裏切られ、破滅へと向かってゆく。
- 公開年:1965年
- キャスト:ジャン=ポール・ベルモンド、アンナ・カリーナ
- 批評家の得点:85点/観客の得点:87点
7位(87点) ウィークエンド
PopOptiq
Alchetron
解説
ゴダールによる文明への批判をショッキングなストーリーで表現した作品。ベルリン国際映画祭で金熊賞にノミネートされた。
あらすじ
互いに不倫をしている中流家庭の夫婦ロランとコリンヌ。コリンヌの実家へ向けてウイークエンド旅行に出かけるが、郊外へ向かう車の渋滞に遭遇し、渋滞の列は集団ヒステリー状態になる。コスプレ騒ぎに銃撃戦、夫妻は車を失い、徒歩で目的地へと向かうことになるが、この異常事態は二人についてまわるのだった......
- 公開年:1967年
- キャスト:ジャン・ヤンヌ 、ミレーユ・ダルク、ジャン=ピエール・カルフォン
- 批評家の得点:100点/観客の得点:75点
6位(87.5点) 中国女
The Red Phoenix
De Toujours
解説
中華人民共和国が文化革命を行った1960年代後半、文化革命に影響されたフランス人の若者たちを描いた作品。
あらすじ
毛沢東主義者の若者たちが文化人を暗殺するまでを描いたドラマ。中国で文化大革命が起きた67年。パリのソルボンヌ大学哲学科に通うヴェロニクのほか、俳優や画家、元娼婦など経歴の異なる5人の若者がマルクス・レーニン主義の学習を続けるうちに毛沢東主義者となる。合宿所で彼らは、ある文化人の暗殺を目論むことになる。
- 公開年:1967年
- キャスト:アンヌ・ヴィアゼムスキー、ジャン=ピエール・レオ、ジュリエット・ベルト
- 受賞:ヴェネツィア国際映画祭 審査員特別賞
- 批評家の得点:100点/観客の得点:75点
5位(90点) 軽蔑
AlloCiné
ARTE
解説
原作はアルベルト・モラヴィアの同名小説。下火になりつつあるヨーロッパの映画産業を背景に脚本家と女優の夫婦の破たんを描く。
あらすじ
フリッツ・ラングが監督の映画『オデュッセイア』があまりにも難解すぎるため、劇作家のポールのもとにアメリカから来たプロデューサーであるプロコシュが台本の書き直しを依頼しにくる。プロコシュの自宅へ招かれたポールとカミーユ夫妻。その後、カミーユにプロコシュから映画のオファーがくると、カミーユとポールの仲は見えない溝が生まれてゆく。
- 公開年:1963年
- キャスト:ブリジット・バルドー、ミシェル・ピコリ、ジャック・パランス、フリッツ・ラング
- 批評家の得点:94点/観客の得点:86点
4位(91点) 男性・女性
Unifrance
解説
「マルクスとコカコーラの混血児」とも言われる60年代後半フランスの若者たちの生態を捉えた作品。
あらすじ
雑誌社で働く青年とスターを夢見る娘との恋の行く末を描く。
- 公開年:1966年
- キャスト:ジャン=ピエール・レオ、シャンタル・ゴヤ
- 批評家の得点:95点/観客の得点:87点
3位(92.5点) 女と男のいる舗道
CineMaterial
www.pinterest.com
解説
ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞にノミネートされた作品。ブリス・パラン本人とナナが展開する哲学話は見もの。
あらすじ
主人公のナナは、女優を夢見て離婚したが、成功をつかめずにレコード屋の店員をしている。しかし、友人の勧めもあり、ついにナナは娼婦となる。ある日、ナナはカフェで見知らぬ男と哲学的な話をはじめるのだった…
- 公開年:1962年
- キャスト:アンナ・カリーナ、サディ・レボ、アンドレ・S・ラバルト
- 受賞:ヴェネツィア国際映画祭 審査員特別賞
- 批評家の得点:93点/観客の得点:92点
1位(93.5点) はなればなれに
www.cubecinema.com
解説
長編第7作目。即興演出やミュージカル・シーンも織り込んだ犯罪ミステリー。音楽は「ロシュフォールの恋人たち」などの音楽を担当したフランス人作曲家ミシェル・ルグラン。
あらすじ
冬のパリが舞台。親友のフランツとアルチュールは英語学校に現れた美しいオディールに一目ぼれしてしまう。ある日、オディールが叔母の家で愛人が隠している大金を見かける。そして、3人は強奪計画をたてるのだが仲間の一人が撃たれてしまう……。
- 公開年:1964年
- キャスト:アンナ・カリーナ、サミー・フレイ、クロード・ブラッスール
- 批評家の得点:96点/観客の得点:91点
1位(93.5点) 勝手にしやがれ
CineMaterial
解説
フランソワ・トリュフォーが原案、クロード・シャブロルが監修したヌーヴェル・ヴァーグの記念碑的傑作。ジャン=リュック・ゴダール監督の初の長編映画。
あらすじ
自転車泥棒をして追いかけてきた警官を殺し、パリに逃げて来たミシェルは、アメリカ人の恋人パトリシアと行動を共にする。そんなある日、彼の元に警察の手が及ぶ。その時、パトリシアは意外な行動に……。
- 公開年:1960年
- キャスト:ジャン=ポール・ベルモンド、ジーン・セバーグ、ジャン=リュック・ゴダール
- 受賞:ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)、ジャン・ヴィゴ賞
- 批評家の得点:97点/観客の得点:90点
1位はゴダール監督初の長編作品『勝手にしやがれ』とミシェル・ルグランの音楽で踊るダンスが可愛い『はなればなれに』でした。
個人的にはベルリン国際映画祭で金熊賞に輝いたSF映画『アルファビル』の世界観や価値観が好きです。感情を持つことを許されない人間が、自分の本能と格闘する姿が上手に描かれています。
「amour, Qu'est ce que c'est ?(愛、何それ?)」と言っていたアンナ・カリーナ演じるナターシャが、アルファビルから去る車の中でつぶやく「Je vous aime(あなたが好きです)」で終わるラストシーンの美しさは計り知れません。
SF映画なのだけれども、ジャン=リュック・ゴダール監督の哲学が登場人物によって語られたりと、探偵物としてのスリル感、ジャン=リュック・ゴダールの哲学、映像の美しさ、あらゆる映画の楽しみを1つの作品で味わえます。
IndieWire @「アルファビル」
また、ゴダールの映画哲学を詳しく知りたい人はゴダールが執筆した『映画史』を読むことをおすすめします。さらに『映画史』は映像にもなっているので、ぜひご覧くださいね。
どの作品から見れば分からない人は、一番有名でストーリーも理解しやすい作品『勝手にしやがれ』からはじめるのはいかがでしょうか。私がゴダール、そして映画そのものにはまったキッカケとなった作品です。ジーン・セバーグのセシルカットが可愛すぎる。そして、ゴダール監督の男女観を象徴する作品です。ラストシーンを見れば男性は女性を恐れるようになるでしょう。
kalafudra's Stuff @「勝手にしやがれ」
ロックスターのザ・ローリング・ストーンズを撮影したドキュメンタリー映画『ワン・プラス・ワン』もあります。
www.pinterest.com
もしくは映像とストーリーを断片的にコラージュしたステンドグラスのようにきらびやかな作品『右側に気をつけろ』を観ていきなりゴダールワールドに落とされるのもよし。
Unifrance @「右側に気をつけろ」
とにもかくにも、あらゆる映画に物語&哲学としての奥深さを感じる監督がジャン=リュック・ゴダールの映画です。
PopOptiq
ジャン=リュック・ゴダールの最新作は2014年公開の「さらば、愛の言葉よ」です。ゴダール監督初の3D作品です。