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宝塚歌劇団の演出家<全28人>の特徴とおすすめ作品【ミュージカルからレビューまで】


今回の記事では、レビューからミュージカルまで、「ベルばら」でお馴染み植田先生から「龍の宮物語」で鮮烈なデビューを飾った指田先生まで、現在も活躍される宝塚歌劇団の演出家<全28人>の演出・作風の特徴や魅力、オススメの作品を一気にご紹介します!

 

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煌びやかな舞台と華やかな演出で、100年以上にわたって人々を魅了し続ける宝塚歌劇団。 本拠地・兵庫宝塚と東京日比谷に専用の劇場を持ち、一年を通して5つの組に分かれて公演を行っています。きょうは宝塚をさ ...

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□植田紳爾(1957年~)

植田先生は現在専属の演出家の中で最も古く、1957年に入団。

今の宝塚に伝わる伝統を築き上げた演出家で、1996年から2004年までは劇団の理事長も務めました。

その代表作としては宝塚の代名詞ともなっている『ベルサイユのばら』の初演脚本を担当したほか、『風と共に去りぬ』の脚本演出を担当。2014年の100周年の際には100周年記念公演となる『宝塚をどり』の演出を担当した。

特徴として、植田先生の作品は『伝統』と『型』を重んじるものが多く、セリフ回しや演出などが再演を重ねても変わらないものが多いです。「古き良き宝塚」を感じられる演出家です。

おすすめの作品

「ベルサイユのばら」(特に2001宙組と2006雪組、2013月組)

宝塚の代名詞たるベルばらはやはり一度は見て頂きたいです。

 

 

□酒井澄夫(1959年~)

酒井先生は多くのレビューを手掛けてきた演出家で、華やかで宝塚的な演出が特徴です。

近年では、星組紅ゆずる・綺咲愛里の退団公演『Éclair Brillant』を担当されました。

また、お芝居においても何度も再演される名作を生み出されており、『夜明けの序曲』『ガイズ&ドールズ』は中でも最も有名でしょう。また、なぜか星組の担当作品が非常に多く、ご自身でも「在団期間の3分の1は星組公演に携わっている」と仰るほど。

宝塚らしい、煌びやかで華やかな舞台を手掛ける演出家です。

おすすめ作品

『ガイズ&ドールズ』(特に2015星組)

個人的に2015星組版は、北翔海莉・妃海風の実力派コンビと現星組トップスター礼真琴の女役がマッチしていて、とても楽しく見られるのでおすすめです。

 

 

□岡田敬二(1963年~)

岡田先生は宝塚レビューの第一人者。女性にしかできない、日本人の琴線に触れる舞台をコンセプトにされています。中でも「ロマンチック・レビュー」という一連のシリーズは、1982年以降、「宝塚にしかできない感性と内容を持った成熟したオリジナルレビュー」として、これまで20本を上演。『シトラスの風』や『ル・ポワゾン』、大和悠河の退団公演『Amour それは...』、北翔海莉の退団公演『ロマンス!!』などもこのシリーズの中のひとつです。

2009年には「ロマンチック・レビュー」という本も出版されていますので、岡田先生のイデオロギーを知りたい方は読んでみると、レビューをさらに楽しむことができるかもしれません。

おすすめ作品

『シトラスの風』(特に1998初演)

宙組の代名詞ともなっている作品ですが、華やかなプロローグから、明日へのエナジーの場面まで、クラシカルでロマンティックな宝塚らしいシーンが詰まったレビューなので、宝塚初心者の方から、昔の宝塚が好き、という方まで広く楽しめる作品だと思います!

何度も再演されていますがやはり初演に勝るものはない気がします…花總まりさんの力かな…

 

 

□草野旦(1966年〜)

草野先生はもともと画家志望の先生。「宝塚の舞台は大きなキャンパスに思えた。」と仰るように、その独創的な表現が認められ、様々な賞を受賞されています。

草野先生の作品の舞台はパリやアメリカだけに限らず、西サモアや南米などを舞台にしたエキゾチックなショーが特徴的。『ノバ・ボサ・ノバ』や『サザンクロスレビュー』、そして2013年柚希礼音と礼真琴がデュエットダンスで追想させ話題になった『パパラギ』なども草野先生の作品です。

2011年以降は新しい作品は発表されていませんが、現在は劇団の若手演出家の育成に力を注いでおられるということです。

おすすめ作品

『レビュー伝説』

2005年に宙組で上演された作品。こちらは宝塚の掟破りではありますが、トップ娘役・花總まりさんを主演にしたショーともいえる作品。もちろん主演は和央ようかさんなのですが、このショーは各場面のお話が繋がっていて、花總まりさんがそのお話を展開させていく構成。最初から最後まで明るく煌びやかで、非常に洗練されたショーだと思います。

 

 

□三木章雄(1971年~)

三木先生は海外ミュージカルの第一人者。『ME AND MY GIRL』や『サウンド・オブ・ミュージック』『コパカバーナ』などさまざまな海外ミュージカルを担当されています。退団公演を担当することが多いことでも知られ、安寿ミラ、天海祐希、高嶺ふぶき、愛華みれ、瀬奈じゅん、水夏希、大空祐飛など多くのスターのラストを手掛けておられます。

また、2013年~各組の若手だけで上演された『New Wave!』は花組、月組、宙組の演出を担当されました。

作風としては明るく楽しく、前向きなシーンが多いのが特徴です。

おすすめ作品

『ME AND MY GIRL』(特に2008月組)

これはもう宝塚の看板作品のひとつですから、必ず見て頂きたい!何度見てもハッピーになる作品です。

 

 

□正塚晴彦(1976年~)

正塚先生はオリジナルのお芝居を多く生み出している演出家です。かなり独自の路線を歩み続けており、フェアリーな夢の世界からは遠い、『男の友情』や『人間味』という部分にスポットを当てた作品が多いのが特徴です。そのため、お芝居に特化した小劇場向きと言われることも多く、小劇場では『メランコリック・ジゴロ』『愛するには短すぎる』など、何度も再演されている作品も多いです。

正塚先生は脚本を書く際、一番初めに「いかに主演がかっこよく見えるか」を考えるそうで、黒いスーツものが多いです。また、細かい仕草やセリフ回しも「かっこよさ」にこだわるのが特徴で、キザな脚の組み方はSNS上では「正塚座り」と言われたりしています。

好き嫌い分かれる演出家だと言われますが、男役の男くさい部分を見たい人にはおすすめの演出家です。

おすすめ作品

『THE KINGDOM』

とてもマニアックですが、2014年月組の小劇場公演。この作品宝塚にはほとんどないスピンオフ作品(2013年月組大劇場公演「ルパン」に出てくる脇役を主人公にした話)なんです。正直ルパン本作はあまり好きではなかったのですが、これは面白かったです。男前で美しいスパイ、ジェニファーを演じる海乃美月ちゃんがはまり役!

 

 

□中村暁(1977年~)

中村暁先生は中村一徳先生と区別するため、ファンの間で中村A先生と呼ばれています。

中村A先生は王道でストーリー性のあるショーが作風として挙げられます。例えばお姫様が行方不明になったのを王子様が探しに行くけれど、あと一歩のところでお姫様は殺されてしまう、などショーの1場面ずつで物語が完結するという形。

また、生徒の特徴を引き出すのが上手く、ダンサーにはダンスの見せ場を作るなど、生徒を信頼した演出を作るタイプの演出家でもあります。

とても宝塚らしい煌びやかでクラシックなショーが多いので、宝塚初心者にはおすすめの演出家です。

おすすめ作品

『CRYSTAL TAKARAZUKA―イメージの結晶―』

2014年月組のショー。これは歴代でも指折りの作品です。プロローグから可憐で華やかで見ごたえたっぷりだし、どのシーンも繊細でストーリーがあって面白い。

機械人形の場面は愛希れいかちゃんを中心に宝塚では珍しいマイムっぽいダンスが見られるのですが、ここの迫力が本当にすごい。このシーンは学年問わず、月組のダンス成績上位者がオーディションで集められたそうです。また、少数精鋭の娘役群舞があるのも珍しく、とても素敵。

 

 

□小池修一郎(1977年~)

今や日本を代表する演出家となった小池先生。ファンの間では尊敬を込めて「イケコ」と呼ばれ、『エリザベート』『スカーレット・ピンパーネル』『ロミオとジュリエット』といった海外ミュージカルを宝塚流にアレンジする巨匠です。そして『オーシャンズ11』『太王四神記』『ONCE UPON TIME IN AMERICA』など、名作映画をミュージカル化する天才でもあります。近年も『1789』や『るろうに剣心』など、その後外部で再演される名作を生み続けています。

小池先生の作品には、理想と現実のギャップにもがき、悲劇的な人生を送る人物が多く登場するのが特徴。また、プロローグで主要キャストたちに主題歌を歌い継がせるのも小池ミュージカルならではです。小池先生が掲げている「初めて見る人にもわかりやすく、誰でも楽しめるように」というコンセプトがこういった演出に繋がっているのでしょう。

おすすめ作品

『NEVER SAY GOODBYE』

エリザベートもスカピンもロミジュリも…おすすめなのは当たり前なのであえて別のものを。

2006年宙組の和央・花總コンビの退団公演。小池先生がオリジナルで手掛けた作品の中ではこれが傑作ではないでしょうか。人物一人一人にストーリーがあってそこがきちんと描かれている。セリの使い方や小道具の使い方が海外ミュージカル風で本当に上手でさすが小池先生。

そして歌も最高です。今では宝塚でもおなじみになったフランク・ワイルドホーン先生の楽曲はこの作品で初めて宝塚で使われたんですよ~!現代的だけどドラマチックで素敵な作品です。

 

 

□谷正純(1979年~)

谷先生は、植田紳爾先生の演出助手を長く務められた演出家。一時期はあまりにも主要人物が皆死んでいく演出に、「皆殺しの谷」とも呼ばれていました。

また少数民族への思いが強く、少数民族の紛争や迫害をテーマにした作品が多いです(『エールの残礁』『ZORRO仮面のメサイア』など)。作風としては主人公の男役の生き方が中心の作品が多く、娘役の出番がかなり少ない印象。近年は落語やオペレッタなどミュージカルとは違う芸術文化を取り入れた作品も多く上演しています。

谷先生は現在音楽学校の芝居の講師も務められており、授業の中でも落語を取り入れていらっしゃるそう。谷先生の独特の演出は新たな表現力を持つ生徒を生み出していくかもしれません。

おすすめ作品

『ANOTHER WORLD』

この作品は宝塚に歌舞伎と落語を融合させた作品。確実に好き嫌いは分かれますし、従来の宝塚らしさはないのですが、一種の芸術としての宝塚にひとつの革命をもたらした作品ではあると思います。とても谷先生らしい作品です。

 

 

□石田昌也(1979年~)

石田先生は谷先生と同期で、ショーと芝居両方を手掛ける演出家で、ファンからは「ダーイシ」と呼ばれています。石田先生の作品は非常に「現実的」です。宝塚を夢の世界にせず、非常に現実的なセリフを言わせます。たとえば…主人公が息子に対して「お前は俺と彼女の一夜の火遊びで生まれた子だ」と言い出したり…モーツアルトが支援者を探すことを「就活」と言わせたり…。

その表現技法が毎回賛否両論を生むのは事実ですが、劇団において宝塚を舞台芸術ではなく大衆演劇として扱う唯一の演出家として、なくてはならない存在だと思います。

おすすめの作品

『ロックオペラ モーツァルト』

礼真琴・舞空瞳のプレお披露目公演として2019年に上演されたフレンチミュージカル。

正直脚本は「あぁ…石田先生だなあ…」という感想なのですが、1幕の主演の2人のダンスが恐ろしく素晴らしい。舞空瞳はもともと相手役に合わせて踊り方を変えられる娘役ではあるのですが、この作品でまたその才能を実感させられました。

 

 

□木村信司(1988年~)

通称キムシン先生。もともと入社するまで宝塚を観たことがなかったそう。それゆえか、今でも外部の作品を手掛けることも多い演出家です。宝塚ではオペラ作品のミュージカル化を多く手掛けています。『鳳凰伝』『王家に捧ぐ歌』『炎にくちづけを』などがその代表例です。

木村先生は社会的な情勢や問題を演出に組み込むことが多いです。『王家に捧ぐ歌』は主題歌が「この世に平和を~」ですし、『炎にくちづけを』はジプシーが「俺たちはジーザスが嫌いじゃない~」と歌うシーンがあります。そのあまりの直接的な歌詞や表現のあまり、日本語が苦手と揶揄されることも…。賛否が分かれる先生の一人です。

また、舞台セットが桁違いに大きいのも木村先生らしい演出です。

おすすめ作品

『Ernest in love』(2015年花組)

こちらは2005年の月組から、10年かけて再演された明日海りお・花乃まりあコンビのプレお披露目公演。

脚本はほとんど変わらずですが、演出が再演版の方が段違いに良いです!もともと楽しくハッピーに見られるミュージカルなのですが、明日海・花乃コンビがはまり役でコミカルに、かつロマンチックに演じているのでとても素敵な作品に仕上がっていると思います。

 

 

□中村一徳(1988年~)

中村暁先生と区別するため、中村B先生と呼ばれる主にショーを担当する演出家です。近年では春野寿美礼、壮一帆、早霧せいななど、退団公演のショーを手掛けることも多いです。

中村先生のショーはゴージャスでクラシカル。どの作品も群舞から歌い継ぎ、というパターンで構成されていることが多く、非常にシンプル。また、退団公演では生徒に沿った演出を組み込んでくれる演出家の一人です。

おすすめ作品

『My Dream TAKARAZUKA』

壮一帆・愛加あゆの退団公演。構成は中村先生らしくシンプルなのですが、どのシーンにも生徒の見せ場が作ってあって、生徒への愛を感じる作品です。

 

 

□藤井大介(1991年~)

ショーを手掛ける演出家。幼い頃から宝塚を観て育った「ヅカファン」で、子供の頃「なぜ自分は男なのか…なぜ宝塚の舞台に立てないのか…」と思い悩んだというからもう本物です。大介先生の宝塚愛は作品にも滲み出ています。

非常にエネルギッシュで華やかで、階段や銀橋を使った演出がうまく、さすが宝塚ファンだなあ、という印象を受けます。『Exciter!!』や『NICE GUY』など、ショーには珍しく何度も再演されることが多いです。

また、男役を女装?させるのも藤井先生の特徴、というかむしろ女装させてない作品の方が少ない気がします(笑)

おすすめ作品

『TAKARAZUKA 花詩集100!!』

2014年月組の百周年記念レビューです。全組のトップコンビが日替わりで特別出演した作品です。

これは本当に宝塚の美しさ、可憐さ、豪華さ、お洒落さ、色っぽさすべてを詰め込んだショーだと思います。ちなみにこれも男役がトップの龍を始め、脇を固める美弥るりか・凪七瑠海・沙央くらま、そして珠城りょうまで女装します(笑)

 

 

□植田景子(1993年~)

宝塚史上初めての女性演出家で、植田紳爾先生と区別するため、景子先生と呼ばれています。景子先生も幼い頃から宝塚ファンで、5度の受験で入団した情熱家です。

女性演出家らしい、繊細でロマンチックな作風です。衣装や舞台使いが情緒的で美しく、耽美。脚本は男役にスポットをあてたものが多く、娘役の魅力が弱いものが多いです。それゆえか、大劇場作品より、小劇場作品が高評価になることも多いです。

おすすめ作品

『双頭の鷲』

マニアックですが、2016年にバウホールで轟悠・実咲凜音主演で上演された作品。

原作がフランス文学なので難解な部分はあるのですが、セットから細部の演出まで、最初から最後まで「美しい」の一言に尽きる作品。景子先生の得意分野を詰め込んだような作品です。

 

 

□斉藤吉正(1994年~)

ショーとお芝居どちらも手掛ける演出家。独自の世界観を持った先生で、その奇抜な演出は「サイトーの犯行」と呼ばれています(笑)サイトー先生の作品はどれも二次元的。ショーでアニソンを使うのは、もはや恒例になりつつありますが、サイトー先生らしさで見逃せないのはお芝居のプロローグ。まるでアニメのオープニングのように舞台を大きく使った盆やセリの使い方が上手です。

アニメや戦隊モノが好きな人は絶対に好きなサイトー作品が見つかると思います。

おすすめ作品

『Trafalgar』

2010年宙組の作品。やはり特筆すべきはプロローグ。開演アナウンスのプロジェクションマッピングでテンションを煽ったあと、幕が上がると布を使った美しく壮大なプロローグが。この演出は本当に秀逸。お話も二番手が蘭寿とむ・北翔海莉という未来のトップ二人なのでとても味があって素敵な作品です。

 

 

□大野拓史(1996年~)

大野先生は洋物・日本物のお芝居を手掛ける演出家。ただ、お正月の歌劇に「日本物やらせろ今年こそ」という縦読みメッセージを残すほどにご本人は日本物に思い入れがあるよう。たしかに日本物や時代物を多く手掛けており、いずれも好評を博しています。歴史の教科書の別の側面をドラマチックに見せてくれるような、人物像を描くことが得意な演出家です。

また、映像を使った演出に賛否が分かれることが多いですが、個人的には世界観を損なわない使い方が上手い演出家なのでは、と感じています。

おすすめ作品

『阿弖流為』

マニアックですが、2017年星組のシアタードラマシティ公演。原作をよくもここまで宝塚らしくまとめきったなあという印象を受けました。また、大野先生らしい非常に斬新な映像の使い方が素敵なのでおすすめです。

 

 

□鈴木圭(1998年~)

90年代入社の演出家の中では少々遅れをとっている先生で、まだあまり作品数も多くありません。プライベートでは月組93期生の紗那ゆずはさんとご結婚されました。逆転裁判、戦国BASARAといったゲームの舞台化作品が続き、話題になりました。

ゲーム原作に非常に忠実な脚本に仕上げたことで、ゲームファンに寄り添いすぎて宝塚ファンがついていけなかったという批判もありましたが、原作や史上の人物を忠実に描く才に非常に長けた演出家です。

おすすめ作品

『燃ゆる風』

2013年以降演出を手掛けていなかった先生の復帰作。2017年にバウホールで上演されました。今までの鈴木先生らしい演出やセットがすべて取っ払われて非常にシンプルなものに変わっているのが、主演の七海ひろきの真っ直ぐな芝居と相性がとても良かったです。史上の人物を忠実に描ける鈴木先生らしい作品です。

 

 

□小柳菜穂子(1998年~)

『天は赤い河のほとり』『はいからさんが通る』など、漫画原作の宝塚化を多く手掛ける演出家。生粋のオタク気質で、宝塚はもちろん、漫画、ハロプロ、プロレス、ゲームなど様々なものに精通しておられます。それゆえか、いわゆる「萌え」を散りばめる演出に長けており、絶対的ハッピーエンドを用意してくれています。

一方ではそのオタク気質が作品に滲み出すぎて「中2感が出ている」と評されることもありますが、衣装やポスターまで非常にこだわって作るので、細部に注目するとより楽しめるのが特徴です。

おすすめ作品

『めぐり会いはふたたび』

2011年星組、小柳先生の大劇場デビュー作。ストーリーとしては平坦なのですが、粋なセリフやお芝居のテンポ感が絶妙で、ハッピーに見られる少女漫画を3次元にしたような作品です。これこそザ!小柳作品!

 

 

□稲葉太地(2000年~)

主にショーを手掛けている稲葉先生。生徒の個性にあった場面、役の割り当てが上手く、場面ごとにストーリーを作るのが上手です。

中村暁先生や草野旦先生を彷彿とさせるクラシックなストーリー展開と、藤井先生に通ずるエネルギッシュさを併せたようなショーが特徴。大階段や銀橋の使い方が上手く、大人数での群舞が多いのも特徴です。

おすすめ作品

『宝塚幻想曲』

2015年花組の作品。これは男役群舞からデュエットダンスへの一連のシーンが秀逸。男役群舞は「サクラ群舞」と呼ばれ、この年の団体賞を獲得しています。お稽古場では倒れる人が続出したという、運動量の恐ろしい大階段での男役群舞は必見です。

 

 

□生田大和(2003年~)

生田先生はスケールの大きなミュージカルを手掛ける演出家です。近年は明日海りおと相性がいいことで知られ、生田先生自身、「明日海りおという文字が好きだ」というオタク発言をするほど。

生田先生の作品はいつも人生に翻弄される男、その人生に大きく絡んでくる女性、がテーマになっています。それには生田先生自身が「人生は失われていくもの、それでもほしいものを手に入れた瞬間に惹かれる」という美的感覚が影響しているのでしょう。

ご自身がバレエをされていた影響もあるのか、舞台を美しく使うことに長けています。主人公を繊細に描くことが出来る、これからの宝塚を担う演出家の一人です。

おすすめ作品

『春の雪』

2012年月組のバウホール公演です。生田先生自身も三島由紀夫のファンだそうですが、三島作品らしい繊細で純粋で歪んだ青年を明日海りおが秀逸に演じています。明日海のはまり役という力もありますが、生田先生ならではの繊細な人物の描き方がこの作品を素晴らしいものにしています。

 

 

□原田諒(2003年~)

シリアスな芝居構成が特徴的で「宝塚らしさ」を大切にする演出家。男役を耽美に見せることが上手く、脚本には時折不安な要素がありますが、場面の美しさで見逃せてしまいます。盆や照明の使い方がうまいので脚本家、演出家というよりステージアーティストのような印象も。

最近ではオペラ『椿姫』やシアタークリエで上演された『おかしな二人』など、外部公演の演出も続いています。これまでは偉人の人生を紹介するような作品か、原作有りの作品ばかりですが、完全なオリジナルの創作もいつか期待したいです!

おすすめ作品

『雪華抄』

2016年花組、あまり多くない和物のショーで、原田先生がこれまで唯一手掛けているショー作品です。洋物レビューと同じ構成、演出を和に置き換えたような、華やかで斬新な作品です。舞台セットや照明の使い方がとっても綺麗!原田先生のいいところが詰め込まれています。

 

 

□田渕大輔(2006年~)

ストリートプレイのような人物それぞれが物語を持つような演出をする先生。まだ大劇場作品は2作と駆け出しの演出家さんですが、作品はどこか退廃的な雰囲気を多く感じます。また大学時代、舞台衣装に携わる先生に師事されていたからか、ルネサンス期・ゴシック期のドレスなど、衣装へのこだわりが素敵な先生です。

特に宙組『SANCTUARY』での伶美うららちゃんは美しすぎて息をのみました…。ただ、衣装を際立たせるためか、舞台セットや照明はシンプルで暗めのものが多いです。

おすすめ作品

『偉人たちのルネサンス』

田渕先生らしいシリアスなお芝居なのですが、ドレスも含めて舞台がとても美しい作品。また、ミュージカルベースの宝塚において珍しく「静寂」を使った場面の使い方が目立ったのが印象的な作品でした。

 

 

□上田久美子(2006年~)

演出家デビューから10年経たずして既に宝塚を担う存在となりつつある上田久美子先生。ファンからはウエクミ先生と呼ばれています。重厚で人間の本質を追究した切なく美しい悲劇作品が得意で、演出家デビュー作、『月雲の皇子』はあまりに好評のあまり、東京での再演が決まったほど。

また、奈良県のお生まれということもあり、古事記や日本の歴史に造詣が深く、大劇場デビュー作にして読売演劇大賞を受賞した『星逢一夜』も江戸時代の一揆をテーマにした作品です。

2018年には初めてショーも手掛け、奇抜で斬新なショーの構成で話題を呼びました。今の宝塚において数少ない、完成度の高いオリジナル脚本が書ける演出家です。

おすすめ作品

『金色の砂漠』

2016年花組の作品。この作品は空間の使い方がとても綺麗で、布を使って砂漠を表現していたり、決して華美ではありませんが美しい空間を作り出しています。ウエクミ作品らしい、怒り、悲しみ、愛が美しく描かれています。そしてお芝居が終わった後のデュエットダンスで泣かされたのが非常に印象的な作品です。

 

 

□野口幸作(2006年~)

アイドル演出、ジャニーズ演出が得意な野口先生。2019年に『花より男子』を手掛けたことでも話題になりましたが、野口先生といえば、スペクタキュラー三部作。2016星組『THE ENTERTAINER!』、2017雪組『SUPER VOYAGER』、2018年花組『BEAUTIFUL GARDEN』です。

この三作はいずれもショーでありながら生徒へのあてがきの色が強く、トップスターがゴンドラで出てくるなど、アイドル的な要素が強いです。すべてのレビュー作品のいいところを凝縮したような作品で、宝塚初心者がはまりやすい作品の作り手だと思います。

お芝居も『A-EN』など、やはりザ・アイドル、な作品が目立ちます。今までの宝塚にはいなかった現代的な演出家です。

おすすめ作品

『SUPER VOYAGER』

上記三部作の中の一つ、望海風斗・真彩希帆のお披露目公演です。プロローグからお披露目らしい華やかな場面が続き、ラ・ラ・ランドを彷彿とさせる場面や大階段を使ったマスゲームなど、目で楽しめる演出が為されており、とても元気になる作品です。

 

 

□樫畑亜依子(2009年~)

樫畑先生はまだ小劇場デビューしたばかりの演出家。女性演出家にしてはかなりハードに男と女を対等に描くような作品が特徴です。これまでも新人公演の演出の中でかなり存在感を示されてしました。

本作でわかりにくい脚本にセリフを追加したり、本作で群舞になっているコーラスを舞台に一人残して影ソロにしたり。こういった演出の巧さをぜひこれからのご自身の作品にも取り入れていって下さることを楽しみに待っています。

おすすめ作品

『Arkadia』

2017年月組の演出家デビュー作。正塚先生や小池先生を感じさせる男っぽい作品ですが、その中で「白いダリアの花」が効果的に使用されていたり、女性演出家らしいロマンチックな部分も含んだ作品でした。何よりダンサーの暁千星くんをガンガン躍らせたのが見応えたっぷり。

 

 

□谷貴矢(2011年~)

なんと東大出身の谷先生。非常にSFちっくでファンタジーな世界観を得意とする新進演出家。谷先生の作品は、初めは独特の世界観に戸惑うのですが、観続けているとセリフや歌詞の言葉選びがとても丁寧で、気づくと引きこまれているような印象が強いです。また、生徒のビジュアルを活かした役設定を考えるのが上手な演出家です。

おすすめ作品

『義経妖狐夢幻桜』

ビジュアルもお話もなかなかぶっ飛んでいるのですが、ファンタジーだと思って見るととてもしっかりと計算されたセリフが紡がれていて面白い作品です。

 

 

□町田菜花

『PRxPRince』でデビューしたばかりの演出家。デビュー作は思い入れがありすぎて重い作品になる演出家が多い中、町田先生はとてもライトに、現代的な笑いとか美的なエッセンスを散りばめた作品を作られました。バウホールって重たい作品が多いから、こういうどこまでもハッピーな作品素敵だなあと感じました。

デュエットダンスでディズニーを使うところとか、男役の萌えをあざとく潜ませるところとか、小柳先生に似た空気を感じています。これからが楽しみな演出家です。

 

 

□指田珠子

指田先生も『龍の宮物語』でデビューしたばかりですが、セリフの選び方が繊細で絶妙。「悲しい」というわかりきった感情ではなく、「言葉にはできないけれど悲しい」というもどかしく人間らしい感情をセリフに乗せるのが上手。セリフの使い方は上田久美子先生に似たものを感じます。

照明の使い方がきれいで、舞台芸術としても評価の高い作品だったと思います。早く次作が観たい演出家です。

 

 

■宝塚歌劇団の演出家になるには

まず、宝塚歌劇団の演出家になるにはどうすれば良いのでしょうか。

現在、方法は年に1度ほど募集される「入団試験」を受けて演出助手になるしかないとされています。

演出助手の受験資格としては大学新卒、あるいは既卒5年以内で、創作力、構想力、文章力に優れていることが挙げられています。入団試験でも実際に脚本を書くことを求められるそうで、かなりレベルの高い内容となっているようです。

 


 

今回の記事では、宝塚歌劇団の演出家<全28人>の特徴とおすすめ作品についてご紹介しました。

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