ポップアートの天才アンディ・ウォーホルと、「ティファニーで朝食を」の作家トルーマン・カポーティが、かつてブロードウェイ上演のための演劇作品を制作しようとしていたことをご存知でしょうか?
アンディ・ウォーホルはカポーティを何度も絵の題材として描くほどの仲。
しかし計画は途中で頓挫し、2人はすでにこの世を去りました。
この度、残されたテープなどの資料から、2人の天才が生み出そうとしていた作品、そして彼ら二人自身の物語がついに蘇ります。
作品名は「ウォーホルカポーティ WARHOLCAPOTE」
2人の名前を組み合わせたタイトルです。
作品の背景
どこもかしこもドラッグ&ディスコで満たされていた1970年代。
そんな時代に、ウォーホルとカポーティはブロードウェイ演劇作品を創作するためタッグを組みます。
テープに録音してあった、二人の会話を編集
ウォーホルはショーに関してカポーティと会話した内容をカセットテープに録音していました。
テープには、当時ニューヨークで最も流行っていたディスコ「スタジオ54」、またアメリカのセレブリティについて語った内容も多く含まれています。
結局、ウォーホルとカポーティは作品を最後まで創り上げることはできず、テープの存在も忘れられてしまいます。
しかしウォーホルの遺産を管理するアンディ・ウォーホル美術財団、そしてトルーマン・カポーティの著作を管理する団体の協力により、トニー賞にもノミネートされたロブ・ロスがレコーディングされた未発表のテープ内容を編集し、2人の天才のペルソナに鋭く迫る作品を生み出しました。
あらすじ
具体的なあらすじは明かされていませんが、アンディ・ウォーホルとトルーマン・カポーティが創作しようとした作品、さらにそれを創る2人のアーティストの関係を描く内容になるでしょう。
セリフのほとんどは、実際にテープに録音されている言葉から引用されます。
スタッフ
演出にはブロードウェイミュージカル「春のめざめ」「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」を演出したトニー賞演出家のマイケル・メイヤー。
ブロードウェイを視野に9月上演開始
ノンフィクションをベースにした世界初演の演劇作品は、2017年9月9日よりケンブリッジのアメリカン・レパートリー・シアターにて上演されます。
ロブ・ロスは元々ブロードウェイでの上演を視野に入れて製作しました。
「ウエイトレス」「ファインディング・ネバーランド」など数多くのブロードウェイ作品を輩出してきたアメリカン・レパートリー・シアターだけに、今作もブロードウェイでの上演が期待されます。
ウォーホルとカポーティの関係
アンディ・ウォーホルが大学を卒業し、ニューヨークへ移り住んだのが1949年。
当時すでにトルーマン・カポーティは文学界のスターでした。
まだ無名のアンディ・ウォーホルはカポーティと親しくなりたいと望んだのです。
「彼はよく私に手紙をよこしたものだよ」カポーティはウォーホルについて1973年のローリング・ストーンズ誌のインタビューで答えています。
「それは熱烈な手紙だった。彼はとてもシャイで青白い顔をしてたね、少なくとも今よりは」。
ウォーホルが初めてニューヨークで個展を開催したのが1952年、個展のタイトルは「Fifteen Drawings Based on the Writings of Truman Capote(トルーマン・カポーティの著書をもとにした5つのドローイング)」。
2人の親交はトルーマン・カポーティが亡くなる1984年まで続きました。
2人の会話に関してはインタビューやウォーホルの著書に数多く掲載されていますら、
後年は、カポーティの死の原因となったアルコールやドラッグ中毒に親しかったウォーホルは心を悩ませていました。
「彼は全く別人になってしまった、とてもよそよそしく、愛想もないんだ」ウォーホルは1980年にこう綴っています。
昨年はバスキアとウォーホルの関係を描く演劇が上演
昨年オフブロードウェイで上演されたカルヴィン・レベルスの戯曲「Collaboration: Warhol & Basquiat」は、20世紀を代表するアーティストであるウォーホルとジャン=ミシェル・バスキアの関係を描いた演劇作品です。
次はウォーホルとカポーティの関係性がブロードウェイで見られそうですね。