渡辺謙のキングが凱旋!『王様と私』日本上演決定
渡辺謙がブロードウェイ、ウエストエンドで出演していたミュージカル『王様と私』が来年7〜8月に東急シアター・オーブで上演されます!
来日するのはブロードウェイの「リンカーン・センター」バージョンで、セットはウエストエンド公演で使っていたものをそのまま持ち込むとのこと。全編英語上演です。
キャストは2015、2016年のブロードウェイ公演、2018年のウエストエンド公演に引き続き、王様役に渡辺謙、アンナ(私)役にケリー・オハラを迎えます。
米英で絶賛された渡辺の王様と、トニー賞主演女優賞を受賞したケリーのアンナをこの日本でも観ることができる、またとないチャンスですね!
ブロードウェイ・ミュージカル『王様と私』は、作曲のリチャード・ロジャース、作詞・脚本のオスカー・ハマースタインⅡ世の黄金コンビによって1951年に制作・初演されました。
原作はマーガレット・ランドンの小説『アンナと王様』で、十九世紀のタイ・バンコクを舞台に、シャム王室の家庭教師となった英国婦人のアンナと横暴なシャムの王様が、時に衝突しながらも心を通わせていく姿が描かれています。
1956年には映画版が製作されており、舞台、映画共に王様役を演じたユル・ブリンナーは、トニー賞の助演男優賞とアカデミー主演男優賞を受賞しています。
日本では1965年4月に、越路吹雪のアンナ、市川染五郎(現松本白鸚)の王様によって、梅田コマ・スタジアムで初演されました。
今でこそ歌舞伎、ミュージカル、現代劇と幅広く活躍する白鴎さんですが、当時22歳だった彼にとって、この『王様と私』は初めてのミュージカル出演でした。
この時、若かりし白鴎さんはユル・ブリンナーのトレードマークであり、王様の代名詞でもあったスキンヘッドではなく、パンチパーマのカツラをかぶって演じています。
白鴎さんもウエストエンドで王様役を演じているので、渡辺謙は海外で王様を演じた2人目の日本人俳優ということになります。(三人目は大沢たかお)
白鴎さんは『ラ・マンチャの男』でブロードウェイ出演も果たしていますし、改めて凄いお方ですね…。
さて、『王様と私』といえば、王様とアンナが<Shall We Dance?>のメロディーにのって舞台を縦横無尽に駆け抜けるダンスシーンが有名です。
それまで、手を取り合い子どもの遊びのように踊っていた二人が、王様の"Come!"の一言から身を寄せ合い見事なクイックステップを披露します。
私〈彼女〉事ですが、ユル・ブリンナーが映画でみせた男らしい"Come!!!"や、長年日本公演で王様役(もはや殿様)を演じた松平健の堂々とした物言いが好きだった私は、渡辺謙がトニー賞のパーフォーマンスでみせたアダルティな"Come......"がどうしても受け入れられませんでした。
王様とアンナの関係を男女の恋愛と捉えるか、友情と捉えるか、はたまたそのどちらでもないと捉えるかは人それぞれだと思います。
が、私は二人の関係は、国も文化も超えた人間性という部分での共感であり、恋愛ではないと思っていたので(あえて言うならもっと深い心友的な関係かと。そこに愛はあるけどまだ恋ではないと思うのです)、渡辺謙の”女性を誘う男”のような言い方には驚きました。
未開の地バンコクの人々を先進国のイギリス風に教育していくというストーリーから、人種差別を含むと指摘されることもあるこの作品。
しかし、渡辺謙が出演したブロードウェイ再演では、映画版ではカットされた楽曲「おかしな西洋の人たち Western People Funny」が復活するなど、「アジア文化の尊重」が図られたといいます。
だとすれば、このねちっとした渡辺謙の"Come……"は「下等なアジア人」を「一人の人間」として作り直した結果なのか…。
真相を確かめるためにも、早く来日公演が観たくてたまりません。
渡辺謙を抜きにしても、ケリー・オハラのアンナ役は必見です!!
東急シアター・オーブでは、9月からミュージカル『ボディーガード』の来日公演も決まりましたし、海外ミュージカルファンにとってアツい夏になりそうですね!
※公演詳細
2019年7月~8月上旬
※チケット情報
発表次第お知らせいたします。