宝塚月組トップ娘役の愛希れいかの退団公演『エリザベート−愛と死の輪舞−』がいよいよ18日に大千秋楽!
ということで、先日滑り込みで観劇してきました。
男役から娘役に転向後、次々とヒロインに抜擢されトップ娘役にまで登り詰めた規格外のスター、「ちゃぴ」こと愛希れいかの勇姿をしっかりと目に焼き付けてきましたよ。
千秋楽の日までまだまだ進化し続ける彼女と月組の『エリザベート』を、ありのままにお伝えしたいと思います!
目次
第一印象「ちゃぴってこんなに歌上手かったっけ?」
これまでのちゃぴって、歌よりもキレッキレのダンスが深く印象に残っていませんか?
正直、私はちゃぴって歌は苦手分野なのかな、と思っていました。特に高音だと上ずるというか、不安定になる感じが否めない…。
だから、『エリザベート』が決まった時、すこーし不安だったんです。だって「私だけに」とかなかなかの高音が必要とされるじゃないですか。
でも、舞台の真ん中で堂々と歌声を響かせるちゃぴを観た時、すごく感動しました!ものすっっっっっごく歌上手くなってるじゃん!と!!
不安だった「私だけに」の高音も音程をビシビシ決めていて、声量もしっかりあって。何か気迫すら感じました。
ここまで仕上げるのに、本当にたくさんの苦労と練習を積んだんだろうなぁ、としみじみ。
宝塚を出ても、「ミュージカル女優」として第一線で活躍していける、そんな確信を持ちました。
第二印象「シシィってこんなにいい子だったっけ?」
シシィ(エリザベート)って勝気でワガママで自己中心的で…、同じ女性から見ても「ちょっとあんたそれは無いんじゃないの?」的な存在でした。過去の宝塚版も東宝版も、観劇している時は夫のフランツや姑のゾフィを気の毒に思っていたんです。
それが、ちゃぴのシシィは違いました!
出てきた時から、無邪気で純粋で、とにかくまっすぐな良い子なんです。友達になりたいタイプの女子でした。
そんな子を、「しきたり!しきたり!」って追い詰めたら、そりゃあ嫌になっちゃうよね。
私、初めてシシィに共感できたかも…
これは、一重にちゃぴの役作りの賜物だと思います。シシィのこんな一面に出会わせてくれたことに、『エリザベート』好きとしては感謝しかない。あとはやっぱり、ちゃぴが元々持っている「資質」なんでしょう。
ちゃぴの凄いところの一つに、「圧倒的好感度」があると思うんです。女性ファンからも男性ファンからも好かれる。サバサバしていて媚びてる感も無くて、可愛いのにカッコいい!みたいな。芸事にもストイックで、もはやアスリートを応援する感覚に似ている(笑)
今回の『エリザベート』は、ちゃぴという才能を得て、新たな扉を開いたんじゃないかと思います。
第三印象「めっちゃハッピーエンドじゃん!!」
皆さんにお聞きしたいんですけど、『エリザベート』を観たことがない人に、「この作品ってハッピーエンドなの?」って尋ねられたらどう答えますか?
私は、「いや、ハッピーエンドって訳ではないんだけど…うーん、どうなんだろうね?」ってなってました。
でも!今回の月組『エリザベート』は、ものすっごいハッピーエンドだったよ!!
私、宝塚版だと春野寿美礼さんトートの公演が一番好きなんです。なぜって、トートがシシィのこと大好きだから。
今まで恋をしたことのない黄泉の帝王が、初めて芽生えた感情に戸惑ったり、好きすぎてストーキングしちゃったりっていう青臭い純愛を観て萌えたんです。(あの公演は『エリザベート−愛と死の輪舞−』ではなく、『エリザベート−トート閣下の初恋−』というタイトルにすれば良いと思う←)
月組の『エリザベート』も、たまきち(珠城りょう)トートがちゃぴシシィに心底恋しちゃってるのが伝わってきて、最後の最後に結ばれた二人を見て何故かとても幸せな気持ちになりました。
これまで観てきた『エリザベート』では、シシィの命を奪うチャンスが何度もあるのに先送りにするトートの行動がいまいち腑に落ちなかったんです。
「まだお前は俺を愛してはいない!」とか言いますけど、毎回「トート様、意地はってるわぁ」くらいに思っていた(笑)
それが、たまきちトートがその台詞を言った時、「本当にシシィを愛しているからこそ、自分を愛していないのに手に入れても意味がないんだ!」って感情が見えたんです。ベタ惚れやんけ。
たまきちトートは、周りの観劇した方達に話を聞く限りではあまり評判が良くなかったんですが、私的には不満はありません。「歌が…」って聞いていましたが、私が行った公演ではちゃんと声も出ていました。
やっと純愛が通じたトートと、死によってようやく心安らげる場所を見つけたシシィ。これってハッピーエンド以外の何物でもないのでは?
最終印象「月組の団結力を見せ付けられた公演だった」
今回の公演は、トップ娘役愛希れいかの他に、組長である憧花ゆりのさんの退団公演でもあります。
また、大劇場公演では、フランツ役の美弥るりかさんが体調不良で降板し、ルキーニ役の月城かなとさんがフランツを、ルドルフ/エルマー役だった風間柚乃さんがルキーニを演じるというハプニングもありました。
多くの困難を乗り越えて一致団結した月組の底力を、今回の『エリザベート』では見せ付けられたような気がします。
特にメインキャストだけでなく、脇で公演を支えた組子達の存在が強く印象に残っています。一人一人が与えられた役割を全うしていて、心地よい調和が公演全体を包んでいました。組全体が同じ方向を向いて、同じゴールを目指して、一公演一公演を大切に演じていることに感動しました。
ちゃぴの最高の笑顔が見られて満足!
「私だけに」を堂々と歌い上げた時、鏡の間であの有名な白いドレスで登場した時、デュエットダンスでたまきちにリフトされクルクルと舞っていた時。ちゃぴの忘れられない場面は沢山ありますが、何よりも心に残っているのはパレードでのちゃぴの笑顔です。
皆が銀橋に勢揃いし、音楽にのって観客に挨拶をする時、キラキラと輝くちゃぴの笑顔は本当に幸せに溢れていました。
まさに集大成!18日の大千秋楽でも、その笑顔で有終の美を飾ってくれることでしょう!