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ブロードウェイ ミュージカル

口コミでは高評価!ミュージカル『PIPPIN(ピピン)』感想をズバリ!「新しいラストシーン」が意味するものとは?


口コミでは高評価!ミュージカル『PIPPIN(ピピン)』の感想をズバリ!「新しいラストシーン」が意味するものとは?

2019年6月22日(土)、ミュージカル『PIPPIN(ピピン)』@東急シアターオーブ を観劇してきました。

当初は行くかどうか迷っていましたが。

ブロードウェイでもトニー賞のリバイバル作品賞を獲得。TwitterなどSNSでの口コミや評判が良く、当日券で観てきました!

※当日券は開演の1時間前で10人くらい並んでいました。少なくとも40〜50席くらいはまだ余裕がありました。

 

女性のパワーが溢れる新演出版『ピピン』

とにかくクリスタル・ケイが良かった。

約10年前に観た『ピピン』では、この役は男性(大澄賢也さん)が演じていて、歌というより踊りで見せている印象だったのだけど、今回の新演出版では歌、踊り、アクロバットに芝居と大活躍。

彼女の歌手的な歌い方もとても役に合っていた。

彼女の演じるリーディングプレイヤー役は歌が多くて、作品の出来を決める大きな要素を担う役。クリスタル・ケイの歌が上手で良かった。さすが。
新演出版では女性キャストがみんな活躍していて圧巻だったね。

その辺りは女性演出家というところが影響しているのかとも思ったり。

特に継母役の霧矢大夢さんめっちゃカッコ良かった。男衆を引き連れて踊るところとか。踊って歌えて、真ん中が似合うミュージカル女優は偉大だよね。
霧矢さん、ほぼダルマ衣装だったけれど、まっっったく年齢を感じさせないパーフェクトボディーだった。一人で踊る時も、大きな舞台が全然寂しくない。たった一人でもオーブの舞台を埋められるオーラが凄かったね。
あと、祖母役の前田美波里さんは同世代の女性に勇気を与えていたと思う。
肉体美やアクロバットも披露して、鍛え抜かれたエンタテイナーぶりを遺憾なく発揮してたね。

お茶目でキュートなおばあさまに、みんな心奪われてた。

ヒロイン、キャサリン役の宮澤エマはどうだった?個人的には、見た目はラプンツェルにしか見えなかった。
歌唱力に関してはやはり今ひとつではあるけど、彼女の最大の強みであるキャラクターがすごく生きていて、重要な役どころを不足なく演じていたと思う。

ピピンのフィナーレでの行動には、彼女(キャサリンを演じている役者)の存在が必要不可欠で、そこがきちんと出来ていないと全て台無しになってしまう。私はすごく納得して観れた。

これは劇中劇なんだ、と観客に強く意識させる存在でもあったよね。
「今までのピピンは手を握ってくれなかったから…」とか、そういうセリフの端々に見える「役」を越えた感情や、キャサリンとしてではなく彼女自身が「今回のピピン」に惹かれていく様がすごくわかりやすく現れていた。

最近、「メタ」って廃れてきたように思ってたんだけど、ここまでベタにわかりやすくメタ・ミュージカルをされると、やはりオリジナルの古さや時代を感じる一方で、もはや清々しい。

最後に観客に語りかけてくるスタイルとか、寺山修司や唐十郎のアングラ演劇を思い起こさせた。

『ピピン』の初演は1972年、寺山が活躍したのも同時期。1971年に上演された「邪宗門」を思い出した。この作品は芝居が虚構の世界に生きていることを、舞台機構を曝け出したりすることで伝えるのだけど、最後のピピンの方が「エンターテイメント」に注目して、その汚いところも美しいところも描こうとしていたと思う!

 

フィナーレに思うこと

『ピピン』では、人を火の中に入れて死なせるという非人道的なパフォーマンスに行きつかないとフィナーレを迎えられない。当時はベトナム戦争を揶揄したのかもしれないけど。勝手ながら現代に生きる自分は、100時間残業して、例え非人道的なこともして利益を得る「ブラック企業」を思い浮かべてしまった。
それは…思ってもみない解釈で驚いています。
でも、火に入れたところで、それが本当に観客が望んでいるものなのか。もっと別の方法で、より楽しませられないのか。

ハードワーク以外に、頭を使って業務を効率化したり、社員のワークライフバランスを考慮することで、むしろパフォーマンスを上げたりできないのか。

でも、そういった組織に入っていると、周りが見えなくて、手段が目的化していって、簡単に火に飛び込むし、簡単に会社に従うようになるというのは良くある話かと。

周りが見えないときに、助けてくれるのは、「そんなことしなくても、あなたなら大丈夫」といってくれるまさに、「愛」のある人なんだよね。

ほう、それはつまり私のことですね?
………。

ピピンにとって、自分を変える出来事は、テオとの出会いと、キャサリンとの出会いがあった。

自分以外の悩みを解決する責任感をテオから学び、自分のため以外の目的にも意味があることを知る。

そしてキャサリンからは愛をもらう。愛って偉大だなと。例え「自分はダメだ」「自分はこんな人間だ」と思っていても、自分から見えない「もう一人の自分」を見つけ出してくれることで、生きる意味を与えてくれる。

私は、あのサーカス団に信仰宗教的なにおいを感じたかな。

クリスタル・ケイが教祖で。

生きる意味や、より良い人生を教えてあげると誘い込んで、殺していくような…

 

新しい主人公を得て続くピピンの旅

ラストシーン、テオがcorner of the skyを歌い始め、それを聞きつけたプレイヤー達が再び集まってくる。もう一人のピピンが生まれゆく姿を描いていると思う
確かに、ラストは繰り返される物語を予感させて幕となるけど、そこに私は、「これ以上の何か面白いこと」を求め続けてしまう人間の性と同時に、エンタメの作り手達のプライドを感じた。
プライド?
そう。

「ピピンは”ただそこにある幸せ”で充分だなんて言っていたけれど、あなた達は今日も私たちを求めて劇場にきているじゃない?」

「あなた達にはどうしたって私たちが必要なのよ?」

そう言われてる気がした。まさにその通りで、劇場がなきゃ生きていけないし、今日も明日も「何かドキドキすること」を求めて劇場に行ってしまう自分がいる。

なるほど。フィナーレでは人を楽しませることの難しさを描く一方で、ラストシーンではマジックが起こる不思議な場所である「劇場の面白さ」にも触れているんだね。
ピピンの様に今ある幸せを大切にしたい一方で、私たちは劇場に存在するMagicの魅力から逃れることは出来ないんだなあって。

 

男性キャストについて

男性陣について全然触れてないよ。
今井さんの銀髪ロン毛がむちゃくちゃカッコ良かった。イケメン過ぎて後宮入りしたかったわ。きっと王妃にすっごいイビられるんだろうけど。
城田優は、日本人と外国人パフォーマーが混じり合ったキャスト陣の中で、パイプ的な役割も担っていたかなぁと。

主役が日本人顔じゃないことで、色んな人種のキャスト陣が集まってまとまっている印象を持った。

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