映画「ファントム・スレッド」ネタバレ・あらすじ
2018年アカデミー賞6部門にノミネートされ、大きな注目を集める映画「ファントム・スレッド」。日本公開はまだですが、どんな話か気になる人のために「ファントム・スレッド」のあらすじを最初からラストシーンまでネタバレします。
ネタバレ
舞台は1950年代ロンドン
舞台は1950年代のロンドン。
有名なファッションデザイナーであるレイノルズ・ウッドコックは、上流階級のメンバーのためのドレスや衣服を制作しています。
レイノルズのカリスマ性と天才性。それは彼の強迫観念的な性格と裏表でした。服をつくることだけに熱心で、外交的なことには一切向いていません。
そんなレイノルズの姉妹であるシリルは、彼の豪華なファッションハウス(最新の高級服のメーカー)の日常業務を管理し、彼の人生にも大きな影響を与えています。レイノルズが朝食中にガールフレンドのヨハンナ(カミラ・ラザフォード)を無視しているのをシリルは見て、明らかに彼女を愛していないのに気付きます。シリルはレイノルズとヨハンナは別れるべきだと考えていました。
そんなレイノルズは、実は母親の死に悩まされていたのでした。その亡くなった母からインスピレーションをもらい、彼が作ったドレスには隠されたメッセージが縫われています。
アルマとの出会い
顧客のために新しい服をつくり終えた後、レイノルズは田舎のレストランを訪れ、アルマというウェイトレスに興味を抱きます。レイノルズはいつ空いているかと尋ね、アルマはデートの誘いを受け入れました。
気難しいレイノルズですが、アルマとは不思議と仲良くなり、二人の関係は発展してゆきます。彼女はすぐに彼の心に溶け込み。彼にとって美の女神、アシスタント、そして最愛の人となります。
シリルは当初、アルマを信頼していませんでしたが、最終的に彼女の意志と決意を尊重するようになります。
当初、アルマはレイノルズの創造の過程として一緒に行動できることを楽しんでいました。しかし、徐々にレイノルズの強迫観念的な性格が顕著になってゆきます。
そして、次第に二人はよく喧嘩をするようになります。ある時、アルマがレイノルズをロマンティックな夕食に誘おうとしたら、レイノルズは毎日決まった通りの順序で食事を用意しないといけない。そして、自分は日々完璧に同じルーティンで仕事がしたいんだと繰り返し伝えます。
アルマは食事に毒を入れる
アルマはレイノルズとの関係において自分の力を取り戻したいため、家の外で集めてきた毒性のある野生のマッシュルームを削り、レイノルズの紅茶に入れます。
ベルギー王女のためのウェディングドレスを用意しているとき、レイノルズはアルマの入れた毒によって危篤状態に陥り、母親の幽霊の幻覚を見ます。
しかし、レイノルズはアルマによって助けられるのでした。
回復し、結婚
レイノルズはすぐに回復し、アルマの献身に深く心を動かされます。そして、彼女に求婚します。アルマも最初は躊躇します。しかし、結婚することに同意しました。
再び毒を入れようとするも...
二人の関係は最初は上手くゆきます。しかし、アルマがダンスパーティーにレイノルズを誘っても仕事を優先したり、パーティーに参加したアルマを強引に帰らせたりと、すぐに以前の険悪な関係に戻ってしまいます。
レイノルズの仕事にも支障が出てきはじめた矢先。レイノルズはアルマとそろそろ別れる時がきたと感じます。
すると、アルマは再びレイノルズの食事に毒を入れようとします。しかも、前回よりも多くの毒をオムレツに。
しかし、レイノルズはアルマがしようとしたことを察知します。
アルマはレイノルズに打ち明けました。自分はあなたが弱り、貧弱になってくれれば世話もできるし、お互い助け合える。そして、あなたの防衛的な性格も直せると。
レイノルズはアルマの考えを受け入れ、キスをし、毒の入ったオムレツをがぶりと食べます。この時、レイノルズはアルマの暗い愛に服従したのです。
ラスト
後日、アルマは二人の将来を想像します。子供がおり、レイノルズの衣服の仕事をパートナーとして支え、大きな課題が現れても愛と二人だけのルールで乗り越えることができると。
最後のシーン。レイノルズは再びアルマをモデルにドレスを制作します。
キャスト
- ダニエル・デイ=ルイス:レイノルズ・ウッドコック
- レスリー・マンヴィル:シリル・ウッドコック
- ヴィッキー・クリープス:アルマ・エスロン
- リチャード・グレアム:グレゴリー・ライレー
- カミラ・ラザフォード:ジョアンナ
- ハリエット・サンサム・ハリス:バーバラ・ローズ
- ブライアン・グリーソン:ドクター・ロバート・ハーディ
- ジュリア・デイヴィス:レディ・ボルチモア
- ニコラス・マンダー:ロード・ボルチモア
評価
海外最大の映画レビューサイトRotten TomatoesのTOMATOMETER(批評家による評価)では91%の人が肯定的評価。さらに、10点中8.4点という高い数字を残しました。
評価コメントには「ファントム・スレッドには、上質なユーモア、中毒性のあるロマンチックな緊張、そしてダニエル・デイ=ルイスの印象的な演技が細かく織り込まれている」のように、上質かつスリリング。そして主演ダニエル・デイ=ルイスを讃えるものが多いです。
Metacriticの評価では、100点中90点です。
主なアワードでの受賞・ノミネート
アカデミー賞:作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞、作曲賞、衣裳デザイン賞
英国アカデミー賞:主演男優賞、助演女優賞、作曲賞、衣裳デザイン賞
ゴールデン・グローブ賞:主演男優賞、作曲賞
ニューヨーク映画批評家協会賞:脚本賞
※黒太字は受賞
監督
監督は世界三大映画祭(カンヌ、ヴェネツィア、ベルリン)すべてで監督賞を受賞しているアメリカ出身のポール・トーマス・アンダーソン。
ベルリン国際映画祭では「マグノリア」で金熊賞も受賞。
「ファントム・スレッド」で初のアカデミー監督賞ノミネートを果たしました。
音楽
音楽を担当するのはイギリスのロックバンドであるレディオヘッドのメンバー、ジョニー・グリーンウッド。
映画では2007年公開ポール・トーマス・アンダーソン監督「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の音楽を手がけ、放送映画批評家協会賞の音楽賞を獲得。その他に「ノルウェイの森」「インヒアレント・ヴァイス」などがあります。
「ファントム・スレッド」でもアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞の作曲賞ノミネートされています。
公開日
アメリカでは2017年12月25日に公開。
日本では2018年5月に公開予定です。