「ディザスター・アーティスト(The Disaster Artist)」は2017年にアメリカで公開されたコメディ・ドラマ映画です。
監督はジェームズ・フランコ。脚本はスコット・ノイスタッター、マイケル・H・ウェバー。本作はグレッグ・セステロとトム・ビゼルが執筆したノンフィクション小説「The Disaster Artist」を映画化した作品です。2003年に公開されたトミー・ウィソー監督「The Room」の製作過程を描いています。「The Room」は失敗作にも関わらず、カルト的人気を集める作品です。
「The Disaster Artist」はゴールデン・グローブ賞の作品賞(コメディ部門)にもノミネートされており、海外映画サイトでの評価も高く、来年のアカデミー賞での受賞・ノミネートも期待されています。
今回の記事では、「ディザスター・アーティスト(The Disaster Artist)」のあらすじ・ネタバレをご紹介します。
ネタバレ
1998年のサンフランシスコ。19歳になる役者志望のグレッグ・セステロは、ジェーン・シェルトン先生の演技のクラスでトミー・ウィソーという名の不思議な青年に出会います。ウィソーはテネシー・ウィリアムズの「欲望という名の電車」のワンシーンを授業で演じますが、シェルトン先生に無理矢理ストップさせられます。しかし、セステロはウィソーの恐れることない堂々とした舞台上の振る舞いに惹かれ、彼に興味を抱きます。
その後、数ヶ月にわたってセステロとウィソーは奇妙で、強い友情を築くのでした。あるとき、ウィソーはロサンゼルスに引っ越して俳優としてのキャリアをじかに積むのはどうかとセステロに提案します。
数週間後、セステロは当時若手俳優のエージェントとしてはトップに君臨していたアイリス・バートンと契約に至ります。一方で、ウィソーはエージェンシー、キャスティングディレクター、ハリウッドの関係者から相手にされません。
ウィソーが苦戦する中、セステロはナイトクラブで出会ったアンバーと親密な関係になります。そんなセステロに嫉妬心を抱いたウィソーは落胆し、絶望してサンフランシスコへ戻る準備をします。
しかしセステロもオーディションが上手くいかず、ウィソーと不満を共有します。セステロは自分に合う役を演じたいという悩みをウィソーに伝えると、その提案をウィソーは文字通り受け取るのでした。
3年かけてウィソーは「The Room」と題された映画の脚本を書き、その台本をセステロに見せます。急に台本を差し出したウィソーに驚きますが、セステロはウィソーの脚本が素晴らしいものだと伝えます。ウィソーはセステロにマークという主人公の友人役、また製作として加わって欲しいとオファーします。セステロは気が乗らないながらも承諾します。
二人はノースハリウッドのスタジオBirns & Sawyerを借ります。
また、ウィソーは35mmフィルムとHDデジタルでの同時撮影を提案するだけでなく、あらゆる映画撮影機材の購入を主張します。
Birns & Sawyerの従業員はウィソーにラファエル・スマジャ、サンディ・シュクレアを紹介します。ラファエルは撮影監督として、サンディは脚本のスーパーバイザーとして「The Room」の撮影に携わることになります。ちなみに、サンディは監督のイロハが分からないウィソーの代わりに監督としてのほとんどの仕事をこなすのでした。
撮影も最初はスムーズに進みます。しかし、ウィソーは次第にナルシストを発揮し、要求も高くなってゆきます。
スタッフには言葉の暴力を浴びせ、現場には遅く訪れ、スタッフたちが飲み物を飲むことさえ拒みます。結果、クローデット役を演じていたキャロライン・ミノットは疲れ果て、気絶してしまうのでした。
スタッフや役者たちはどこから湧いてくるのか分からないウィソーのお金への疑問や、怒りをためてゆきます。ベッドシーンの撮影では、ウィソーはリサ役を演じるジュリエット・ダニエルに、彼女の体にあるニキビを指摘し、彼女に恥をかかせます。
撮影監督ラファエルの怒りは頂点に達し、ウィソーはラファエルの怒りを爆発させます。撮影が終わりに近づいたとき、ウィソーは皆から嫌われていることを知っていたと打ち明けます。
セステロを含め、みんな自分の映像になんて興味を抱いていないとウィソーは信じているのでした。
ある午後、セステロと彼女のアンバーは「マルコム in the Middle」のハル役を演じるブライアン・クランストンに偶然出くわします。そして、ブライアン・クランストンは現在撮影中の「マルコム in the Middle」で小さな木こり役を探しており、セステロにその役を演じてほしいと依頼します。
セステロは「マルコム in the Middle」に出演するため、撮影を延期してほしいと頼みますが、ウィソーは拒みます。これがセステロをさらに幻滅させた上に、セステロが彼女のアンバーと別れるきっかけにもなってしまいます。
撮影最終日、セステロはついにウィソーを呼び出し、利己的な考え方に苦言を呈し、彼が今まで明かしてこなかった年齢やバックグラウンド、製作費の出所を聞き出します。
二人は結局仲違いし、その後8か月も会うことはありませんでした。
最終的に、ウィソーはセステロを「The Room」のプレミア上映会に招きます。
驚いたことに、そこにはラファエル・スマジャ、サンディ・シュクレア、その他のスタッフ&キャストが勢ぞろいしているのでした。
ウィソーが観客に向って映画について説明し、ようやく映画が上映開始されます。ホラー映画であるにも関わらず、次第に観客は笑いだし、ついには爆笑の嵐になります。
ウィソーは観客の反応に驚き、動揺します。ウィソーは一度劇場から出てしまいます。しかしセステロは彼をなだめ、思いもしない結果かもしれないが、劇場の観客は皆楽しい時を過ごすことができたのだと語ります。
「The Room」のクレジットロールが終わると、劇場はスタンディングオベーションになるのでした。
評価
- ゴールデン・グローブ賞:作品賞/主演男優賞(ジェームズ・フランコ)
- ゴッサム・インディペンデント映画賞:男優賞(ジェームズ・フランコ)
※太文字は受賞