ウェス・アンダーソン監督の最新アニメーション映画「犬ヶ島」評価・評判がすこぶる高い理由 | 観る前にチェックしておきたい8つのこと
活動休止から4年の時を経て、ウェス・アンダーソン監督がスクリーンに戻ってきます!
久々のアンダーソン監督作に喜ぶ映画ファンも多いことでしょう。前作「グランド・ブダペスト・ホテル」は興行面・評価面どちらとも成功をおさめ、アカデミー賞では美術賞など4部門を受賞しました。
4年ぶりとなるアンダーソン監督作「犬ヶ島」
そして、「グランド・ブダペスト・ホテル」から4年ぶりとなる作品は「ファンタスティック Mr.FOX」と同じくストップモーション作品。犬が数多く登場するこの作品のタイトルは「犬ヶ島」。
3月23日にアメリカで公開され、日本では5月に公開予定です。
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ウェス・アンダーソン監督のアニメ第2作目
ウェス・アンダーソン監督が手がけたストップモーションアニメーションは「ファンタスティック Mr.FOX」だけです。
しかし、「ファンタスティック Mr.FOX」はアカデミー長編アニメーション賞ノミネート、さらにIndieWireの21世紀ベストアニメ作品2など大きな成功をおさめています。
ストップモーションアニメーション2作目となる「犬ヶ島」。
すでに関係者向けに公開され、Rotten Tomatoesでは高い評価を獲得。個人的には来年のアカデミー賞のノミネートも確実だと思います。
では、期待値の高い「犬ヶ島」の評価が高い理由を8つの観点からご紹介します。
まずはあらすじをチェック!
まとめると;飼い犬を探しに犬ヶ島へ!
「犬ヶ島」の舞台はディストピアの未来。日本にある架空の都市メガサキで起こる物語。
メガサキでは犬インフルエンザが流行し、人間の命を脅かしていた。
小林市長(野村訓市)はすべての犬をゴミで埋め尽くされた島に追放する。
主人公アタリ・コバヤシは12歳の少年。彼はその島に追放された飼い犬スポッツ(リーヴ・シュレイバー)を探す冒険に出る。
(ここで重要なポイントは。アタリ・コバヤシは小林市長の息子かどうかという点。同じ苗字であり、またウェス・アンダーソンは父と息子の関係に強い執着心を抱いており、おそらく親子のつながりがあると思われます。)
コバヤシ少年は飛行機で犬のいる島に行き、犬と仲良くなり、チームを組んでスポッツを探します。
評価・評判が高い8つの理由
「犬ヶ島」は黒澤明の影響を受けている
ウェス・アンダーソン監督が最初に「犬ヶ島」について語ったのは2016年3月のARTE Cinemaでのこと。
その時、日本映画界の巨匠である黒澤明。そして1964年に放送されたランキン・バス・プロダクション製作によるアニメ「ルドルフ 赤鼻のトナカイ」に影響を受けたと語りました。
https://youtu.be/Tn6dcLDbkCk
後の会話では「ストップモーション映画よりも黒澤明の影響を受けている」と語っています。
豪華な声優キャスト
声優一覧を観るとその豪華さにうっとりきます。
ブライアン・クランストン、エドワード・ノートン、スカーレット・ヨハンソン、ビル・マーレイ、グレタ・ガーウィグ、ジェフ・ゴールドブラム、ボブ・バラバン、ハーヴェイ・カイテル、ティルダ・スウィントン、リーヴ・シュレイバー、F・マーリー・エイブラハム、フランシス・マクドーマンド、コートニー・B・ヴァンス、フィッシャー・スティーヴンス、フランク・ウッド。
日本からは渡辺謙、伊藤晃、高山明、夏木マリ、野田洋次郎、オノ・ヨーコ、村上虹郎、野村訓市が起用されています。
2018年のオスカーを賑わすスターがそろっており、フランシス・マクドーマンドは「スリー・ビルボード」でゴールデングローブ賞を主演女優賞を受賞。
グレタ・ガーウィグは「レディ・バード」の監督・脚本を手がけ、同じくゴールデングローブ賞で作品賞を受賞しました。
大人向けのアニメーション映画
「ファンタスティック Mr.FOX」はPG指定でした。「犬ヶ島」はPG-13に指定されています(13才未満および小学生の観覧には、親又は保護者からの助言や指導が必要になります)。
小学生くらいの子どもに見せるには少しヴァイオレンスなシーンがあるようです。つまり、「ファンタスティック Mr.FOX」よりも大人向けな作品だということが分かります。ファンタジーや、子供に焦点を当てた作品の多いアンダーソン監督ですが、一方でPGやR指定の作品が多いのも特徴です。
アニメーション作品でありながら大人向けの作品であるという点で、ある意味子どもから大人まで楽しめる奥の深い作品だと言えます。
サウンドトラックも魅力!
作曲を手がけるのはアンダーソン監督作品にお馴染みのフランス人作曲家のアレクサンドル・デスプラ。
今までにアンダーソン監督作品では「ファンタスティック Mr.FOX」「ムーンライズ・キングダム」「グランド・ブダペスト・ホテル」で関わり。
「グランド・ブダペスト・ホテル」ではアカデミー作曲賞を獲得しました。
また、今までに9回のオスカーノミネート歴があり、有名作に「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」「英国王のスピーチ」「ハリー・ポッターと死の秘宝」など。
ちなみに、今年のオスカーで13部門ノミネート中の「シェイプ・オブ・ウォーター」でも作曲賞にノミネートしています。
撮影監督が熟練
アンダーソン監督は撮影監督トリスタン・オリバーとタッグを組んで「犬ヶ島」を制作しています。
今までにドリームワークス「チキンラン」「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」を撮影監督として手がけました。
ご存知の方も多いと思いますが「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」は「ハウルの動く城」「ティム・バートンのコープスブライド」をおさえてアカデミー長編アニメーション賞を獲得した作品です。
また、今年のアカデミー長編アニメーション賞にノミネート中の「ゴッホ 最期の手紙」でも撮影監督として携わっています。
この作品サントラがとても素敵なんですよね!
ベルリン国際映画祭のアニメ映画初オープニング作品
「犬ヶ島」は2018年2月15日から始まったベルリン国際映画祭のオープニング作品に選ばれました。実は、68回の歴史の中でアニメ映画がオープニングを飾るのは初なのです。
今までにもアンダーソン監督は「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」「ライフ・アクアティック」「グランド・ブダペスト・ホテル」で同映画祭のオープニングを飾っており、「グランド・ブダペスト・ホテル」は銀熊賞(審査員グランプリ)を獲得しています。
興行的にヒットする完璧な公開日スケジュール
配給のフォックス・サーチライト・ピクチャーズは「シェイプ・オブ・ウォーター」「スリー・ビルボード」のおかげで今年のオスカーを独占しています。
フォックス・サーチライト・ピクチャーズは3月に公開される「犬ヶ島」が2018年最初のヒット作になるでしょう。
実はアンダーソン監督作品で最も大ヒットした「グランド・ブダペスト・ホテル」と同じ公開スケジュールで、2月にベルリン国際映画祭で公開され、高い評価を得たところで3月に全米公開。その後、世界中の映画ファンが鑑賞。
正直、上手く計画されたプランですね。
ちなみに、海外最大の映画レビューサイトRotten Tomatoesでは批評家22人中、21人が肯定的評価。しかも、8.1/10という高い数値を残しています。
「グランド・ブダペスト・ホテル」はアカデミー賞で9部門ノミネート、4部門受賞を果たしました。
個人的に「犬ヶ島」の長編アニメーション賞・作曲賞のノミネートは確実だと思います。
脚本も盤石
アンダーソン監督は友人との共同制作が多いのですが、「犬ヶ島」も友人を巻き込んで製作しています。
脚本はアンダーソン監督ですが、原案は映画監督ロマン・コッポラ(「チャールズ・スワン三世の頭ン中」)、俳優のジェイソン・シュワルツマン(「ダージリン急行」)、そして日本人俳優の野村訓市(「ロスト・イン・トランスレーション」)と共同で手がけました。
ロマン・コッポラと共同執筆した「ムーンライズ・キングダム」はアカデミー脚本賞にノミネートしています。
脚本も盤石であり、キャストは豪華。アニメーションと音楽は熟練のクリエイター。そしてなんといってもウェス・アンダーソン監督ですよ。
評価もすでに高いことが判明しており。もう弱点はないでしょう!2019年アカデミー賞一直線です。