2016年に公開したアニメ映画の頂点はどの作品なのか-
1月8日(日)、ついに2016年に公開された映画の頂点が決められる。その名もゴールデン・グローブ賞。
アカデミー賞とは異なり、アメリカの映画界で活動する外国人記者協会のメンバーによって決められるのがこの賞の特徴である。
アカデミー賞との優劣はない。また、視覚効果賞などの技術的な部門がなく、作品の良し悪しにスポットが当てられるアワードである。
アニメ部門でノミネートしている作品数は5つ。
「ズートピア」 日本公開4月23日
「モアナと海の伝説」 日本公開3月10日
https://youtu.be/TIq0ZRGTZus
「My Life as a Zucchini」 日本公開未定
「Kubo and the Two Strings」 日本公開未定
「Sing」 日本公開3月17日
以上、「モアナと海の伝説」「Sing」「Kubo and the Two Strings」「My Life as a Zucchini」の5作品がノミネートされている。
では、その中で受賞に最も近い作品はどれだろうか。
今回の記事では、アメリカで66万部発行される高級紙ワシントンポストに掲載された
Disney’s ‘Zootopia’ and ‘Moana’ will battle it out for Golden Globes’ best animated film
(ゴールデングローブ賞で雌雄を決するのは「ズートピア」と「モアナ」だ。)
を翻訳し、2016年最高のアニメ映画がどの作品か、作品の解説とともに紹介したい。
ゴールデングローブ賞で雌雄を決するのは「ズートピア」と「モアナ」だ。
「Sing」そして期待度の高い「Kubo and the Two Strings」は、第74回のゴールデン・グローブ賞において難しい戦いを強いられている。
なぜなら、今まで多くの期待された作品がディズニーアニメ映画に屈してきたからだ。
10年間の間にディズニー作品が8回受賞
10年前に、ゴールデン・グローブ賞はアニメーション映画の部門を創設した。
創設以降、ディズニー、そしてディズニー/ピクサー製作作品が8度も賞に輝いているのをご存じだろうか?
※ピクサーは7度の受賞(「インサイド・ヘッド」など) ディズニーは1度の受賞(「アナと雪の女王」)
ディズニーが関わっていないアニメーション作品で、今まで受賞を果たした作品は2つ。
「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」
1つ目は「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」。ニコロデオン・ムービーズ製作の映画で、2011年に公開された。監督はかのスティーヴン・スピルバーグ。
ストーリーは少年を主人公にしたアドベンチャーもので、人間や物の動きをデジタル化してアニメーションにする技術モーションキャプチャーを使用している。
https://youtu.be/7NWtW699XME
同年のノミネートにはディズニー/ピクサー製作「カーズ2」がノミネートしていた。
また、アカデミー賞には本作も、「カーズ2」もノミネートせず、同じくニコロデオン・ムービーズ製作の「ランゴ」が受賞を果たしている。
「ランゴ」
「ヒックとドラゴン2」
そして、ディズニー製作以外でアニメ賞を獲得した2つ目の作品が「ヒックとドラゴン2」である。
公開は2014年。監督はディズニー製作「リロ・アンド・スティッチ」で監督・脚本を担当したディーン・デュボア。製作はドリームワークス・アニメーション。本作もスピルバーグが共同製作者に名を連ねている。
また、2010年に公開された1作目は批評家から高い評価を得たものの、惜しくも「トイ・ストーリー3」の前に敗れてしまった。
※アカデミー賞も同じように「トイ・ストーリー3」がオスカーを勝ち取った。
「ヒックとドラゴン2」と同じ年に公開され、その年のアワードを競い合ったのがディズニー製作「ベイマックス」。翌月のアカデミー賞では後者に軍配が上がった。
では今年はどの作品が選ばれるのか?
ちなみに、すでにピクサーが製作し、ゴールデン・グローブ賞の舞台に残らなかった作品が一つある。「ファインディング・ドリー」である。
「ファインディング・ドリー」
しかし、ディズニーが関わる作品が二つも残ったのは、ディズニーの名声を誇るのに十分だ。
「ズートピア」は今年の興行収入が1,000億円を達成した超大作。
※「ファインディング・ドリー」も1,000億円を超えている。
そして、「モアナと海の伝説」もかなり美しいアニメーション作品である。両作品とも非常に高いレビューを批評家や観客から得ている。
ディズニーを打ち負かす作品はありそうか?
オレゴンを拠点にする製作会社Laika。「Kubo and the Two Strings」の功績により、ゴールデン・グローブ賞は3度目のノミネートとなる。
また、フランスの映画&TV製作会社Rhone Alpes Studiosも高いアニメーション技術を使用した作品「My Life As a Zucchini」でノミネートを果たした。両作品ともディズニー作品ほどではないが、批評家からの評価も高い。
キャッチ―なこととしては、「Kubo and the Two Strings」「My Life As a Zucchini」もストップ・モーションの技法を使用した作品ということだ。
※ディズニー製作のストップ・モーション技法作品として有名なのが「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」。
もし、この二つの作品のどちらかが選ばれれば、ゴールデン・グローブ賞ではストップ・モーション作品初の受賞となる。
また、ユニバーサル・スタジオ系列のアニメ専門製作会社イルミネーション・エンターテインメントが生み出したヒット作「Sing」。この動物のアイドルを描いた作品も、ディズニー作品ほどではないが、アメリカで高い興行収入を記録した。
しかし、評価は5作品の中でも丁度中間くらいである。
結論:予想通り、ディズニー作品で頂点を決することになる
ここまでの紹介でわかることは、何か異変が起こらない限り、ディズニー作品の受賞が順当だということだ。
そして、12月に公開された美しい南国の海を舞台にした「モアナと海の伝説」の人気は、人種政治の問題に触れた作品「ズートピア」を上回ろうとしている。
"Disney’s ‘Zootopia’ and ‘Moana’ will battle it out for Golden Globes’ best animated film" The Washington Post