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ミュージカル 宝塚歌劇団 星組

【感想】星組『GOD OF STARS-食聖-』のラストに感じた「違和感」


さて、今週は2回、紅ゆずると綺咲愛里の退団公演、ミュージカル・フルコース 『GOD OF STARS-食聖-』(作・演出/小柳 奈穂子)、『Éclair Brillant(エクレール ブリアン)』(作・演出/酒井 澄夫)を見てきました。

今回も「率直な」感想をお届けします。

 

【感想】星組『GOD OF STARS-食聖-』のラストに感じた「違和感」

 

「完璧であることがすべてじゃない」「星なんていらない。」

いさぎよくゴッド・オブ・スターズの称号を礼真琴演じるリー・ロンロンに明け渡す。

「アイリーンがいればそれでよい」、つまり愛する人(ファンも含め)が笑顔であればそれでよいということでしょうか。

確かに、紅さんの親しみやすい演技や笑いのおかげで、「宝塚」という一見未知で親しみにくそうな世界にすんなり入れた人もいる。

なんの違和感もなく、「紅さんらしい終わり方だな」と思いました。

 

一方で、宝塚の世界に、そしてトップスターに「ゴッド・オブ・スターズ」のような確かな実力や、日常では味わえない豪華さを求めて劇場に訪れた人もいると思うのです。

1万円のコース料理を頼んだのに、懐かしい母親の味の餃子が出てきて、「これが一番のご馳走ですよね!」と同意を求められる。

今回の公演は、例えるならそんなレストランのようでした。

ですが、本音では「せっかくなら、普段食べられない豪華で技の限りを尽くした料理が食べたかったのに」と思う人だっているはずでは?と考えずにはいられません。

個人的な感想ですが、「完璧じゃない」ことで起きたマイナスの部分もちゃんと伝えて欲しかったかなと。

私は、トップスターだからこそ自ら完璧を求める精神は常に持ち続けて欲しいですし、完璧じゃないことを自ら開き直って美談にしないで欲しかった。

これは脚本家の小柳先生が言わせたことではありますが、少なくとも私はこれまでのトップスター紅ゆずるから「完璧を求める姿勢」はあまり感じられなかった、というのが正直なところです。


 

ただでさえ、今回のショーは、「本当にトップか?」と疑うほど、ほとんど紅さんが踊らず、黒燕尾もダンスというより集団行動になっていたと思います。

大人数を活かした宝塚らしいフォーメーションダンスは好きですが、今回は「踊らない」というより「踊れない」「踊らせられない」ように見えてしまいました。

最後の黒燕尾なのだから、下手でも踊らせればよかったのでは?酒井先生、なぜ。

 

正直、スカーレットピンパーネルのころは、下手でもちゃんとダンスをしていた。

あの時は、柚希礼音、北翔海莉という実力のあるトップから受け継いだバトンをしっかり引き継ごうとしていると思いました。

でも、次第にダンスを踊らなくなり、歌も変な個性を消すどころか強調し始め、自分の癖をむしろ売りにしようとしているのだろうなと思いました。

「主演が宝塚のスターらしく華麗に歌って踊る作品が見たい」

こんな勝手な期待をしてしまう私のようなファンに対して、紅さんなら、自分ができなかったことを笑いに変えるくらいの余裕はあると思うのだけど。。。

むしろ、食聖でのバトンのつなぎ方は、「高級料理ばかりでなく、餃子も出さないとダメだぞ。お客が真に求めているのはそっちだぞ。」と言っているように聞こえて、「いやいや!まこっちゃんは舞台上ではゴッド・オブ・スターズでいてくれ!」と心の中で叫びました。

ゴッド・オブ・スターズの称号を礼真琴に渡すのは、ある意味「自分がなれなかったゴッド・オブ・スターズになってくれ」という意味かもしれないのだけど、2年半高いお金を払わせて、メイン料理に餃子を出し続けたことにたいしての何かしら説明や、納得するオチが欲しかったなと思いました。

 

最後の食聖対決のジャッジで、エリック以外満場一致で餃子を選ぶ演出は、ご都合主義すぎて納得できなかった。

せめて、3対2で競って紅さんが勝つとか、他の意見を持つ人にも配慮して欲しかったです。

「紅さんとあいりちゃんのトップコンビはただただファンに愛されて、本当に最高のトップだったよね!」という小柳先生の演出は、退団公演なので仕方ないのかもしれませんが、

星組が好きで、だからこそ現トップの実力に疑問を持ちながらも毎公演通い続けた星組ファン(または通わなくなった星組ファン)を、見事なまでに排除した演出だったと思います。

ああ、この観劇後のモヤモヤは、自分のようなファンを排除され否定されたからなんだな、と。

 

大劇場お披露目の『スカーレット・ピンパーネル』が素晴らしかっただけに、その後の成長にとても期待していたトップコンビでした。

「今回の公演は納得できるものを見せてくれるかもしれない!」と毎回思い、毎回裏切られて、それでもずっと見続けてきました。

そんなファンを、「いなかった」ことにするのですね。いくら退団公演といえど、内輪が過ぎるかなと思ってしまいました。

長々不満を漏らしましたが、これは演者の責任というより作者の責任が大きい。

小柳先生は翻案は文句なく得意ですが、オリジナルはあまりうまいとは思いません。今回も話の筋に破綻がありますし、演者の魅力に頼った本来なら(人気スターが演じていなければ)退屈に感じるだろう場面も多々ありました。

ジェンヌさんの力を活かすのではなく、頼っているように見えるのはもったいないことです。


 

最後に。

トップであることの重圧は、私たちには計り知れないものがあると思います。それを悟らせず、常に楽しそうに舞台上に居続けた紅さんと、それを笑顔で支えたあいりちゃんは多くの人に愛されたトップコンビだったと思います。

特に、あいりちゃんは苦手な歌を克服していく成長ぶりに好感が持てました。たとえ音を外しても堂々と歌い上げる姿には、宝塚のトップ娘役としてのプライドが見えました。

今まで、私たち夫婦は現トップコンビに対して厳しい意見も言ってきました。それでも、退団公演だけは「なんだかんだ言って、あのトップコンビ良かったよね」と言って終わりたかった。そう言って送り出したかったんです。

そうできなかったことが、ただ心残りです。

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