前回の記事でも紹介したが、リクルートや日産など日本の有名企業が次々と副業の解禁に踏み切った。それと同時に、JALや資生堂、リクルートなどがリモートワーク(在宅ワーク)を許可する会社も増えつつある。
日本ではまだまだ馴染みがないが、ヨーロッパや特にアメリカでは1年間の間にリモートワークへと働き場所を変える人が非常に早いスピードで増えてきているようだ。
アメリカの産業用機械製造会社Wabash Power Equipment Companyはこの社会状況を調査し、グラフィカルな図を用いてわかりやすく説明している。
発表された図によると、アメリカでのリモートワーク率は2014年が23%だったのに対し、2015年には37%と10%以上の伸びを見せているようだ。
リモートワークのメリットとは。
さらに、この図ではリモートワークによって生まれるメリットを合計8個の項目で説明している。
- 少ない時間で、前よりも多くの仕事を達成できた人の割合:30%
- 在宅勤務にしてストレスが軽減した人の割合:80%
- 会社の離職率50%以上軽減(スタンフォード大学調べ)
- 保険会社Aetna社はリモートワークを減らしたことで、会社内のスペースが270万平方メートルも削減された。その結果7800万ドルもの経費が削減された。(フォーブス調べ)
- リモートワークを行う会社は、年間で1000万ドルから1500万ドルの経費削減ができる。
- テレビ電話での会議参加によって現場とのつながりを密に感じたリモートワーカーの割合:87%(ハーバード・ビジネスレビュー調べ)
- ミレニアル世代(10代からデジタル環境に育った世代)は、リモートワークのオプションがある会社への就職希望度が68%上がる。
- 給料が同じで、在宅での勤務が可能な場合、その会社へ移りたいと68%の人が思う。
このような結果になったようだ。
このグラフィカルな図からわかることは、無駄の削除によって生まれた時間、その時間を用いて社員の自立化を促そうという発想は、会社のためでもあるということだ。
特に、オフィスの専有面積が軽減することで単純に利益が7800万ドル(日本円にして78億円)も生まれるのであれば、会社もこぞって解禁に踏み切るのではないだろうか。
日本の現状と、打開策
通勤の手間など、よく考えてみれば現状の一か所のオフィスに集まって仕事をするスタイルには無駄が多い。今やテレビ電話もスマホで簡単にできる時代であり、外にいても会社のデスクトップを操作することが可能である。
まだまだ日本の企業は役所とほとんど変わりないような縦割り構造が残っており、トップダウンのシステムが強い。無駄だと思っていてもそれを変えるために必要な労力が一本やりで済むわけではなく、何本も通さないと変えられないシーンを私自身もよく目にする。
しかし、リモートワークの効果はアメリカというビジネスおよびデジタルの先進国で明らかなほど出ている。現状の無駄が多い日本のワーキングシステムは、副業を行う人や、フリーランスの活躍がもっとメディアやSNSなどで取り上げられることで、外側から崩れてゆくだろうと私は考えている。
《参考記事》
"12 Tools for Running Your Business From Anywhere in the World (Infographic) "Entrepreneur