韓国でロシア産のミュージカル「アンナ・カレーニナ」の上演が決定しました。
ロシアといえばバレエ大国ですが、ロシアミュージカルと言われてもあまりぱっと思いつきませんよね。そこで、この記事ではロシア産ミュージカルの歴史やミュージカル「アンナ・カレーニナ」ついて徹底的にご紹介します。
ロシアの古典的名作「アンナ・カレーニナ」がミュージカル化
「All happy families are alike; each unhappy family is unhappy in its own way.(幸福な家庭はすべて互いに似かよったものであり、 不幸な家庭はどこもその不幸のおもむきが異なっているものである)」。
この有名な文章で始まるレオ・トルストイの長編小説 「アンナ・カレーニナ」。レオ・トルストイの長編小説としては「戦争と平和」に並ぶ名作です。
「アンナ・カレーニナ」は1875年から1877年に発表されました。その後、30以上もの映画作品になり、その他に演劇やバレエ作品にもなっています。
実はすでにブロードウェイで1992年にミュージカル化され、2006年には一路真輝、井上芳雄などのキャストにより日本でも上演されています。
モスクワ・オペラ劇場にて2016年に上演
そして2016年10月、ロシア版とも言える新作ミュージカル「アンナ・カレーニナ」がモスクワ・オペラ劇場にて上演されました。
このロシア版「アンナ・カレーニナ」は、ロシア産のオリジナルミュージカルとしてオペラ劇場で上演された3つ目の作品です。
プロデューサー アレクシー・ボローニン
プロデューサーのアレクシー・ボローニンは西欧ミュージカルのロシア上演のためのライセンス契約に携わってきた人で、今までに「メトロ」「ノートル・ダム・ド・パリ」「ロミオ&ジュリエット」などを2000年代にロシアで上演してきました。
ロシア産ミュージカルの歴史
「あの当時(西欧からの輸入ミュージカルを上演していた2000年代初期)は、私たちにはまだミュージカルという文化はありませんでした。ロシア人の耳には聞き慣れないものだったのです。しかし、今はかなりミュージカルというジャンルへの理解が進んでいます。さらに、私たちでもオリジナルの作品がつくれると実感できるようになったのです」こうボローニンは語ります。
初のロシアミュージカルは「モンテ・クリスト伯」
そして、ようやくロシアにも自国のミュージカルを自国の劇場で上演する計画が始まります。
初のロシアオリジナルミュージカルはオペラ劇場で上演された「The Count of Monte Cristo(モンテ・クリスト伯)」。「The Count of Monte Cristo(モンテ・クリスト伯)」はアレクサンドル・デュマの小説を原作につくられたミュージカルで2008年に上演されました。
2012年には新しいミュージカル「Count Orlov」がオペラ劇場のレパートリーに加えられます。主人公はエカチェリーナ2世に仕える廷臣が、エカチェリーナ2世の寵愛を失う物語です。
「The Count of Monte Cristo(モンテ・クリスト伯)」「Count Orlov」両作品の脚本を手がけたのはロシアの人気シンガー・ソングライターで、かつて反ソビエト派だったユーリ・キム。
作曲家はローマン・イグナチェフ。この二人のコンビが2016年に上演された「アンナ・カレーニナ」も手がけています。
ロシアミュージカルの背景と傾向
「トルストイの小説は他の作品よりはるかにミュージカル向きです。なぜなら、そこにはミュージカルに必要なすべての材料が含まれているからです。最も重要なのは愛というストーリーでしょう」こうボローニンは語ります。
「もちろん、ミュージカルを通してトルストイの哲学的な理想に対処することはできません。こういったことをするのにミュージカルは適していないのです。しかし、トルストイ作品に欠かせない要素が舞台セットや歌詞に反映していたり、それにセリフには小説からの引用がいくつも含まれています」。
古典志向
トルストイの作品を選んだ理由には、近年のロシア演劇界の古典志向という流行を加味しています。2014年にサンクトペテルブルク劇場で上演されたミュージカル・コメディの原作はミハイル・ブルガーコフが1929年から1940年にかけて執筆した長編小説「巨匠とマルガリータ」。
さらに2015年シーズンにサンクトペテルブルク・ミュージックホールで上演された作品はアレクサンドル・プーシキンの「エフゲニー・オネーギン」を原作にしています。
また2016年春に、モスクワ・ミュージカル・シアターはフョードル・ドストエフスキー「罪と罰」の誕生150周年を記念し、この小説を原作にしたロックオペラをプロデュースしました。
この過去の作品をミュージカル化する傾向には、主に2つの原因が背景にあると考えられています。一つは、国営劇場で現代的すぎる作品を上演したくない文化大臣の考え、その反対に現代的な作品を愛する鑑賞者の存在です。
ロシアミュージカルの特徴
「アンナ・カレーニナ」には「オペラ座の怪人」や「キャッツ」のようにすぐ耳に残るようなヒットソングはありません。
しかし、劇中には素敵な歌がいくつかあります。一つは、アンナが彼女の息子に歌うロシアの子守唄。もう一つは駅員により歌われるアリアです。また、ロシアと西欧のミュージカルを区別するのは歌の中のドラマ性にあるとミュージカルファンは言います。
演劇国家が生み出すミュージカルの魅力
「ロシアは演劇国家です。世界的に有名な演劇学校出身の俳優たちが数多くいます。この結果、ロシアのミュージカルはただ単に歌のクオリティが高いだけでなく、成熟した演技、ドラマに見所があるのです」こうボローニンは語りました。
[더뮤지컬 뉴스] 2018년 처음 선보일 <안나카레니나> 타이틀 롤인 안나 역에 옥주현과 정선아가 더블 캐스팅되었다는 소식입니다. https://t.co/4dJFtfdlT0 pic.twitter.com/uM6o8kyscI
— magazinethemusical (@lovethemusical) 2017年10月25日
バレエに続きミュージカルでも「アンナ•カレーニナ」
歌詞と脚本はロシアの吟遊詩人(←21世紀の現代にも居たとは!)が書いてるそう。ロシア産のミュージカルってどんなだろ?https://t.co/PJ6iMfJ8xu
— makoto (@toramarujapan) 2017年10月25日
ミュージカル『アンナカレーニナ』のタイトルロールはオク・ジュヒョンさんとチョン・ソナさん。
他のキャストは?— yukiko (@yukikko9999) 2017年10月25日
画像を見てみるとわかるとおもいますが、まず舞台セットが豪華ですよね!日本や西欧のミュージカルとは比較にならないほど美を追求しています。また、映像を見てみるとプロジェクションマッピングを大胆に使用し、豪華な舞台が一瞬にして現代的な雰囲気に変化します。
また、音楽はブロードウェイやウエストエンドよりもウィーンやフランスに近いです。あと超重要なことですが、出演者が美しい。この世界観を日本でも味わいたいな!というか韓国羨ましいな!
日本でもいつかはロシアミュージカルが上演される時代が来るでしょう、このサイトでも今後ロシアミュージカルの最新情報をご紹介します。
【参考:Leo Tolstoy’s ‘Anna Karenina’ turned into a musical】