海外から最も評価されている夏目漱石の作品とは―
今回の記事では、「坊ちゃん」や「こころ」を書いた小説家夏目漱石に注目し、海外で最も評価の高い夏目作品をご紹介します。
今回海外からの評価を調べる上で参考にしたものがWEBサイト「The Open Syllabus」。
9年間に渡り、英語圏の大学のシラバスを調べ、授業で使う頻度の高い本を順位化したサイトです。
大学の授業で使う小説だけに、内容が濃く、読む人にとって実りある作品のランクが高くなっています。
では、夏目漱石作品の中で、大学の授業で最も使用されている評価の高い小説はなんでしょうか―
海外から最も評価される夏目漱石作品
1位
かつて友人を裏切り死においやってしまった「先生」の過去から現在までを描く。日本の現代文の教科書には必ず載っている名実ともに有名な作品で、海外での評価もとても高い。
2位
夏目漱石の教師時代の経験が生かされた作品。四国の中学校に赴任した先生"坊ちゃん”は、周囲の無気力で愚劣な教師たちを相手に自分の信じる生き方をつらぬく。
3位
「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」ではじまる猫の目で人間を見た小説。猫の目で見た人間はどう映るか。時に痛烈で示唆的な言葉にはっとさせられる面白い小説。
4位
夏目漱石の小説は「近代個人主義」とは何かということをテーマにした作品が多いです。その「近代個人主義」とは何かを夏目漱石の解説を持って考察することができる本。夏目漱石の小説を読んでみて夏目漱石の考えが知りたいと思った人はぜひ。
5位
「倫敦塔・幻影の盾」に収められた短編「趣味の遺伝」が5位。
戦争で失った友人との不思議なつながりがテーマ。
5位
「草枕」が「趣味の遺伝」と並び5位。
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される...」の一句ではじまる。夏目漱石がモデルではと思わせる30歳の画家が主人公。夏目漱石の芸術論を存分に知ることができる小説。
いかがでしたか?
はじめて夏目漱石を読む人は「坊ちゃん」や「吾輩は猫である」。読んだことがある人は「私の個人主義」を買うのがベストな選択だと思います。
また、夏目漱石が生まれた当時は明治維新の真っただ中。日本が近代化してゆく様を間近で目にしたことで、西洋と日本の違いに着目した作品が特徴的です。
ゆえに、海外の大学では「日本人の目で西洋をどう見ているか」という点での参考資料になっていると考えられます。