海外で最も評価されている東野圭吾作品はなにかー
1985年に会社に勤めながら「放課後」で江戸川乱歩賞を受賞し、その後は日本推理作家協会賞、直木三十五賞受賞、吉川英治文学賞など数々の文学賞に輝いてきた東野圭吾。
海外でもその名を知られており、今までに7作品も英訳出版されてきた。
では、その7作品の中でも特に海外で評価されている作品はどれだろうか。
そして本当に読むべき作品とは。
この記事では、アメリカの「Amazon USA」を参考にして、海外で評価されている作品を紹介する。
海外から評価されている東野圭吾作品ランキング・ベスト5
1位 容疑者Xの献身
レビュー数は252件でダントツの1位だったのが2006年に発表された「容疑者Xの献身」。元夫のDVに耐えられなくなった女性が元夫を殺害、隣の家に住む天才数学者・石神が手を差し伸べアリバイを作るが、大学時代の友人でもある湯川学が事件の解決へと導く内容である。
直木賞受賞作であり、American Library Association(アメリカ図書館協会)からは2012年にミステリー部門の最高推薦図書に指定されている。映画版では福山雅治が主人公の湯川学役を演じた。
海外の有名小説家Jesse Kellermanは「素晴らしい内容だが、特筆すべきは何といっても深く感動できるところだ。」などミステリーでありながらも「泣ける小説」でもある点が評価されたようだ。
2位 聖女の救済
2位は3位と若干の差でガリレオシリーズ「聖女の救済」がランクされた。夫殺害の犯行者として疑われた妻には明確なアリバイがあった...事実と理論の間で湯川学の才能がいまだかつてないほど光り輝く作品。
作品の発表は2008年。アメリカの本を扱った雑誌Publishers Weeklyは「素晴らしい...古くからのミステリーファンはこの見事な解決に喜ぶだろう。そして、事件解明に動く警察などのチームワークにも楽しさを覚える。」と評価している。レビュー数は132件。
3位 悪意
2位はレビュー数119件で「悪意」がランクインした。刑事加賀恭一郎シリーズで1996年に発表された小説だ。人気作家が殺される、その犯人犯行動機は愛する人を守るためだった...
アメリカの経済新聞紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「東野圭吾は、ドストエフスキーの心理学的リアリズムとアガサ・クリスティやE.C.ベントリーの古くからある探偵小説を組み合わせた。」と評価している。
4位 秘密
4位は1998年に発表された「秘密」。レビュー数が20で他の作品よりも少なくランクを下げたが、評価点は「容疑者Xの献身」に次ぐ3位だった。妻と娘を載せたバスが転落し妻を失う、しかし生き延びた娘の身体には妻の意識が宿っていた...
海外からのレビューでは「登場人物の描き方がリアルで、空想的な小説をもっともらしく感じさせることに成功していた。」「愛、仕事、セックス、教育をテーマにして、日本社会と家族を風刺した小説だ。」といった声が聞こえた。
5位 白夜行
5位は1999年に発表された「白夜行」。レビュー数は7件だが、評価点は最高点だった。日本では200万部発行の大ヒット作である。19年前に起きて迷宮入りした殺人事件、その被害者の息子と容疑者の娘の周りで次々と凶悪な事件が起こる。衝撃的なラストが印象に残る小説。
海外の読者レビューでは「何百ページもあったが、面白くて3日で読み終えた」、「東野圭吾作品の中でも伝説的な作品だ」などほとんど全てのレビュアーが高い評価をしていた。
海外からの評価が最も高かったのは「容疑者Xの献身」だった。また、トリックの鮮やかさを味わいたい読者は「聖女の救済」、東野圭吾の才能を知りたい読者は「白夜行」をおすすめする。