ブロードウェイ ミュージカル 演劇

東宝版ミュージカル『お気に召すまま』製作までの舞台裏!新しいミュージカルのムーブメントとは?

投稿日:2016年12月22日 更新日:


東宝『お気に召すまま

ブロードウェイが日本で初演を行う目的はなにかー

来年1月4日よりシアタークリエで初演を迎えるミュージカル『お気に召すまま』。原作はイギリスの劇作家ウィリアム・シェイクスピアの喜劇。

しかし今まで日本で上演されてきたミュージカル作品と異なるのが、ブロードウェイでトニー賞を受賞した海外演出家や作曲家を招き、東宝自らプロデュースした日本発のミュージカルということだ。

 

この珍しい試みに海外の大手エンタメニュースサイトVarietyが注目し、上演の裏側を調査した。

"Japanese ‘As You Like It’ Rides Global Wave of Broadway Talent" Variety

 

その結果、日本にブロードウェイのスタッフを呼び、新しいミュージカルを生み出す背景が明らかになった。


 

今回の公演が生まれた理由は、日本側の「日本発のトップミュージカルを作りたい」考えと、ブロードウェイ側の「ブロードウェイミュージカルの市場を広げたい」考えが合致したことが原因だと分かった。

  • 日本:日本発のトップミュージカルを作りたい
  • ブロードウェイ:ブロードウェイミュージカルの市場を広げたい

日本がプロデュースしたことによって、同公演の海外上演には日本側にマージンが入り、また日本で活躍するトップスターたちにも注目が集まるだろう。

ブロードウェイ側にしてみれば、ブロードウェイで活躍するスタッフたちの活躍の機会が増え、現地ではブロードウェイ作品の普及も加速化される。

また、このように現地の製作会社とブロードウェイにWIN-WINな関係は、今や世界中で計画されていることが判明した。

 

ここからは、Varietyに掲載された記事を翻訳し、今日のワールドワイドなミュージカル製作の現実をお伝えしたい。

 


 

新しいブロードウェイのマーケット:東京、ウィーン

「schikaneder musical」の画像検索結果

マイケル・メイヤーとトム・キットのトニー賞コンビは現在東京で新ミュージカル『お気に召すまま』の制作をしている。

東京では2015年に、ブロードウェイに先がけてハロルド・プリンス作・演出、ラミン・カリムルー主演ミュージカル『Prince of Broadway』の初演が行われた。

ちなみに、ブロードウェイで上演されたのは2016年の春だ。

 

ウィーンでは『ウィケッド』の作詞家が新ミュージカルに携わる

また、東京から離れてオーストリアのウィーンに目を向けてみると、今年の9月にはミュージカル『ウィケッド』で作詞を担当したシュテファン・シュワルツ作詞・作曲ミュージカル『シカネーダー』が上演された。

東京、ウィーンに限らず世界のミュージカルマーケットの拡大は今後さらに加速化するだろう。

 

 

東宝版『お気に召すまま』製作の舞台裏

日本版『お気に召すまま』は、映画『ゴジラ』など日本を代表するエンターテイメント企業である東宝によってプロデュースされた。

プロデューサーである小嶋麻倫子はこう語る。

「個人的にはブロードウェイがミュージカルのトップだと思っている」

「だから、世界のトップとミュージカルを作りたいと考えた時に、アメリカのクリエーターたちと新しい作品を生みだしたいと思った。マイケル・メイヤーは当然ブロードウェイ界の一流演出家ですからね。」

 

東宝版『お気に召すまま』について

スタッフ

演出は、ミュージカル『春のめざめ』や『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』にも起用されたマイケル・メイヤー

音楽を担当するのは、2008年にトニー賞、2010年にはピューリッツァー賞に輝いたトム・キット

また、振付はロリン・ラタロ。『コーラスライン』などのミュージカルに出演後、2016年トニー賞で4部門にノミネートした『WAITRESS』にも起用された女性振付師。

今紹介したスタッフは日本のミュージカルファンの間でも有名であるとプロデューサーの小嶋氏は語る。

 

内容

メイヤーが演出し、東宝がプロデュースするシェイクスピア喜劇は、1960年代後半のアメリカで起きたヒッピー・ムーブメント「Summer of Love」の時代を背景に展開してゆく。また、ヒッピーの間で流行したフォークロック調のミュージカルになる予定だ。

『お気に召すまま』の上演は2017年1月4日から2月4日までの1ヶ月。その後、大阪と福岡に巡業する。

 

日本にミュージカル製作を支える基盤はあるか?

『オペラ座の怪人』『レ・ミゼラブル』など今まで数多くのイギリス発ミュージカルをアジアの国としては先がけて上演してきた経験が日本にはある。小嶋氏によれば、「『プリシラ』『Queen of the Desert』のプロデュースも行い、現在は『ビッグフィッシ』の製作中」だそうだ。

長年のミュージカル上演経験により、ブロードウェイの制作スタイルへも十分に対応できる基盤があるだろう。

 

キャストに元宝塚トップ柚希礼音

キャストは、主演に元宝塚星組男役トップの柚希礼音

ミュージカル『Prince of Broadway』ではラミン・カリムルーなどのミュージカルスターと共に舞台に立った。

また、オーランド役に日本とアメリカのハーフであるジュリアン・スィーヒが起用された。2015年にはブロードウェイミュージカル「ドクトル・ジバゴ」に出演している。

PLAYBILL

 

 

新しいミュージカルプロデュースの流れとは

今回の『お気に召すまま』上演は、ブロードウェイの名が世界中に広がっていく様を示している。

今年の秋には、シュテファン・シュワルツが作曲し、『レ・ミゼラブル』『キャッツ』の演出家として名高いトレバー・ナンが演出した『シカネーダー』がニューヨークではなくウィーンで初演を迎えた。

ウィーンのミュージカル状況

『シカネーダー』はミュージカル『Kiss Me, Kate』のように、モーツァルト作曲「魔笛」が生まれるまでの舞台裏を描いた作品だ。オーストリア出身の俳優、演出家であり、ウィーン劇場協会の総監督であるクリスチャン・ストラパックが台本を担当した。

ストラパックがシュワルツと知り合ったきっかけは、シュワルツが作詞を担当したディズニーミュージカル『ノートルダムの鐘』。この作品にストラパックが出演しており、そこから『シカネーダー』の話が進んだ。

 

日本とオーストリアの文化を支える意識の違い

東京のように、ウィーンも早くからブロードウェイ、ウエストエンドのミュージカルをアダプテーションし、言葉をドイツ語にして上演してきた。

しかし東京とウィーンの状況は少しことなる。

オーストリアはウィーン劇場協会に補助金を出している。それは、世界的に有名なミュージカル作品を上演するためだけの補助金ではない。補助金を通して、新しいミュージカルづくりを推進するためだ。ストラパックは、その結果がミュージカル「エリザベート」の成功へとつながったのだと語る。「エリザベート」はドイツ語で台本が書かれており、7か国に翻訳、10か国で1,000万枚のチケットが売れたウィーン発のミュージカル。ウィーン発ミュージカルで世界的に大成功した作品だと言えるだろう。

『シカネーダー』に続く新しいウィーンミュージカルはまだ明らかにされていないが、近い未来『エリザベート』のように世界的なミュージカルが必ずウィーンから登場するだろう。

「ウィーン劇場協会にはたくさんのプロデューサーがいます。彼らは日本や韓国、ロンドン、ハンガリー、ニューヨークからやってきました。何が起こるか、いずれ分かりますよ。」

ストラパックはこう語った。

 

SUMMARY

今後は今までのようにブロードウェイ作品や役者を輸出するのではなく、『お気に召すまま』や『シカネーダー』のような全く新しい作品が現地のプロデューサー&役者と、ブロードウェイやウエストエンドのクリエイターと共に作られてゆくだろう。

 


 

日本のミュージカル製作状況は完全に民間頼りだが、ウィーンは国家で新しいミュージカルの創造を支えているようだ。

同じく韓国も国でミュージカル市場を支えており、日本から演出家も言葉も純日本製のミュージカルが生まれ、世界的に成功するにはまだまだピースが足りないようだ。

今後も、このサイトでは世界のミュージカル市場に注目し、新しいミュージカルのムーブメントをお伝えする。

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