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【感想】『グレート・ギャツビー』東宝ミュージカル版/井上芳雄の素晴らしさよ


今回の記事では、日生劇場で5月8日(月)より上演されているミュージカル『グレート・ギャツビー』の感想、あらすじをお伝えします。

井上芳雄ファンやミュージカルファンだけでなく、原作『グレート・ギャツビー』ファンもうなる作品かどうか!?じっくり解説します。

東宝公式サイトより @ミュージカル「グレート・ギャツビー」

 

『グレート・ギャツビー』のあらすじ&時代設定について

『グレート・ギャツビー』が注目される理由① 村上春樹翻訳版による知名度向上

すで日生劇場公演のチケットはほとんど売り切れており、現在の日本で公演中のミュージで最も注目を集めている舞台が東宝版『グレート・ギャツビー』です。

村上春樹が翻訳したことでさらに知名度を増すことになった『グレート・ギャツビー』。

私も村上春樹版を読みましたが、何より村上春樹の『グレート・ギャツビー』に対する愛情が伝わってきました。

 

『グレート・ギャツビー』が注目される理由②  レオナルド・ディカプリオによる知名度向上

レオナルド・ディカプリオが主人公ジェイ・ギャツビーを演じた2013年公開の映画『華麗なるギャツビー』も知名度の向上に拍車をかけたでしょう。

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『グレート・ギャツビー』は1920年代アメリカを描いた作品

1920年代のアメリカはRoaring Twenties、つまり「狂騒の20年代」と呼ばれる時代です。

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重要単語 「フラッパー」

第一次世界大戦が終了し、ジャズや花開き、丈の短いスカート、タバコや酒を好み、ショートボブのフラッパーと呼ばれる女性たちがアメリカ大衆文化の中心になってゆきます。

原作者であるF・スコット・フィッツジェラルドの妻ゼルダがまさにフラッパーの象徴的人物なのです。

 

『グレート・ギャツビー』のあらすじ:大衆文化の浅ましさ

「グレート・ギャツビー」のあらすじを一言で言えば、大衆文化が流行したアメリカの寂しさ、精神的な貧しさに対してアイロニーを投げかけた作品です。

第一次世界大戦の終了後、ニューヨークの街、つまりマンハッタンは活気を取り戻しますが、郊外との差が顕著になってゆきます。このニューヨークの姿が痛ましくも鮮明に描き出されています。

本作の主人公であるジェイ・ギャツビーは陸軍に従軍したのち、酒の密輸で若くして富を得ます。

しかし、富を得ても得られないものがあった、それがデイジー・ブキャナン。かつてジェイ・ギャツビーが愛した女性です。

現代でも残るようなアメリカ文化が花開いたと同時に、お金では買えない価値を追求した作品が私が考える『グレート・ギャツビー』の物語です。

だから、正直この小説を読んだり、映画を見ると最後に残るのは、浅ましいものへの嫌悪感と、対極にあるジェイ・ギャツビーの精神的な美しさです。

 

映画『華麗なるギャツビー』を先に観ておけば作品の理解がより深まる

映画版の監督は映画『ムーランルージュ』のバズ・ラーマン。もともと舞台でトニー賞を獲得するレベルの活躍をしていたので、華やかな世界観でもって作品の真髄を伝えるのに長けた監督。『華麗なるギャツビー』は批評家からの評価が高い作品ではありませんが、大衆向けにF・スコット・フィッツジェラルドの生み出した世界観を表現した素敵な作品です。東宝版『グレート・ギャツビー』を観た人は、ぜひ小説、そしてバズ・ラーマン監督作『華麗なるギャツビー』をチェックしてみてくださいね。

 

 

東宝版ミュージカル『グレート・ギャツビー』のスタッフ&キャスト紹介

今回の『グレート・ギャツビー』、なんと音楽がブロードウェイで活躍している作曲家が全曲書き下ろしました。

ここでは、スタッフ&キャストについてご紹介しましょう。

音楽はミュージカル『バンドスタンド(Bandstand)』のリチャード・オベラッカー

音楽はリチャード・オベラッカー(Richard Oberacker)。リチャード・オベラッカーは2017年3月からブロードウェイで上演されているミュージカル『バンドスタンド(Bandstand)』の脚本家であり、作詞作曲も手がけたクリエイターです。

bandstandbroadway.com

ブロードウェイファンとしてはリチャード・オベラッカーの作曲した音楽を聴けること自体が幸せ。ちなみに、ブロードウェイミュージカル『バンドスタンド(Bandstand)』の受賞&ノミネート歴はこの通り。

トニー賞(2部門)

  • ノミネート:振付賞、編曲賞

ドラマ・デスク・アワード(7部門)

  • ノミネート:主演女優賞、作曲賞(リチャード・オベラッカー)、脚本賞(リチャード・オベラッカー)、編集賞、振付賞、衣裳デザイン賞、照明デザイン賞

アウター・クリティクス・サークル賞(2部門)

  • ノミネート:振付賞、音響編集賞

音響に関する部門でのノミネートが多く、東宝ミュージカル版『グレート・ギャツビー』はリチャード・オベラッカーなんと全曲書き下ろしたとのことで、おそらく世界的にも注目を集めるミュージカルだと言ってよいでしょう。

『バンドスタンド(Bandstand)』の音楽も1930年代から1940年代にかけて大流行したスウィング・ジャズが取り入られています。『グレート・ギャツビー』の舞台となった1920年代のニューヨークもまさにジャズが発展した時代なので、東宝版『グレート・ギャツビー』ではリチャード・オベラッカーの才能がフルに味わえるでしょう。

 

東宝版ミュージカル『グレート・ギャツビー』キャスト紹介

ジェイ・ギャツビー:井上芳雄

1979年生まれの37歳。東京藝術大学在学中にミュージカル「エリザベート」ルドルフ役に抜擢。「モーツァルト!」ヴォルフガング・モーツァルト役、「ダディ・ロング・レッグズ 〜足ながおじさんより〜」ジャーヴィス役が印象的。こまつ座などのストレート作品にも出演しています。

 

デイジー・ブキャナン:夢咲ねね

元宝塚歌劇団星組トップ娘役。宝塚時代には『ロミオとジュリエット』ジュリエット役、退団後はミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』オランプ・デュ・ピュジェ役など。

 

トム・ブキャナン:広瀬友祐

1985年生まれの31歳。2.5次元ミュージカル「テニスの王子様」石田銀役、「エリザベート」シュテファン役、「ロミオ&ジュリエット」ディボルト役など。

 

ジョージ・ウィルソン:畠中洋

1966年生まれの51歳。音楽座入団後数多くの作品に出演。解散後はストレートプレイからテレビドラマまで幅広く活動しています。

 

ニック・キャラウェイ:田代万里生

東京藝術大学声楽科出身。ミュージカル「スウィーニー・トッド」アンソニー・ホープ役、「エリザベート」フランツ・ヨーゼフ役など。

 

 

東宝版ミュージカル『グレート・ギャツビー』の感想&評価

東宝版ミュージカル『グレート・ギャツビー』を評価する上で重要な視点は3つ。

①脚本をキャストが壊していないか。

②主人公ジェイ・ギャツビー役の井上芳雄

③音楽が優れているかどうか

この視点で生の、リアルな感想をお伝えします。

①脚本をキャストが壊していないか。

おそらく、『グレート・ギャツビー』の観客の中には、ミュージカルは全然観たことないけど、原作が大好きという原作ファンや原作者ファンがいるでしょう。

そういう視点で考えれば、ミュージカル『グレート・ギャツビー』は原作ファンを取り込んだ層の厚い、間口の広い素晴らしく画期的な作品なのです。

世界観を壊さないためには、小池修一郎の脚本が優れているか、主人公ジェイ・ギャツビー役の井上芳雄の演技がギャツビーを体現しているかと同時に、脇役が脚本に忠実であるか、言い換えれば舞台上の空間を壊さないかが大切です。舞台上の空間が壊れていたら、原作と比べる土俵にさえ立てません。

観劇後の感想

脚本と原作の違いがかなりありました。ギャツビーとデイジーがニックの家で出会う場面の多くが省かれたりと、原作のファンは「ここ飛ばすの?」とか、「出会い方違う!」「ここで登場しちゃう?」と思う場面が全体にわたってあります。

夢咲ねねは元宝塚トップだけあって気品に満ち、田代万里生はストレートプレイも上手。

トム・ブキャナン役の広瀬友祐は歌う場面は少ないものの、原作や映画のような成金的な印象よりもダンディさにあふれていました。

 

②主人公ジェイ・ギャツビー役の井上芳雄

ミュージカル感想系の記事では必ず登場する私よりも数段に日本のミュージカルに詳しい相方。相方によれば、井上芳雄の良さとは、ずばり「作品の本当の良さが味わえる」です。

つまり、役者の上手い下手に汚されない「作品の真髄」が見て取れる。

言い換えれば、井上芳雄は作品の良さを100%体現できる役者なのです。

観劇後の感想

あらためて、井上芳雄すごいですね。この人が歌うと曲が耳に残る。解釈が深いのでしょう。メロディを読み取るのも上手く、曲の素晴らしさを上手に伝えてくれます。正直井上芳雄無双でした。

 

③音楽が優れているかどうか

劇場がレストランだとすれば音楽は食材です。いかに良いコック、ウェイターがいても食材が足りなかったり、素材が悪ければ舌に味が残りません。

リチャード・オベラッカーが素晴らしい作曲家であることは実績が物語っていますが、重要なのはリチャード・オベラッカーが東宝版ミュージカル『グレート・ギャツビー』にどれだけ力を注ぎ込んだかです。名前だけで観客の心を動かす音楽を生み出すことはできないのです。

現在ブロードウェイのクリエーターは、ブロードウェイだけで活動するのではなく、ウィーンなど海外でもその才能を発揮するチャンスを得る流れがあります。

東宝版ミュージカル『お気に召すまま』製作までの舞台裏!新しいミュージカルのムーブメントとは?

ある意味東宝がブロードウェイで活躍する作曲家の心をどれだけ動かせたかが問われてきます。

観劇後の感想

井上芳雄が歌うから曲がよく聴こえるのか、曲が良かったのか。

どちらも正しいでしょう。

ジャズというジャンル自体が日本人のリズム感覚とは異なるので、正直井上芳雄以外のシーンで日本語で歌われる曲がいまいちパッときませんでした。日本版「CHICAGO」が流行りそうもないのはこういう理由だと思います。

これ、リチャード・オベラッカーの曲がダメだったのではなく、ブロードウェイのキャストが歌ったら相当ジャジーで、エロティックな曲に聴こえたのだと思います。

とりあえず、「アイス・キャッスルに別れを」は名曲です。

 


 

東京公演は5月29日まで、チケットも若干まだ残ってますので井上芳雄の卓越した歌唱力を味わいたい方はぜひ訪れてみてくださいね。

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