昨シーズンハーフパイプ滑りましたか?
いまや「滑る」といっても色んな楽しみ方があります。
例えば、キッカー、ジブ、パウダー、バックカントリー、ストリートなど、「あらゆる場所」で滑ることが普通の感覚になってきています。
特に、それはキャンディッド・トベックスの映像を見ていると、
「いつかは雪がなくてもスキーができる時代が来るのかな」
と新しいスキーのムーブメントが起こる予感をさせます。
そんな中、今までフリースキーの歴史を担ってきたハーフパイプの人気や位置は確実に変化しています。
今回は、そんなハーフパイプの現状を伝えた、海外フリースキー専門サイト「Freeskier Magazine」の記事を翻訳しました。
題名は
「Is halfpipe skiing dying? Steamboat says ‘maybe’ while Mammoth says ‘nah’」
日本語に翻訳すると。
ハーフパイプスキーは瀕死の状態?スチームボート・リゾートは「そうだろう」、マンモスマウンテンは「いや、違う」。
原文:「Freeskier Magazine」
10年くらい前から、特にここ2、3年の間に、ハーフパイプは否定できないほどに人気を落としている。
スキー界には多様な側面があるように、この考察を確実に裏付ける事実はない。しかし、今シーズン、いや昨シーズンでも良い、あなたが良く滑るスキー場によく目を向けてほしい。
その時、きっとあなたは何がスキー場で起きているかよくわかるだろう。パークではスキーヤーやボーダーが「レール」や「キッカー」で遊び、スキー場の外ではストリート(街中)のレールなどで遊び、バックカントリーにはまっているのを。
この「ハーフパイプは人気を落としている」という考察は、スチームボート・スキーリゾートのマネージメントチームが大きなハーフパイプを作るのに頭を悩ませ、少し前に議論をしたことが引き金となった。
結局、スチームボートは大きなハーフパイプを例年通り作ることに決定した。
しかし、スチームボートのレポート(a report from Steamboat Today)によると、高さ18フィート、長さ350フィートのハーフパイプを作るのに、1年間降雪機に使う資源(燃料、労力)の15%も使用するとのことだ。しかも、ハーフパイプを使用する人は少ない。つまり、この議題は今後も続いてゆくのだ。
スチームボートのスキー部門副代表ジム・シュナイダーは、この問題は私たちだけの問題ではないと言う。
「ハーフパイプに使用する燃料等の問題によって、今や多くのスキーリゾートがこの議題について検討している。この議論が起こったからには、きっと今シーズン、または1年後にはなんらかの決定を各リゾートがしているのを君たちも知るだろう。」
ジムが言っていることは間違いではない。例えば、キーストーンの評価の高いパークである「A51」は、2011-12シーズン以降、反り返の激しいパークを作らなくなった。キーストンのパイプは今でも世界で最高水準のものである。しかし、一方でキーストーンは2015-16シーズンに15フィートのパイプを追加することに決めた。そのパイプは整備がしやすく、スキーヤーやボーダーの平均的なレベルに合うよう現実的に作られたものであり、パイプを作った収穫は多かった。
(大きなエアが可能な15フィートのパイプが2015-16シーズンからキーストンでデビューした。2016-17シーズンもまた戻ってくるだろう。※キーストン・リゾートより写真引用)
いろいろ考慮するに、この問題を大胆に一般化することはできない。なぜなら、この問題は様々な視点から考察することができ、また各リゾートでもハーフパイプに対する考え方が違うからだ。
例えば、マンモスマウンテンのようないくつかのスキー場では、現在もパイプを作ることにかなりの献身性を持っている。
例えば、昨年マンモスはそれを証明するかのうように、大きなパイプを5つも作った。この熱意、献身性には深い歴史的な背景がある。マンモスは現在に至るまでハーフパイプスキーヤー、ボーダーを支え続けてきたのである。しかし、未来のことに目を向けることも重要である、マンモスマウンテンの「Unbound Terrain Park」のディレクターであるTJ ダウォードによると、
「ハーフパイプをつくり続けるのには明らかに大きすぎるほどの責任感が伴います。でも、ライディングのレベルアップや、競技の進化に対して、我々が作ってきたパイプが大きな価値を果たしているのを見てきました。」
彼はこう述べる、「長年にわたってパイプを外から見守ってきましたが、パイプを滑るライダーが地元のライダーから、アメリカ代表の選手やオリンピック出場選手へと変化しています。選手たちは高度な技を繰り出し、我々が想像していたよりも彼らの選手キャリアにとって重要な場所となっています。彼らの【進歩】に参加できることはとても特別なこと、特に間近に迫った2018年冬季オリンピックのために今やっていることを推し進めて、今後はさらにパークを大きくする予定です。」
マンモスマウンテンのようなスキーリゾートはパイプへの投資、維持を価値あるものと考えている。(写真はフランスのティニュから練習しに来ているサイモン・ダルトワのエア。)
関連記事: Here are the Top 3 runs from 2016 X Games superpipe finals
彼は言う、「我々が作る小さなパイプを滑っているライダーたちの腕前も全体的に素晴らしい。」「子どもたちは気持ちよさそうにパイプへ滑り出すし、ベテラン選手たちは小さなパイプを遊び場、さらにクリエイティブに滑る場所として捉えている。
今年、我々はOakley Mini Pipe Challenge(ショーン・ホワイトが主催者)を招きました。そこは、8フィートのパイプ、多様なジブ、ウォールに天然の木を埋めたアイテムをなどでできています。子ども達だけに素晴らしいイベントだったのではありません、ショーン・ホワイトやスヴェン・ソーグレン、サミー・カールソン、アレックス・ボーリー=マルシャンたちにとっても技を披露し、楽しい時間を過ごす場所となりました。」
何を言おうと、ハーフパイプはスキーの歴史の一部分を担っており、そのことを忘れるべきではない。
有名なスキーリゾートが来週、来月、いや今シーズンどんな選択をしたとしても、二つの巨大な雪壁の間で行われるスポーツによって最高の瞬間が今までに生まれてきたのだ。男子ではターナー・ホールとサイモン・デュモンのライバル対決、女子では女王サラ・バーグの圧倒的な滑り。
今日でも、そこはスキーにとって極めて重要な場所であり続けている。