アジアの小説でベスト10を決めるとすればどの作品になるだろうかー
世界が認めるアジアの作品とはー
日本最古の小説は「源氏物語」
日本の小説の歴史は「源氏物語」からはじまるとされる。
そして、アジアの小説の歴史も古い。多くの人が耳にしたことのある「千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)」、このインドの説話集「千夜一夜物語」の原型は10世紀より前に作られている。
もちろん「千夜一夜物語」に登場するアラジンはディズニー映画「アラジン」の原型であり、「千夜一夜物語」の一つ一つをシャフリアール王に夜な夜な語ったシェヘラザードの悲劇はそのままバレエの演目になっている。
このように、文学、映画、舞台などあらゆる欧米の芸術に大きな影響を与えてきたアジアの文学。
テレグラフ紙のエディターも「アジアの小説には美しい作品が数多くある。」と語っている。
そして、今回テレグラフ紙のエディターが「アジアの小説」という古い歴史の中から、良質の作品を10作選んだ。
そこで本サイト【A&S=L】ではその記事をすべて紹介する。
10 best Asian novels of all time
紅楼夢 曹雪芹
400人以上もの人物が登場する「紅楼夢」。全120話から成り立ち、中国の方言で書かれている。内容は中国の貴族がたどる悲劇的な愛の物語。毛沢東も封建制度の退廃が描かれたこの本を愛読していた。
美しきバランス ロヒントン・ミストリー
インドラ・ガンジーによって非常事態が宣言された1975年から書かれた本。当時のインド社会を批評的に描いた小説。異なる背景を持った4人の登場人物が急激な社会的変化の下、一致団結する話である。
羅生門 芥川龍之介
芥川龍之介は150作以上もの短編を書いた小説家である。しかし、長篇と呼べる作品は一つもないのが特徴でもある。代表作「羅生門」は芥川が17歳の時、東京帝国大学在学中に「帝国文学」で発表したもの。また「藪の中」は、侍が殺される瞬間を見たという7人の証言によって組み立てられる物語で、黒澤明によって映画化された。
千夜一夜物語
スルタンによって殺されたシェヘラザードからアラジン、アリ・ババ、シンドバッド、秘密の生き物などが詩的に表現された「千夜一夜物語」。犯罪ものからホラー、ファンタジーからロマンスまで幅広いジャンルを扱った物語は、今までにトルストイ、デュマ、ラシュディ、コナン・ドイル、プルースト、ラブクラフトなどあらゆる作家に影響を与えてきた。
熱砂の日 ルース・プラワー・ジャブヴァーラ
この読めば誰もが引き込まれてしまう小説を書けるのは、ただ一人ブッカー賞とオスカーを二つも獲得したルース・プラワー・ジャブヴァーラしかいない。小説「熱砂の日」は、義理の祖母について真相を知るため、そしてイギリス占領時代のインドについての真実を知るためにインドへ訪れる女性の物語である。
All About H Hatterr G. V. Desani
作者がイギリス占領時のインドで教育を受けた経緯があり、英語とインド語のマッシュアップによって生まれた素晴らしい小説。英国系マレー人の男性が知恵と悟りを得るために冒険するという内容。
ねじまき鳥クロニクル 村上春樹
この迷宮のように入り組み、幻覚を見るような小説は、主人公岡田亨の飼い猫が東京の郊外で失踪するところから動き始める。主人公は二人の特殊な能力をもった姉妹に、夢と現実に現れる謎の人物の存在について相談するのだが...
村上春樹の小説は筋が蛇行しながらも、決して人間性への追及がとどまることがないのが特徴だ。
春の雪 三島由紀夫
1970年11月に衝撃的な自殺を遂げる直前に、三島は「豊饒の海」という4部作を発表した。法学部の学生だった本多が、死んだ友人の転生に何度も出会うという内容である。
真夜中の子供たち サルマン・ラシュディ
魔術的リアリズムが独立後のインドで花開いた作品。カラフルで才気あるこの小説はブッカー賞を受賞しました。主人公サリーム・シナイはインドが独立を果たした丁度1947年8月15日の真夜中に生まれる、しかも他の人にはない特殊な能力を持って...
小さきものたちの神 アルンダティ・ロイ
「小さきものたちの神」は、60年代から90年代のインド・ケララ州が舞台。共産主義や伝統的なカースト制度、キリスト教を背景に兄弟の成長や絆を美しく、そして激しく描いた小説である。この作品でブッカー賞を受賞したロイは「Change is one thing,Acceptance is another《変わることは、何かを受け入れること》」だと語っている。
The Telegraph