11月2日に東宝ミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ~足ながおじさんより~」を観劇しました。2009年から日本で上演され続け、2015年のオフ・ブロードウェイ版はドラマ・デスク・アワードで作品賞にノミネートされました。
2015年のオフ・ブロードウェイ版から演出や曲が変更され、その影響で今までの日本公演との違いが生まれています。
違いに注目しながら、感想や見所をご紹介します。
「ダディ・ロング・レッグズ~足ながおじさんより~」DVD化決定!
まずはこのニュースから、「ダディ・ロング・レッグズ~足ながおじさんより~」の2017年公演がDVD化されます!
ブロードウェイで上演された作品がDVD化されることがまず珍しい。さらに、毎回満員御礼の人気ミュージカルがDVD化されることもキャッチーすぎる。
井上芳雄と坂本真綾の歌声、ジョン・ケアードのスピーディで劇場空間を上手く活かした演出、ポール・ゴードン作曲の美しいメロディーがいつでも聴けるなんて最高すぎる!
「ダディ・ロング・レッグズ」好きな彼女は劇場で早速予約していました。
- 定価:8,000円
- 発売日:2018年春
- 内容:本編・特典映像DVD(2枚組)&特製ブックレット
観るのは来年春まで待たないといけないですが、これは買いですよね。
購入方法
TOHOリテールサイトより購入できます。劇場にシアタークリエに公演期間中行くことができる人は、1階ロビーに特設予約受付所があるのでそこでも予約できます(チケットなくても購入可)。
「ダディ・ロング・レッグズ」2017年の演出・曲 変更点
2015年のオフ・ブロードウェイ公演で演出や曲の変更がありました。
2017年日本公演ではそのオフ・ブロードウェイ版を引き継いでいるので、今までとは印象の違った作品になっています。
変更点を簡潔にご紹介します。
卒業式の歌が変わる
「Graduation Day」という題名は変わりませんが、メロディーや雰囲気は全く別物になりました。ポップなメロディーから情緒あふれるデュエットソングへと変わっています。
2015年までのサウンドトラック
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2015年からのサウンドトラック
ジャービス:I'm here Jerusha, I'm standing in front of you now,(私はここだよジルーシャ、君の眼の前にいるんだ今。)
ジルーシャ:you did not show. you are not here.(あなたは現れなかった。あなたはここにはいない。)
と掛け合います。互いの不在感から、お互いの愛が明確になりました。
ジャービスのチャーミングさが増す
井上芳雄演じるジャービスのチャーミングさが増して、ジルーシャへの恋が明確になっていました。
新演出の韓国版を観た彼女いわく、韓国版ではジャービスが日本よりもジルーシャへの愛を顕著に示しているようです。その韓国版と同じように、日本版でもジャービスのジルーシャへの恋が明確になっています。
話は変わりますが、井上芳雄ってキャラクターの影響もあるのか、かっこいい好青年としょぼしょぼした頼りない青年を演じ分けるの上手いですよね。
先日世田谷パブリックシアターで上演された「謎の変奏曲」でも、同じキャラクターなのだけど場面や心情で外見がガラリと変化するなぁ、すごいなと思いました。
自立心が強い女性になっていた
この作品全体(ストーリーもキャラクターもスタッフも)に「ジェーン・エア」の影響が受け取れます。
より「ジェーン・エア」さが増したというか、自立した女性というイメージが明確になっていました。明確にここ!と言えないのですが、ジルーシャの自立心を示すセリフが増えていたと思います。
孤児院を経営する、お金を稼ぐといった意識の強いジルーシャになっていました。
「レ・ミゼラブル」もそうですが、ジョン・ケアードの演出って劇場空間を上手に生かす作品が多くて素敵です。演出家の手腕が一番問われるのが場転。
※何度も暗転を繰り返して流れをストップさせてしまう演出家はそのスキルを問うべきです。
セットは初めから終わりまで変わらないのに、劇場をマンハッタンや田舎のお城に変えてしまうジョン・ケアード。
私が「ダディ・ロング・レッグズ~足ながおじさんより~」で特に好きなのは、ジルーシャとジャービスが一緒に月を見るシーン。二人で見ているのは劇場のライトだってわかりきっているのに…演劇にだけかかる魔法がかけられています。
ジョン・ケアードのように、観客の想像力を心の底から信じている演出家との出会いが幸せなことに「ダディ・ロング・レッグズ~足ながおじさんより~」を観てあらためて気づきました。
ジョン・ケアードのような演出家を紹介するのに役立ってほしいなぁと思い、今後も様々なミュージカル作品をこのサイトで取り上げてゆきたいと思います。