2015年に発行された海外の本で、今の日本人が本当に読むべき本とは何か――
イギリスで発刊され、世界中に影響を与える経済紙「The Financial Times(フィナンシャル・タイムズ)」の編集者たちが2015年に発行された本を調査した。
その結果を「The FT’s best books of 2015」として公表した。
本を全23ジャンルに分け、FTから見た本当に今読むべき本が厳選されている。
そこで、日本語ですでに翻訳され、amazonで手に入るものをこの記事では紹介する。
日本で海外の本が翻訳されるのは通常数か月から2年ほどである。よって、海外で発行されたのは2015年だが、日本で手に入る世界の最新情報がこれらの本にはつまっている。
それだけに、今すぐ読めば世界で活躍する一流のビジネスマンや研究者の知識に追いつけるかもしれない。
今回は政治部門、小説部門を紹介する。
政治部門
1位 Submission/服従
解説
まるで事件を予言していたかのように、シャルリー・エブドのテロ当日の紙面はミシェル・ウエルベックだった。
2022年フランスにイスラム政権が誕生する。果たして西洋の文明は終焉に近づいているのだろうか。小説だがいかにも信ぴょう性がありそうなのが怖い。2015年、世界で最も注目された政治小説。
※政治部門では9作品選ばれていたが、日本語で翻訳されたのはミシェル・ウェルベック「服従」だけだった。悲しいが、それだけにこの一冊は是が非でも読んでおくべきだろう。
小説部門(原文が英語)
1位 The Buried Giant/忘れられた巨人
解説
作者はイギリス最高の文学賞であるブッカー賞を獲得したカズオ・イシグロ。日本でTVドラマ化もされ話題となった『わたしを離さないで』から10年ぶりの長篇作品です。
老夫婦が、遠い地で暮らす息子に会いにゆく中で、老騎士や戦士などさまざまな人々に出会いながら旅をつづけてゆきます。そして最後にふたりを待つものとは...過ぎ去った記憶や愛を根底に描く傑作です。
小説部門(原文が英語以外)
1位 So You Don’t Get Lost in the Neighbourhood/あなたがこの辺りで迷わないように
解説
2014年にノーベル文学賞を受賞したパトリック・モディアノの小説。
あたかもモディアノかと思われる老小説家が主人公。ふとしたことで出会った二人のカップルがきっかけで次々と過去の記憶がよみがえってくる。そして老小説家の目に現れた一つの文章「Pour que tu ne te perdes pas dans le quartier (あなたがこの辺りで迷わないように)」。
2位 A Strangeness in My Mind/僕の違和感
解説
2006年トルコ人で初めてのノーベル文学賞を受賞したオルハン・パルクの長篇作品。
主人公はイスタンブルで暮らす12歳の少年。ある日、少年は従弟の結婚式で運命的な恋をする―
以上、FTが選ぶ2015年のベストブックです。
各部門本来であれば5~10個選ばれており、日本で翻訳されているのはその中でも1,2作品でした。
各部門のトップ作品は重要だからこそ、手間をかけて翻訳されているものです。トップの作品はぜひ読んでみることをお薦めします。
前回の記事:Economics&Business部門
「英フィナンシャル・タイムズ紙が選んだ《Best Books of 2015》経済とビジネス部門|おすすめ本」