ジャニーズの今井翼と瀧本美織が主演、山田洋次演出、松竹主催の音楽劇『マリウス』@日生劇場の感想と見どころをお伝えします。
この記事では、『男はつらいよ』『たそがれ清兵衛』など日本固有の古典的・普遍的なテーマを扱う監督として知られる山田洋次監督の演出作品「音楽劇『マリウス』」の感想をお伝えします。
観劇したのは3月8日(水)。舞台感想系の記事では必ず登場する相方に誘われ、日生劇場まで。
山田洋次監督の演出作品とのことで、ポスターのデザインが映画に近い!
フォントが可愛いですよね!
劇場にはシャガールの作品が飾られています。
それでは、音楽劇『マリウス』の日程や混雑状況について簡単にご説明しますね!
日程
3月6日(月)ー 3月27日(月)
約20日間の32回公演です。今井翼もですが、瀧本美織のフラメンコが見られる機会はそうないと思います。気になる方は期間も短いですし、早めに計画を立てましょう!
混雑具合について
平日の昼公演でしたので、まだまだ空席はありました。
当日券も販売しています。日時の関係もあって客層の年齢も上がっています。今井翼と瀧本美緒主演とのことで、若いお客さんが多いのかなと思っていましたが、大学生くらいの若いお客さんはほとんどいませんでした。瀧本美緒さんはあくまでも女優であり、アイドルではないので、この辺が集客にも関係してくるのかと思います。
会場
日生劇場
チケット
S席:12,500円
A席:7,500円
B席:4,000円
当日券も販売していましたよ!
あとの情報は音楽劇『マリウス』公式ホームページまで。
音楽劇『マリウス』のあらすじと感想
あらすじ
あゝ、何故愛してしまったのか!
マルセーユ。太陽の国。あらゆる景色が大口をあけて笑っているような陽気なプロバンスの港町。そこで暮らす呑気な人々と、そこに生まれた若者の苦悩を描いたフランスの国民的喜劇の傑作。
「寅さん」を世に贈った山田洋次監督が満を持して舞台化。今井翼を主演に迎え、歌やダンスを盛り込んだ浮き立つように楽しい音楽劇。
―― 魂をゆさぶられるような人情喜劇の幕が上がる!!
1931年。地中海の爽やかな風が吹きぬける港町。
―― セザール(柄本明)が経営するカフェは暇をもてあました男たちが集まる町のサロンだ。
一人息子のマリウス(今井翼)は船乗りになって海に出ることを夢見ている。幼なじみのファニー(瀧本美織)とは相思相愛の仲なのになかなかお互いの思いを打ち明けられず周りの大人たちをやきもきさせていたが、ある夜遂に結ばれる。
―― しかし幸せもつかの間、マリウスは船に乗るチャンスを掴み、ファニーは彼の夢を叶えるために身を引き、長い船旅に送り出してしまう。
―― しかしその後、ファニーは妊娠したことを知る。もちろん父親はマリウスだ――。
松竹「音楽劇『マリウス』」公式ホームページより
解説
音楽劇『マリウス』はフランスの戯曲「マリウス」を原作としています。「マリウス」「ファニー」「
「ミュージカル」ではなく「音楽劇」
「ミュージカル」ではなく、「音楽劇」と書かれています。この違いは、セリフの途中で急に歌になったりします。ミュージカルのように前奏があって、「今から歌うよ!」みたいな助走が少ししかありません。セリフの途中で歌になったかと思うと、急にセリフに戻り、また歌になる。
あまり観たことないスタイルで、ミュージカルの「なぜセリフが歌になるの?」感が少し強めです。
感想と見どころ
1. 柄本明の演技が素晴らしかった!
柄本明の演技力は本当にシビれました。マリウスの父親、マルセイユの港町に暮らす人々や港町に着いた船の船員が集まるカフェのオーナーであるセザール役を演じています。山田洋次監督の作品は今までに『男はつらいよ』『釣りバカ日誌』に出演しています。
年間何本もの映画に出演し、劇団東京乾電池座長として舞台にも出演しています。柄本明ほど1年間の出演回数が多い役者はいないでしょう。
その実力は素晴らしいものでした。カフェのオーナーで、頑固なんだけど愛嬌があって、ちょっと抜けている。そんな役柄で、しゃべり方もまるで宮崎駿の作品に出てきそうなしゃがれ声なのですが、誰よりも鮮明に何を言っているか分かる。しゃがれ声でも人にセリフを明確に伝えることはできるんですね。1人だけ役者としてのスキルが際立っていました。マリウスとファニーをつなぐ重要なキーマンに柄本明を起用したところに山田洋次監督のキャスティングセンスが光っていたと思います。
セザールは舞台で一番セリフが多い役柄です。役者志望の方は、観に行くと多くのことを学べると思います。
2. 舞台背景が美しく、海の香りがする!
マルセイユの港が一望できる舞台背景になっています。港には白い街並み、緑の丘に、美しい空。街には明かりが灯り、夜になると星がきらめきはじめます。
舞台背景が本当に素晴らしく、マルセイユの海の香りが伝わってくるようです。
「舞台背景が素敵だった」実はこの舞台全体で1番優れていた点かもしれません。
相方に何が1番良かった?と聞いたら「柄本明の演技か、舞台背景」と語っていました。
私の第一印象は、ミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」のポスター。
紺色の空に、星が光り輝いているこのイメージです。
3. 舞台美術が凝っている
舞台美術、特にカフェの店内の作り方が凝っていました。店内には階段があり、セザールの部屋へとつながっています。また、テラス席と店内をつなぐ仕切りが明確にはないのですが、それでも外と内との出入りに違和感がなかったのは、舞台美術が上手だったからだと思います。
そういえば、「てっぱん」のオープニング「てっぱんダンス」はダンスカンパニー「コンドルズ」の近藤良平が振付ましたが、「てっぱん」つながりなのかコンドルズのメンバーである藤田善宏が出演、そして確かオクダサトシが制作で携わっていました。山田洋次監督と「てっぱん」ってつながりがあるんですかね!監督が大阪出身で、「てっぱん」も大阪の物語という点しか分かりません。
4. 瀧本美織のフラメンコが素敵だった!
瀧本美織といえばNHK朝ドラ「てっぱん」ヒロインで熱演していたイメージがあり、舞台でも素敵な演技をしていました。
声は細めですが明るく、聞き取りやすかったです。なにより演技が素晴らしかった!マリウスへの気持ちを抑えながら見送る場面など、ファニーの感情を上手に表現していて共感できる場面が多かったです。
そして、なにより驚いたのがフラメンコ!最初とカーテンコールで2回踊るのですが、動きが綺麗!ダンスやってたんですかね?しなやかさがあって美しかったです。
そして、美しいだけではなく、フラメンコに必要な気迫にも溢れており見応えがありました。それでいていやらしくない。このいかにも「上手いでしょ?」的なオーラは観客がすぐに気付いてしまうのです。俯瞰して自分の演技を見る力に長けてるんですね。多分この舞台のためにフラメンコを習ったのだと思いますが、吸収する力が高いのも客観的に自分を見られるからだと思います。
5. 今井翼のスタイルが良かった!
最初の好青年から、ファニーを妊娠させ、最後は子どもの命は自分が授けたのだから自分のものだと罵り、結局マルセイユの街を哀れにも去るマリウスの心情の移り変わりを上手に演じていました。
フラメンコも本場で学んだとのことで、プロのフラメンコダンサーとのデュエットも見ものでした。踊るシーンがたくさんあり、ファンにとっては最高の舞台でしょう!
そして、顔が小さくスタイルが良いですね!身長が175cmあり、それでいて小顔なのでとても舞台映えする。テレビで見ると身長の高さまでは分からなかったのですが、舞台で観るとがっちりしていて、なおかつ足が細いのでスタイルが美しい。
瀧本美緒が162cmとのことで、身長差は13cm。カップルが美しく見える理想的な身長差です。マリウスとファニーが並んだ時の美しさは圧巻でした!
他にも、さすが山田洋次監督が執筆した台本だけあって会話が面白い、脇役のキャストが豪華、またプロのフラメンコが見られるなどおすすめポイントは多々あります。
公演後には山田洋次監督の姿もありました!意外と大きかったです。