「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」感想 | 生田絵梨花、井上芳雄についても語る!!!
先日の6日(日)に東京芸術劇場プレイハウスでブロードウェイミュージカル「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」を観てきました。
赤裸々な感想をご紹介します!
※公開ゲネプロ動画
目次
コメットシートが従来のいわゆる「ステージシート」と違った大きな要因
隣の水田航生ファンのおばさんが終始咳き込んでいて(と思ったらカーテンコールで「こうチャーン」と手を振り叫び出し)、案の定翌日インフルエンザになったわ。
まじで今週辛かった。この苦しみいかにして、、、
「第一印象は歌舞伎の枡席みたい」だったんだけどね。
観客がそこにいる事を徹底的に無視して物語を進めたり、むしろ役者と絡ませて観客をエキストラや舞台装置として利用したり、ステージシートの使い方は色々あるけど、今回はその切り替えが印象的だった。
観客を埋めこむことで、観客を物語の一部として利用したり、無視したり、というのをすごく意図的にやっていたと思う。
第四の壁がない舞台かと思ってたけど、自在に壁を出現させてた。
役者が普段は目線を向けない「舞台の床下」に観客を配置することで、コメットシートの観客を利用したい時は役者が観客の所まで「降りる」、または「目線を下ろす」。
逆に、観客を必要としない芝居の時には普通に演技するだけで(視界に入れないことで)、観客をシャットダウンできる。あんなに近くにいるのに。
これってすごく意図的で分かりやすい行為だなって。
第四の壁がない舞台かと思ってたけど、しっかり、というか自在に壁を出現させてた。
BW版ではまた違うんだろうけど、日本版では観客が凄くいいように扱われてるな、と思いました。悪い意味じゃなく。
観客の使い方がうまいなって。コメットシートに座った人は確実に楽しいだろうし、こんなにウィンウィンの関係のステージシートがあるのか、というかんじ。
あとさ、コメットシートの人を見ちゃうじゃない?普通の席に座ってる観客はどうしても。そうすると、コメットシートの人は近くにいる俳優の演技や歌に圧倒されたり楽しそうにしてる訳。そうすると見てるこっちも楽しくなってきちゃう。
物語の本筋とは関係なくそういう楽しさが訪れるし、Google earthで地球を過去から未来まで俯瞰して自由自在に見ているような感覚にもなった。
そういう意味では、舞台上の「戦争と平和」の世界と、コメットシートの観客の世界は違う物語が流れているはずで、でも二つのパラレルな世界がシームレスにつながるシーンもあれば、あるときパラレルな世界が何かの影響で行き来できなくなる。まさにRPGっぽいよね。
彗星がピエールに果たす役割
目から鱗っていうか、まさにピエールは突然見える様になったんだと思う。もちろん、実際の彗星は落ちているその時しか我々には見えないけど、見える様になるずっと前から私たちの頭上に存在し続けていた訳だからさ。
ピエールにとっても、彗星とは、自分に与えられた何かの意味として受け取ったに違いない。彗星は単なる石と氷の塊でしかないのだけど。
なんでもないものに希望を見出す、美しさ感じさせる。みたいなのは、不協和音を使った無機質な音楽にも、劇場の構造が丸見えだった舞台美術や、背景になんの変哲もない岩の壁を使った日本版にも現れてたと思う。
「アンドレイはいな〜い」が頭から離れない。
※ブロードウェイ版のCD
先日に宝塚歌劇・雪組「ファントム」を観て、素材となるメロディや歌詞を上手に表現するだいきほコンビに感動した。グレコメまでとはいかないが、「ファントム」も次々とソングナンバーが続く作品で、雪組のレベルの高さに一曲一曲感動しっぱなしだった。
「ファントム」は海外の映像と宝塚を比べても、「それぞれの特徴がある」と思うけど、
ブロードウェイでグレコメを観たわけではないが、CDで聴くとキャストの特徴というよりかは、単純に日本キャストによっては歌唱力の足りなさみたいな面も感じてしまったのが事実。
冒頭で盛大かつ簡潔に自己紹介してくれるし。お話も非常に分かりやすかった。
ただ、それって歌詞が聞き取れたから話を追えてたんだなって。
あなたが歌い出すとストーリーが追えなくなる、って方は確かにいました…
BW版のCDを聞くと、リズム感が合っているだけで、全く違う音楽に聞こえてしまうんだと思った。
あの歌、アンドレイが不在なことめっちゃイジってて、観終わってからジワジワきてる。
あの自己紹介ソングは、人物のキャラクター性を決定づけると同時に、アイデンティティーの表明でもあると思うんだけど、アンドレイ=不在なの。
私は原作を読んだデイブ・マロイが「アンドレイ!こんな大変なこと色々起こってんのにお前まだいないのかよ!笑」とか思いながら歌詞書いたんかな、とか想像しちゃうわ。
主演の二人について
実力も人気もある。このスターシステムはうまく機能してるよね。
「謎の変奏曲」「1984」と演劇系の作品も見てきて感じるけど、喜怒哀楽どんな時でも演技を楽しんでる心の奥が見えてくる。
こまつ座ってホリプロと組むと良さが消えるなっていつも思うんだけど、芳雄さんが関わると持ちこたえる感じ。
まぁ、こまつ座×芳雄さんでも『ひょっこりひょうたん島』みたいになっちゃうこともあるけど…
芳雄さんは大劇場より、意外と中小劇場でのお芝居がしっくりくるよね。
ちなみに、こまつ座は今年「井上ひさしメモリアル10」と銘打って豪華キャストでの公演を多数予定しています。
そのなかに井上芳雄主演での『組曲虐殺』再再演も含まれていますので、ぜひチェックしてみてください。
長年こまつ座を観てきた〈妻〉とそのご両親は、「メモリアル10」公演のチケットが取れるか今から戦々恐々としています!
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