先日、宝塚大劇場で上演中の星組レビュー『ESTRELLAS(エストレージャス)~星たち~』がNHKで放送されましたね。
旦那さんに感想を書け書けと言われていたのですが、いまいち気乗りせず今になってしまった<妻>です。
なんでこんなにも気乗りしなかったかというと、私の中では非常に中途半端なレビューだったから。
でも、テレビ放送は生で観る面白さには絶対敵わない訳ですし、何度も録画を見直すうちに、ちょっと楽しくなってきた自分もいるんです。
なので、何がいまいちだったのか、どこが期待できるのか、自分なりに思うところを書いてみたいと思います。
私の印象をまとめると以下の6つ
- とにかく歌えない星組。
- 礼真琴がいなければショーとして成り立たない。
- 前半のグダグダを終盤で挽回する。
- 顔で踊る紅さん。
- 愛里ちゃんがカッコイイ。
- 何度も見るうちにハマる薄ーい中毒性がある。
構成
第1章 プロローグ
♪エストレージャス(客席降り)
第2章 スターライト
♪スターライトパレード SEKAI NO OWARI(礼真琴ソロ銀橋渡り)
♪ポップスター 平井堅(七海ひろき、有沙瞳他)
♪僕はペガサス君はポラリス MISIA(華鳥礼良、瀬稀ゆりと他)
♪星に願いを flumpool(七海銀橋渡り)
第3章 星夢(スタム)
♪今夜はangel 椎名恵(トップコンビ他)
第4章 back!
♪back INFINITE(礼、瀬央ゆりあ他)
第5章 アスタリスク・メドレー
♪ホット・スタッフ ドナ・サマー(紅ゆずる、男役)
♪ターン・ザ・ビート・アラウンド グロリア・エステバン(綺咲愛里、娘役)
♪サニー ボニー・M(礼ソロ銀橋、他)
♪リベルタンゴ (トップコンビダンス)
♪チャンピオーネ オレンジレンジ(客席降り)
ロケット ♪エストレージャス
第6章 星サギの夜
第7章 フィナーレ
瀬央ソロ銀橋渡り
綺咲、娘役ダンス
黒燕尾 ♪情熱大陸 葉加瀬太郎
デュエダン ♪逢いたくていま MISIA(影ソロ)
第8章 パレード
華鳥礼良(エトワール)→天華えま、紫藤りゅう→麻央有希、有沙瞳→瀬央ゆりあ→七海ひろき(3番手羽根)→礼真琴→綺咲愛里→紅ゆずる
※使用曲は<妻>調べなので、間違っていたらごめんなさい。
ヒットソング×歌ヘタ
まず言いたいのは、ヒットソング使っとけば万人ウケするっていうのは幻想だってこと!
今回のショーは第2章~5章まで11曲既存曲が続きます。
ファンは「ご贔屓があの曲歌ってくれた!」ってお年玉気分で喜べますけど、そうじゃない人はただただヒットソング並べられても「この曲知ってるなぁ」って思う以外に何か得ありますか?
あと、今の星組はとにかく歌えない。
隣で新聞読んでた母が、紅さんやあいりちゃんの歌声が裏返る度に鼻で笑うんですよ。(母の初宝塚レビューは北翔さん時代の星組で、その時は「宝塚ってすごい!」と大興奮してます。)
普段本物のアーティストの声で聞いてる曲を、アーティストより下手に(今の星組では特に)歌われてもそんなに嬉しくないんじゃないかな?と思います。
特に紅さんが銀橋でオレンジレンジ歌い出した時はどうしようかと思った!
それを、「まぁ紅さんだしね」って片付けようとした自分にもビックリしました。
星組が好きだし紅さんも好きだからって妥協した自分に突っ込みましたよね、「それじゃダメでしょ?」って。
ヒットソング中の演出も特にひねりは無いし。正直前半はどこを楽しめば良いのかわかりませんでした。
礼真琴頼り×実力派スター不足
前半のグダグダを払拭してくれたのが、第6章の星サギの夜。
ここが全体の中で一番良かった!!
銀河鉄道の夜のストーリーをなぞったダンスが中心で、組子が大勢出てきて華やか。やっとレビューらしい美しさを見られた気がします。
皆の真っ白の衣装も素敵だったし、あいりちゃんの薄紫のワンピースも可愛かった。
せおっちのサソリも格好よかったです!悪役も良い。これからの活躍を凄く期待させます。
そして、全てを持っていくまこっちゃん。
サソリの出現に追い詰められるトップコンビを、突如現れた星サギのまこっちゃんが救うんです。
颯爽と現れセンターで踊るまこっちゃんを、端っこでトップコンビが「凄いねぇ」って感じで笑い合う場面があり、「おいおい(笑)」ってなりました。
何にもせずに2番手に助けてもらった訳ですよ、このトップコンビは。
なんか象徴的じゃないですか?
2番手とバチバチに戦って負かす!つまり、サソリをまこっちゃんにして、紅さんが勝つ。という構図でも良かったはず。
でもそうはしなかった。そうは出来なかったのだろうし、それで大正解だったと思います。
今回、まこっちゃんは2番手というより準トップくらいの活躍ぶりでした。
他にショーを成立させられる人がいないので仕方ないかもしれないけれど、「星組それで良いのか?」と心配せざるを得ません。
まこっちゃんが活躍すればするほど、良いように利用されているようで素直を喜べない。
紫藤りゅう、天華えま、極美慎といった期待の若手がいまいち活躍しきれていないのも心配です。
まこっちゃんに続く実力派若手スターの補強は一刻を争う問題だと思います。
永久輝せあが来てくれたら、星に足りない爽やかで華やかなスター性が補えるのに…とか思うのですが、雪組ファンは怒りますよね(汗)
暑苦しいギラギラな魅力は星組の特性ではありますが、油たっぷりの中華コースって感じでお腹いっぱい。
ギトギトなんです。胸焼けします。
雪組のようにスターばかりの大混戦もお腹いっぱいになりますが、あれは実力がある=美味しいので、幸せな満腹感なんですよね…。
なんなんだろう、雪組のあの品の良さとまとまり。
…と、星組への愛故の文句ばっかりの私だったんですが(私は星組ファンなんです!)、この辺で何度もリモコンの再生ボタンを押している自分に気付き始めます。
旦那さんにも「文句ばっかなのにハマってるじゃん」と突っ込まれてハッとしました…。
そうなんです!私、何故かハマってる!!
顔で踊るトップスター×トップ娘役
今回、トップコンビは歌うより踊る、という印象が強かったです。もちろん紅さんは主役ですから歌いますけど、愛里ちゃんは歌がちょうど良い程少なかった。
かつて紅さんは「ダンスは顔で踊るんや!」と言ってましたけど、それを遺憾なく発揮してて、「これ全然激しいダンスじゃないはずなのに顔だけは凄く激しい!」ということが多々ありました。
もはや顔芸状態です。
あと、紅さんは男役を従えて踊るより娘役はべらせて踊る方が似合うと思うんですけど、今回は愛里ちゃんとのペアダンスが沢山あったのが良かった。
私が好感を持てたのは、愛里ちゃんを可愛いだけのお人形として登場させなかったこと。
ノースリーブにスリットがっっっつりの衣装がほとんどで、全体的に腕出し脚出しのセクシー系で攻めたのは正解だと思います!
黒燕尾前の娘役群舞での、ショートカットに背中が大胆にあいたドレスとかとっても素敵でした。紅さんに影響されたのかドヤドヤしいキメ顔を何度も見せてくれたのも良かったです。ほんと、赤ずきんとかしてる場合じゃないよ愛里ちゃん!
トップ娘役の歌が少ないのはどうなの?と思われる方もいると思いますが、私は歌えないなら歌わない方が良いと思うし、今回のレビューはその分ダンスが多くてトップ娘役の出番自体は十分にあったと思います。
むしろ大好きな『The Entertainer!』、『スーパーボイジャー』の方がトップ娘役の場面少ないよ!歌ウマ娘1なのにもったいない!!(関係ないけど野口先生作でも『ビューティフル・ガーデン』は苦手です…。俗っぽい?感じが…)
あとは、七海さんとせおっちの頑張り。
せおっちは銀橋を一人で渡ったり、悪役(サソリ)としてカッコよく踊ったり、抜擢が多くて今後の活躍に期待です。
七海さんはこれで退団してしまいますが、2章のポップスター〜星に願いをは七海さんのためのシーンでした。銀橋渡りもありますし、2章は七海さんのフェアエル・パーティー感がありました。後半は特に活躍しないけれど、それはせおっちへ役割をバトンタッチした…ということでしょうか。
個人的に、紅さんはトップになってからレビューに恵まれていないと感じていたので、今までのものの中では一番まとまったレビューなのでは、と思います。
うっすーーーい中毒性×生の舞台に期待
何度も繰り返し録画を見てるんですが、画面にかじりついて…という訳ではありません。流しっぱなしにして他のことをしています。
大好きなレビュー(エンターテイナー、スーパーボイジャー、ドラマチックS、シトラスの風…)では、こんなこと絶対にありません。他のことしていても絶対見入ってしまいます。
ですが、『エストレージャス』には、「あ、終わったか」と思ったらまた最初から見始めちゃう、うっすーーーい中毒性があります。
「なにこれ!!面白い!!」とはなりませんが、見ていて苦にもならないんです。
思い返せば、1年前同じくNHKで『スーパーボイジャー』の放送を見たときも、そんなに心ひかれませんでした。(今ではこんなに大好きなのに!)
ということは、生で観たらもっと楽しいのでは?という希望もありますので、私は観劇を楽しみにしたいと思います!