海外から最も評価されている村上龍の作品とは?
海外で最も評価されている村上龍の作品は何かー
大学在学中の1976年に書いた「限りなく透明に近いブルー」でドラッグ&セックスに溺れる若者を描いてから、文壇、そして社会を賑わせてきた村上龍。
海外メディアも「現代日本で読むべき10人の作家」の一人として村上龍を挙げている。
また、「セックス、ドラッグ、ロックンロールに言及した作品は常に日本の社会で物議をかもしてきた。」とその影響力は海外でも知られているところである。
では、処女作から今まで常に若者や社会のアウトローな面を描いてきた村上の作品で、本当に海外から評価されている作品は何だろうか。
そして本当に読むべき作品とは。
この記事では、海外の「Amazon Review」を参考にして、評価されている村上龍の作品5つを紹介する。
1位 Coin Locker Babies
1位は1980年に発表された「コイン・ロッカー・ベイビーズ」だった。41レビューでレビュー数は2位。コインロッカーに捨てられた2人の幼児のその後を描いた小説。内容は当時実際に起こったコインロッカーでの幼児置き去り事件を題材にしている。
海外のレビュアーからは「この本を『読んで終わり』にはしたくない」など内容の切実さに身をつまされる人や、「村上龍は三島由紀夫以来の最高の小説家だ!」とこの本を書いた村上を絶賛する人がいた。レビュー点は最高の4.1/5だった。
2位 Piercing
2位は1994年に発表された「ピアッシング」。日本ではあまり有名な作品とは言えないものの、海外でのレビュー数は3位。殺人願望を持つ子持ちの父と、自殺願望のある風俗女が夜のホテルで出会うという内容。
海外のレビューは「Truly breathtaking(真に息をのむ内容)」「great disturbing read(読んでいてとても不安な気持ちになる)」など綱を渡るような張りつめた雰囲気に身を震わせる読者が多かった。
3位 Audition
3位には「オーディション」。1997年に発表された。42歳の中年男性が結婚相手を探すために4000人の女性をオーディションし、ひとりの女性を気に入るが、女性が男性に求める愛とは...変質した愛のサイコ・スリラー。日本では映画監督三池崇史が2000年に映画化している。
海外のレビュー数は4位。「Gruesome End(陰惨な結末)」とラストシーンが多くの読者に強烈なインパクトを与えたよう。「Excellent, but not for everyone.」といった声も多く聞こえました。
4位 Almost Transparent Blue
4位は「限りなく透明に近いブルー」(1976年発表)。日本では村上龍の作品の中でも最も知名度がある作品だろう。村上龍の処女作にして芥川賞を受賞した作品である。
ドラッグやセックスを求め「ハウス」に集まる僕と仲間たち。次第に仲間たちが「ハウス」離れてゆくのだが...。経済の成長を遂げた日本、そのあとに訪れた「喪失感」がテーマである。
海外からのレビューには、村上があくまでも平易な文章でドラッグやセックスを書いたこともあって「Disturbing and beautiful!(不穏ではあるが、美しい)」「retain some sort of elegance.(一種の優雅さを保っている)」などの声が多かった。
5位 In the Miso Soup
5位には1997年に発表された「イン ザ・ミソスープ」。レビュー数は他の作品を抜いて1位だった。日本では読売文学賞を受賞した。外国人向けの風俗ガイドをしている日本人は、ある外国人から仕事を依頼される。しかし、その外国人は行く先々で凄惨な殺人を犯してゆくのであった... 閉じ込められた日本人の欲望は異国人の手で解放されてゆく。
レビューでは、「One of the best neo-noir crime novels (ネオ-ノワールの分野では最高の作品)」などパトリシア・ハイスミスを代表とする「暗黒小説」としての評価が高かった。
村上龍作品を読んだことのない人は「限りなく透明に近いブルー」や「コイン・ロッカー・ベイビーズ」から。海外からの評価が高いディープな作品をお好みの人は「ピアッシング」「オーディション」がおすすめです。
最後に、参考として日本のレビュー点ですが、
1位が4.1で「コイン・ロッカー・ベイビーズ」と「イン ザ・ミソスープ」。
3位が3.8で「限りなく透明に近いブルー」。
4位が3.6で「オーディション」
5位が3.2で「ピアッシング」です。