はじめに
2024年7月から8月にかけて、イギリスとフランスを旅してきました。今回の旅は、ロンドンでの観劇、スコットランドの大自然、そしてパリオリンピックと、実に多彩な経験ができた素晴らしい旅となりました。ただし、物価の高騰には本当に苦労しました...。その辺りの苦労話も含めて、たっぷりとお伝えしたいと思います。
第1章:旅の始まり - 航空券選び
今回の旅程は、まずイギリスに滞在し、その後パリへ移動、そしてパリから日本へ帰国するというルートでした。航空券は、様々な航空会社の便を比較検討した結果、直行便の中で最も安価だったエールフランス航空を選びました。
往路は、オランダのアムステルダムを経由してロンドンのヒースロー空港に到着する便を利用。アムステルダム経由だったため、KLMオランダ航空との共同運航便でした。パリからの帰りは、エールフランス航空の直行便を利用しました。
航空券の価格は二人で往復35万円。時期的に夏休み前だったこともあり、昨今の円安の影響で何もかもが高くなっている状況を考えると、正直「安いな」と感じました。燃油サーチャージの高騰も気になっていましたが、この価格であれば十分に納得できる範囲でした。
第2章:ロンドン滞在記 - 観劇と食事の苦労
ロンドンでは、『ハリー・ポッターと呪いの子』、ミュージカル『MJ』、そしてミュージカル『ムーラン・ルージュ』を観劇しました。しかし、正直に申し上げると、観客のマナーの悪さには驚かされました。6年前に訪れた時とは様子が変わり、古き良きロンドンという雰囲気が薄れ、けばけばしい若者の街という印象を受けました。
また、ロンドン滞在中は食事にも苦労しました。物価が非常に高く、しかも美味しいものがなかなか見つからなかったのです。困り果てた私たちは、スーパーでitsu rice noodlesというカップ麺のようなものを買って食べたりしていました。
そんな中で意外な発見があったのです。カフェに置いてあるリンゴとバナナが、ロンドンで食べた食べ物の中で最も美味しかったのです!しかも1ポンド以下で買えるという驚きの価格。次回ロンドンを訪れる際は、ひたすらリンゴとバナナを食べようと心に誓いました。
第3章:スコットランドの旅 - スカイ島とコーダー城
ロンドンからルートン空港を経由して、インバネス空港へ飛びました。到着後、事前に予約していたレンタカーを借り、スカイ島へと向かいました。
レンタカーについて
イギリスでレンタカーを借りるには、日本の運転免許証と国際運転免許証、そしてクレジットカードが必要です。オンラインでの事前予約がお勧めです。日本との大きな違いは、右ハンドル・左側通行であること。交差点での右折・左折、ラウンドアバウトでの通行方法など、日本とは逆になるため、十分な注意が必要です。
特にラウンドアバウトは日本にはあまり見かけない道路システムなので、要注意です。時計回りに通行し、進入する前に右側から来る車に道を譲るのがルールです。また、速度制限の単位はマイル(mph)表示なので、これも注意が必要です(30mphは約48km/h)。
スカイ島の絶景
スカイ島に入ると、息を呑むような絶景が広がっていました。特に目指していたオールドマン・オブ・ストーでは、奇岩が連なる壮大な景色に圧倒されました。自然の力強さと美しさに言葉を失い、天候にも恵まれ、最高の景色を堪能することができました。
コーダー城訪問
スカイ島を後にする途中、シェイクスピアの悲劇『マクベス』の舞台として知られるコーダー城に立ち寄りました。14世紀に建てられた塔を中心に、その後増築が重ねられた歴史的な城です。実は史実では、マクベスが生きていた時代にはこの城は存在していなかったそうですが、その名前と歴史的な雰囲気は多くの人々を魅了しています。
城内は中世の雰囲気を残しつつ、後世の増築によって様々な時代の様式が混ざり合っており、見ごたえがありました。特に、城の周囲に広がる庭園は美しく、手入れの行き届いた花々や緑が、城の景観を見事に引き立てていました。
その後、ネス湖を経由してインバネスの街に1泊しました。残念ながら、前日の夜に食べたスコット料理が合わなかったのか、ぐったりしてすぐに寝てしまいました。妻は、スーパーマーケットで買った大量のサーモンをバターで炒めて美味しく食べていたようです。
第4章:パリ到着 - オリンピックと芸術の都
パリに到着して最初に驚いたのは、治安の良さでした。過去に何度かパリを訪れたことがありましたが、「これが本当にパリなのか?」と驚きを隠せませんでした。オリンピック期間中ということもあり、街のいたるところに大きな銃を抱えた警官が立っており、またスリ対策などパリの政策の効果もあってか、「治安が悪いな」と感じることは一切ありませんでした。夜間でも警官の姿を見かけることができ、本当に安心して過ごすことができました。
パリの食事
パリに着くと、まず恋しくなったのは日本食でした。パリ1区のオペラ座近くにある日本食街を訪れ、ラーメン屋「めん吉」に入りました。フランス人の口に合わせた味になっているのだろうと覚悟していたのですが、なんとまさかの「家系」ラーメン!思わず「これだよこれ!」と叫びたくなるほどの懐かしい味でした。イギリスとフランスの食のレベルの差を、ラーメンを通して改めて感じました。
オリンピック観戦
パリ滞在中は、バレーボール、スケートボード、バスケットボールの試合のチケットを入手することができました。オリンピックのチケットは、どの国がどの試合に出場するか決定する前に販売されるため、どの国の試合を観戦できるかは運次第です。
バスケットボールの試合は、フランス北部のリールで開催され、なんとアメリカ対コスタリカの試合を観戦できました。NBAのオールスター選手たちを間近で見られるとは思ってもいませんでした。本当に幸運でした。
女子バレーボールでは日本対ブラジル戦を観戦。驚いたことに、会場の観客の9割5分がブラジルの応援でした。ブラジル応援団の熱気は凄まじく、まるでリオのカーニバルのような盛り上がりでした。妻と二人で必死に声を上げて応援しましたが、周りのブラジルの大歓声にかき消されてしまったかもしれません。
柔道の試合も観戦しました。こちらも日本の応援は少なめでしたが、静かな会場の中で何度も「がんばれ!」と大きな声を上げて応援しました。
そして、パリを発つ前日には、女子スケートボードの試合を観戦。開心那選手が2大会連続となる銀メダルを獲得した瞬間を、この目で見ることができました。最後の最後まで順位が分からない手に汗握る展開で、会場全体が大きな歓声と拍手に包まれた時は、鳥肌が立つほどの感動を覚えました。
パリのディズニーランド
オリンピック観戦の合間に、パリのディズニーランドも訪れました。パリのディズニーランドには「ディズニーランド・パーク」と「ウォルト・ディズニー・スタジオ・パーク」の2つのパークがあり、2泊して両方を楽しみました。
2デーパスポートを当日の朝に購入しようと考えていたのですが、前日に確認したところ公式チケットが売り切れていることが判明。かなり焦りましたが、幸いkkdayというサイトで当日でも購入することができ、助かりました。
パリのディズニーランドで特に感動したことが2つあります。1つ目は、キャラクターに頼らないショーが多かったこと。特にライオンキングのショーは、ブロードウェイミュージカルの短縮版のような形で、しかも生歌で上演されており、その迫力と完成度に圧倒されました。
2つ目は、ディズニー・エレクトリカル・スカイ・パレードです。これは2024年1月8日から2025年1月6日までの期間限定で開催されている、500機のドローンを使った夜のショー。空中にディズニーキャラクターなどのフロートが浮かび上がる様子は、言葉では言い表せないほどの感動を与えてくれました。
ムーラン・ルージュ体験
パリでもう一つ印象に残っているのは、本場のムーラン・ルージュです。1889年のパリ万博に合わせて創業された歴史あるキャバレーで、赤い風車が目印の建物は、モンマルトルの丘の麓、ブランシュ広場に位置しています。
ドレスコードについては事前にかなり心配していました。男性はスーツ、女性はイブニングドレスが望ましいとされていたため、私はスーツにジャケット、妻はフォーマルなワンピースを着用しました。実際には、会場の半分くらいの人はジャケットを着ていなかったり、スニーカーを履いていたりと、そこまで厳格ではありませんでした。
しかし、私たちは幸運にも舞台から2列目という素晴らしい席に案内されました。周りを見渡すと、映画のワンシーンのような、日本ではなかなか見かけないようなイケメンと美女ばかり。そして、その周りの人々は皆、きちんとドレスコードを守っていました。もしかしたら、私たちがドレスコードを守っていたから、このような特等席に案内されたのかもしれません。
パリの下水道博物館
パリでは下水道博物館も訪れました。『レ・ミゼラブル』でジャン・ヴァルジャンがマリウスを背負って逃げるシーンの舞台として有名な場所です。実際に下水道の中を歩いてみると、その巨大さと複雑さに圧倒されました。ただし、奥に進むにつれて匂いが本当にきつくなり、妻は途中でギブアップ。この匂いの中をマリウスを背負って進んだヴァルジャンの強い意志と決意を、身をもって体感することができました。
おわりに
今回の旅行は、物価が非常に高く、特にオリンピックのチケットもかなり高額だったため、旅費は新車の軽自動車一台が買えるくらいの金額になってしまいました。しかし、ロンドンでの観劇、スコットランドの大自然、そしてパリでのオリンピック観戦と、一生の思い出になる素晴らしい経験ができました。
特にパリオリンピックでは、世界中から集まったアスリートたちの熱い戦いに大興奮し、スポーツの力とオリンピックの素晴らしさを改めて感じることができました。