『マルホランドドライブ』や『イレイザーヘッド』などカルト映画の帝王として知られるデヴィッド・リンチ。
数ある作品の中で海外からの評価が1番高い作品はなにかー
今回の記事ではリンチ作品を評価が高い順に紹介してゆきます。
デヴィッド・リンチ (1946- アメリカ)
1946年アメリカ生まれ。ワシントン美術大学で絵画を学ぶ。1967年より短編映画を制作。1980年『エレファントマン』ではアカデミー賞8部門でノミネート。1990年には『ワイルド・アット・ハート』でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞。
現在も短編、長編映画に限らず絵画、版画など幅広いジャンルで作品を発表し続けている。
それではデヴィッド・リンチ監督の作品を評価の高い順にご紹介します
今回作品を評価するにあたり参考にしたのが「Rotten Tomatoes」。海外最大の映画レビューサイトです。
1位はリンチ作品では異色の実話に基づいた感動作。
93.5点 ストレイト・ストーリー
解説
1994年にNYタイムズに掲載された実話を基に、ユーモアとペーソス溢れるタッチで描いた感動作。
あらすじ
アメリカ・アイオワ州ローレンスに住む73歳のガンコな老人アルヴィン・ストレイト。ある日、彼のもとに、76歳の兄が心臓発作で倒れたという知らせが入る。10年来仲違いをしていた兄に会うため、アルヴィンは周囲の反対を押し切り、たったひとりで時速8kmのトラクターに乗って旅に出ることを決意する。
- 公開年:1999
- キャスト:リチャード・ファーンズワース、シシー・スペイセク、ハリー・スタントン
- 主な受賞:主演男優賞ノミネート(アカデミー賞)、パルムドールノミネート(カンヌ国際映画祭)
91.5点 エレファント・マン
解説
19世紀末に実在した奇型の青年の数奇な運命と、彼をとりまく人々との交流を描き世界的に大ヒットした不朽の名作。デイヴィッド・リンチは、本作の成功で一躍脚光を浴びた。出演には、本作で英国アカデミー賞主演男優賞に輝いたジョン・ハート、オスカー俳優アンソニー・ホプキンス、名優サー・ジョン・ギールグッドらそうそうたる面々がそろっている。
あらすじ
19世紀末、ロンドン。医師トリーブスは、街の見世物小屋で象人間と呼ばれていたジョン・メリック(ジョン・ハート)に出会う。研究のために彼を病院で生活させるが、やがてメリックの知性と純粋な心に触れ、人間らしい交流が生まれる。
- 公開年:1980年
- キャスト:ジョン・ハート、アンソニー・ホプキンス、ジョン・ギールグッド
- 主な受賞:作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞、編集賞、作曲賞、美術賞、衣裳デザイン賞(※すべてアカデミー賞ノミネート)
91点 ブルーベルベット
あらすじ
ノース・キャロライナ州ランバートン。製材が主産業ののどかな町。よく晴れた日、大学生のジェフリーは、庭仕事をしていて突然異常な発作に襲われた父を見舞った病院からの帰り道、野原で異様な物を見つけた。手に取ってみると、それは何と切り落とされた人間の片耳だった……。
- 公開年:1986
- キャスト:カイル・マクラクラン、イザベラ・ロッセリーニ、デニス・ホッパー
- 主な受賞:作品賞、監督賞、助演男優賞、撮影賞(全米映画批評家協会賞)
87点 イレイザーヘッド
解説
フィラデルフィアの工業地域を舞台に、さえない印刷屋の主人公の周囲で起こる不可解な怪現象を描く問題作。デヴィッド・リンチの長編デビュー作。ガールフレンドが産んだ奇怪な赤ん坊の泣き声に悩まされる主人公の、精神的な迷走をシュールなイメージ映像の連続で見せる。主人公は「ツイン・ピークス」のジャック・ナンス。現実と幻想の境があいまいな映像世界に引き込まれる。
あらすじ
フィラデルフィアの工業地帯で働く印刷屋の職工ヘンリーは、ガールフレンドのメアリーから子どもを妊娠したことを告げられる。しかし、生まれてきた赤子は恐ろしい姿で、異様な泣き声で彼らを苦しめる。やがて、生活に耐えられなくなったメアリーは家を飛び出してしまう。
- 公開年:1977
- キャスト:ジャック・ナンス
85点 マルホランド・ドライブ
あらすじ
ある真夜中、マルホランド・ドライブで車の衝突事故が発生。ただ独り助かった黒髪の女は、ハリウッドの街までなんとか辿り着き、留守宅へ忍び込む。すると、そこは有名女優ルースの家だった。そして、直後にやってきたルースの姪ベティに見つかってしまう。ベティは、とっさにリタと名乗ったこの女を叔母の友人と思い込むが、すぐに見知らぬ他人であることを知った。何も思い出せないと打ち明けるリタ。手掛かりは大金と謎の青い鍵が入った彼女のバッグ。ベティは同情と好奇心から、リタの記憶を取り戻す手助けを買って出るのだが…。
- 公開年:2001
- キャスト:ナオミ・ワッツ、ローラ・ハリング、アン・ミラー
- 主な受賞:監督賞(カンヌ国際映画祭)
73.5点 ロスト・ハイウェイ
解説
衝撃的なサイコ・スリラー。
あらすじ
妻レネエと平凡な生活を送る、サックス奏者のフレッド。ところがある日、ディック・ロランドは死んだ、と誰かがインターフォンで謎のメッセージを告げた。やがて一本のビデオ・テープが届く。そこには、妻をバラバラに切り刻む彼の姿が写っていた……。
- 公開年:1997
- キャスト:ビル・プルマン、パトリシア・アークエット
73.5点 インランド・エンパイア
解説
極秘のプロジェクトとして製作され、ベネチア映画祭で栄誉金獅子賞を受賞した。ロサンゼルス、ポーランド、さらには謎の都市インランド・エンパイアを舞台に、ミステリアスなドラマが展開する。主演は『ワイルド・アット・ハート』など、リンチ作品の常連女優ローラ・ダーン。“リンチ・ワールド”とも言うべき不可思議な映像世界を堪能したい。
あらすじ
ニッキーとデヴォンは、映画監督のキングスリーが手掛ける映画に出演することになる。その作品は、ある秘密を抱えており、主演女優のニッキーは役にのめりこむにつれ、次第に役柄と私生活を混同し始めるようになる。
- 公開年:2006
- キャスト:ローラ・ダーン、ジャスティン・セロー、ジェレミー・アイアンズ
73点 ワイルド・アット・ハート
解説
デヴィッド・リンチ独特の、暴力・死・セックスといったモチーフはそのままにして描いたバイオレンス・コメディ。
あらすじ
アメリカ南部。ワイルドなハートを持て余す若いセーラーとルーラは、2人の愛を妨げようとする全てものから逃れてカルフォルニアへの旅に出る。娘に対して異常な執着を示す母は、執拗な追っ手を送り込み、2人を引き裂こうとするが……。
- 公開年:1990
- キャスト:ニコラス・ケイジ、ローラ・ダーン
- 主な受賞:パルムドール(カンヌ国際映画祭)
69.5点 ツイン・ピークス
解説
TVシリーズ「ツイン・ピークス」の劇場公開作品。事件の大きな鍵となったローラ・パーマー殺害事件に焦点を当て、その隠された謎を描いていく。TVシリーズでは登場していないD・ボウイ、K・サザーランドが出演。
- 公開年:1992
- キャスト:カイル・マクラクラン、ミゲル・フェラー、シェリル・リー
62点 デューン/砂の惑星
解説
かつて「エル・トポ」の監督アレハンドロ・ホドロフスキーも映像化を試み失敗した、フランク・ハーバートの大河SF『デューン/砂の惑星』をディノ・デ・ラウレンティスが遂に映画化。
あらすじ
“デューン”と呼ばれる砂漠の惑星アラキスを舞台に、覇権をめぐって繰り広げられる勢力争いを描く。
- 公開年:1984
- キャスト:カイル・マクラクラン、ユルゲン・プロホノフ、スティング
1位は『ストレイト・ストーリー』、最下位は『デューン/砂の惑星』でした。
ただ、私は『デューン/砂の惑星』の世界観も好きです。
正直なところあらゆる作品がリンチの多彩な才能の一部を見せているピースに過ぎないのだと思います。
なので、本当にリンチの才能を味わいたい人は全ての作品を観てみることをオススメします。
どの作品から入れば良いのか分からない人は、万人に愛される作品『ストレイト・ストーリー』から階段を登りはじめるもよし、もしくは全ての人から異端な作品だと思われている『イレイザーヘッド』を観ていきなり背中を押されてリンチワールドに落とされるのもよし、です。